元々はそんなに漫画に詳しくない私は、面白そうな漫画がないかとkindleのランキングを見たり、無料の試し読みであれこれと読み漁っていた時期がありました。 そんなときに試し読みの1巻を読んだ時点で「なにこれ!面白い!!」と止まらなくなって一気に読んだ漫画が「ヒメゴト~十九歳の制服~」です。
とにかく展開が気になって読み進みますが、内容は結構重いです。ジェットコースターのように巻き込まれガーっと読んでいるときは面白さに圧倒されて気にならなかったのですが、結構重めで暗い内容ですので万人にお勧めというよりは、好き嫌いが別れる作品だと思います。
「ヒメゴト」あらすじ
19歳女子大生の由樹(ユキ)は 男っぽい性格とボーイッシュなルックスから周りにヨシキと呼ばれ男扱いされています。中学からの親友・祥(男)に暗に「男友達」であることを求められて女子っぽくなるタイミングを逃した由樹のヒミツは、一人の時にこっそり高校の制服のスカートをはくことだったのです。
見た目は清楚なお嬢様の未果子(ミカコ)は、大学では男嫌いなお嬢様を演じています。彼女のヒミツは19歳の女子大生だが15歳と年を偽りセーラー服を着て援交を続けている。由樹の中にある純粋な少年に純粋な恋心を抱くようになります。
イケメンで人当たりもいい佳人(カイト)は雑誌に載るオシャレな今時の大学生でモテモテ、年上の彼女に貢がれる日々を送っている彼のヒミツは、女装が好きで憧れの女の子(ミカコ)と同一化したいと願って同じ服をコレクションしています。
ある日、由樹がカイトの女装姿を知ってしまったことから、友情、憧れ、恋心、嫉妬などの感情が交差して三人は複雑な関係を作っていきます。
複雑すぎる三角関係
- ユキ→(憧れ・恋)カイト 現状は女友達
- ミカコ→(純粋な恋)ユキ 学内でレズと噂される
- カイト→(理想の少女)ミカコ 同一化したいという願望
ユキはカイトの女装を知っている唯一の人物であり、女性らしさをユキへ教える『女友達』であるが、カイトのことが気になっていきます。カイトはミカコのことが好きなのは分かっているので2人が恋人になることを恐れて、ミカコの恋心を利用して気持ちを自分に向かせてカイトと付き合わないようにと学内でレズの噂をされるほど友人を超えた付き合い方をするようになります。
一方ミカコはユキの中のピュアな部分、少年のような部分に恋しています。大人の男性に対するトラウマやウリの対象男性たちとは違うピュアな部分に、自分の身を呈しても守りたいという恋心を抱きます。実際ユキにつきまとう親友の祥を排除する為に誘惑して自分の依存させていきます。
カイトは憧れの美少女だったミカコがエンコウをしている現場を見てしまいますが、同時に自分の女装もバレてしまいます。大切な友人であるユキをそんな世界に近付けたくないためユキとミカコを離そうとしますが、ユキは除け者にされていると感じてしまい…。話が進むにつれ、三人の距離は近付いていき、ドロドロになっていきます。
ラストは気持ちよい爽快感
「ヒメゴト」は8巻で完結しております。
このドロドロに絡み合った三人がどうなるのだろうとハラハラして止まらずに読み進めてしまいますが納得する形で収まります。ただのハッピーエンドではなく、それぞれがトラウマを乗り越えて19歳を卒業し、20歳の姿を描いて終わります。読了後はスッキリした爽快感があります。
三人とも心に抱えていた闇が19歳という大人になりきれない年齢の中でもがき苦しみ、それを解消することができたとき、ようやく制服を脱ぐことが出来ます。そして新しい道へと進んでいきます。この辺の心理描写も丁寧で繊細で、三人に共感できるキャラクターがいなくても共感できる部分があります。