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親がヨーロッパにやってきた

2016年11月9日(水曜日)
【オーストリア】 シュピッツ

























クレムス駅のプラットホームは地方都市のささやかな賑わいがあった。


電車が着くたびに人が流れ、静かになり、また人が集まってきてやがて電車が滑り込んでくる。


小さな電光掲示板には、到着電車の情報がいくつか並んでいる。



暇そうなオッさんたちが缶ビール片手に外でタバコを吸っており、田舎の町の何気ない日常が淡々と吐き出されては消えていく。




そんなプラットホームにドキドキしながら立っている俺とカンちゃん。


うぅ……………き、緊張するな…………





「も、もうすぐだよね………もうすぐ着くよね…………?」



「うん…………あ、あと5分で到着するはずだよ…………」





この中央ヨーロッパの小国、オーストリアの中でもさらに片田舎、その地味な駅にお船出の町の人間がやってくる……………


あ、俺も同じか。



そう、かつて高千穂の峰に天孫降臨された神武天皇が大和国へ向かって船を出した、日本海軍発祥の地として知られる由緒ある港町、美々津町で、尋常じゃないほど連日ピンポンダッシュを繰り返して町の人々を怒り狂わせた犯人の親がついにこのバッハウにやってくる時が来た!!不名誉!!




カンちゃんのご両親、ウチの家族、全員一緒の電車でウィーンから向かっており、到着時間が刻々と迫ってくる!!!


緊張!!!!!!!


俺の両親とそしてひとつ上の兄貴、この4人が揃うのは確か10年ぶりくらい。


それだけでもちょっとソワソワするのに、そこにカンちゃんのご両親と叔母さんも一緒にいる。



こんなウルトラ遠いところまで飛行機や電車を乗り継いでやって来ていただいているんだから、ここから先は不備のないようスムーズに円滑にユーモラスに愛しさと切なさと心苦しさが入り混じった感じでとりあえずリンガーハット食べたい。




「カンちゃん、花山薫って知ってる?あまりの握力の凄まじさで握撃って技を持っててね、重ねたトランプの一部を指でちぎり取ったりできるんだよ。すごいよね。俺なんてちぎり取れるのはアトピーの乾いた皮くらいのも…………」



「フミ君!電車きたよ!!これに乗ってるはず!!!」



「ぬひょおおおおおうううう!!!!!どれ!!どれどれ!!どこ乗ってる!!??」




反対側のプラットホームに滑り込んできた電車!!


どこだ!!どこだ!!と覗き込んでいると、電車の窓越しにアジア人らしき姿が見える!!!!



ああぁぁあ!!あのどっからどう見てもNHKしか見なさそうで実際俺たちがドラゴンボールとか見てたら仕事から帰ってきて即座にリモコンをとって悟空がスーパーサイヤ人になる瞬間にNHKにかえて子供たちを発狂させそうな男性の後ろ姿!!あれはお父さんではないか!!!


その横にいる、ヨーロッパでは病気か?くらい背が低くて山登りが趣味でうどんは天領うどんよりも麺勝派でフォークは拓郎よりも陽水派で焼き飯が美味そうな横顔の女性!!あれはお母さんじゃないか!!!



その横でウロウロしている若い男性ときたら、子供の頃に弟と兄弟喧嘩していたら弟が発狂してキッチンに走って包丁をとってきたのでトイレに逃げ込みドアを閉めるが、弟が号泣しながら、殺すうううう~~!!!殺すから出てこいいいいいい~~~~!!!わ~~んわ~~ん!!とドアを破壊する勢いで叩きまくってきて、やめろてーー!!やめろてえええ!!!とトイレの中でマジで焦った経験がありそうな雰囲気じゃないか!!


つまり俺の兄貴!!

あの時ドアが開かなくてよかった!!!




そう!!!いつも河野鮮魚店のシメサバを食べてた家族がオーストリアの田舎町に集結!!!!



プラットホームをつなぐエレベーターのドアが開くと、金丸家が到着した。







「あらーー!!ちゃんと来れたわぁー!!オーストリアやっちゃねーー!!」



「おう、思ってたほどそんなに寒くないな。」



「おいフミ!!ザッハトルテはどこで買えばいいとか!!」




信じられないほど田舎者丸出しの感じでニコニコしながら駅に降り立つ美々津出身者たち。


服はオールユニクロという徹底ぶり!!


美々津は今まさに秋祭り期間中で、勇壮な太鼓台と神輿の宮入れが行われて年に一度の活気を見せているところ!!


しかし祭りを取り仕切る青年部部長は今美々津にはいない!!

バッハウにいるから!!





「英語とかドイツ語とか全然喋れんけど来れるもんやねーー。ウィーンではね、お城とか見たとよ。大きな教会もあったわ。どこにでも教会があるっちゃねぇぇぇ。あはははははははははははははは!!!」





『橋の下や墓場のベンチで眠るような人生を送るよう育てた覚えはない』



という名言を持つお母さん。言っていたとおり、キューピーマヨネーズとおたふくソースと戸村のタレを持ってきてくれた!!サンキュー!!!










金丸家の到着の次にエレベーターが開くとカンちゃんのご家族がやってきた!!




カンちゃんお父さん、カンちゃんお母さん、そしてカンちゃんお母さんのお姉さんのカンちゃん叔母さんの3人。


こちらのご家族はもうお父さんを筆頭にめっちゃインターナショナルファミリーなのでヨーロッパなんて楽勝なもの。

なんの心配もなく余裕で優雅にオーストリア滞在を楽しんでくださっている。



なんせカンちゃんお父さんはかつて若い頃にドイツも旅していたのでドイツ語が俺たちよりもはるかに喋れるというすごさ。

カンちゃんお母さんとカンちゃん叔母さんはめっちゃ上品な人なんだけど、そこは関西の陽気なおばちゃんなのでコミュニケーション能力が半端じゃないので外国に臆せず現地の人に話しかけに行ける人たち。







そんな両家の親を同時に目の前にして、俺とカンちゃんがどれほど異なった環境で育ってきたのかがよくわかった。


まったく違う。


人格は必ず親から受け継ぐはず。環境に寄っても大きく左右される。

宮崎と大阪、保守的な親とインターナショナルな親、そんなふたつの異なった環境で育った俺とカンちゃんが今こうして一緒にいることが不思議に思える。



俺たちここまで育ててもらったんだなぁ。














本当はこの同じ電車でカンちゃんの友達の女の子たちも到着するはずだったんだけど、どうやら乗り遅れたようなので先に俺たちだけシュピッツに向かうことにした。


親族は全員で6人になるのでタクシー2台に分けて乗り、シュピッツへと出発。





今日は天気がいいのでバッハウの谷も太陽の光に輝いてとても綺麗だ。

この日に親が到着できて本当によかった。


きっとみんなタクシーの中からこのぶどう畑とドナウ川、中世の姿を残す村々と廃墟の古城の風景を見てため息をもらしているはず。

ここで式をやってよかったとみんなにも思ってもらえるような数日にしなきゃな。





















タクシーの値段がクレムスからシュピッツまでわずか20キロの距離で55ユーロ、6400円という法外すぎる値段で、しかも2台分だったのでいきなりめっちゃうろたえまくりながらとりあえず全員シュピッツのホテルに到着。


閑散期のシュピッツには観光客もほとんどおらず、ホテルはほぼ俺たちの家族で貸切状態だった。





そして荷物を置いたらすぐに向かったのはイングリッドおばちゃんの家。



「はろうー!あらーまぁー、いつも息子がお世話になりまして、サンキュー、だんけしぇぇーん。ぎぶみーちょこれーと。」



「ハロー!!フミナオ、グッドー!!ソーセージソーセージ!!ベートーベン!!」



もうみんなして何語を喋ってるのかまったくわからないことになってるんだけど、言葉よりもハグ。

ハグの習慣なんか1ミリもないお父さんとお母さんも戸惑いながらもイングリッドおばちゃんとハグ。

うーん、めっちゃ違和感。








でも言葉は全然通じないけど、それでもコミュニケーションはとれるもんだ。


写真を見せたりしながらお互いに笑顔でボディラングエッジを見せ合えば、きっと心も通じる。

大事なのはコミュニケーションしようと、相手に心を開くことだ。


うわー!!それにしても親がここにいるってのが違和感すぎる!!













コーヒーをいただき、俺たちが今住まわせてもらっている部屋を見てもらったりしてすっかり落ち着いたんだけど、俺はそんなにのんびりしてられない。

遅れて到着したカンちゃんの友達を迎えに隣町のホテルへダッシュ。


あー!!フミ君おめでとうー!!すごい綺麗なところやねー!!と喜んでくれているお友達の久保ちゃんとナベさん。


今回この2人には大事なお仕事をお願いしている。


久保ちゃんは元ウェディングのメイクさん。

なのでそんなプロの久保ちゃんにカンちゃんと俺のメイクと、さらに式の司会進行もお願いしている。


ナベさんには式の時にかける音楽のスタートストップ。



遠くまで来ていただいた上にたくさんのことをお願いしてゴメンねと言うと、全然気にしないでー!!とめっちゃ素敵な笑顔の2人。

本当カンちゃんの周りは可愛くて愛される人たちばっかりだ。











というわけですぐに2人を乗せてイングリッドおばちゃんの家に連れて行き、明日のカンちゃんのメイクのリハーサルをしてもらうことに。



そして次は家族のみんなを乗せて近隣の観光!!

ゆっくりしてもらってもいいんだけど、せっかくバッハウにいるんだから綺麗なところを見てもらいたいということでデュルンシュタインに行くことに。


このバッハウの目玉観光地で、オーストリア国内でも屈指の美しい中世の町だ。

ここは見といてもらいたい!!




というわけで俺の車には一度に全員は乗れないので2回に分けてデュルンシュタインまで往復ダッシュ!!!


先に金丸家を乗せてデュルンシュタインに降ろして、そこら辺にいてね!!とシュピッツに戻って神田家を乗せてダッシュ!!



しかしウィンタータイムに入ったオーストリアは16時には暗くなり始めるので、全員連れて行った頃にはすでにほぼ夜!!!!



ぐおお!!チクショウ!!!!!

慌てふためいて空回りして効率が悪いという最愛のパターン!!!!


でも薄暮のデュルンシュタインももちろん他にはない美しい町並みなので、それはそれで少しは楽しんでもらえた。














家族のみんなと回るとみんなお土産物屋さんに入りたがるので俺としても新鮮だ。


ヨーロッパのお店はただの土産物屋さんでもとてもカッコよくてスタイリッシュなので、お母さんたちもワクワクしている。


ちゃんと楽しんでもらわなきゃって責任感で焦ってしまうわ。





















デュルンシュタインから戻ってみんなをホテルに送り届け、イングリッドおばちゃんの家に帰ったら、カンちゃんがウェディングドレスを着て綺麗にヘアメイクしてもらって大変身していた。




おお………こ、ここ?


このタイミングで言うんだっけ…………?あのセリフ。

あのウェディングドレスを着た花嫁を見てボーゼンとしながら旦那が言うお決まりのあのセリフ……………



「か、カンちゃん………せ、せ、せせせ、せせ、世界で1番キレイ……だよ……って言えばいいのかな?今?」



「やったー、言わせたったー。イヒョーイ!」




うー、さすがはプロの久保ちゃん。

マジで一気に花嫁になった。

さすがに実感わいてきたな。








「ナオー!!ビューティフール!!!ビューティフールよー!!」



カンちゃんの変身に大興奮しているイングリッドおばちゃんがカメラを持ってきて写真を撮りまくっている。


ニコニコしながら、アレは大丈夫?アレは忘れていない!?とあれこれ心配してくれるのがとても嬉しい。


おばちゃん本当にいつもありがとう!!!!
















カンちゃんのリハーサルを終えたらまた久保ちゃんとナベさんを隣町のホテルへ送っていき、さぁ次が今夜のメインイベント。


このために家族一同、前日入りしてもらった。




そう!両家親族の顔合わせ会!!!!


なんか堅苦しそう!!!!!




え、ど、どんなやつだっけ?

なんかご趣味は?とか特技は?とかそんな話してから、しばらくして親たちが、あとは若い人たち同士でね、って意味深なこと言って部屋を出て行って2人きりにされるアレだっけ?それはお見合いか。


店の中で隣同士になってお喋りしながら飲んで、なんか意気投合したらいきなりそこで口で始めるやつだっけ?それはハプニングバーか。



怖っ!!!めっちゃ緊張するし!!!!





わからんけどとりあえずお食事会を予約しているレストランへ行き、両家親族と俺たちでテーブルについた。

ドイツ語のメニューしかなくて、英語で説明を受けたのを翻訳して親たちに簡単に伝え、みんなそれぞれに注文。




綺麗な食器のセット。


ワイングラス。


優雅なBGM。



なんかぎこちない両家の雰囲気。






漂う微妙な緊張感………………









よし。

ここで1発、ウンコーー!!と絶叫したらどうなるだろうか?




あらまぁユニークな新郎さんねと場の空気がほぐれて会話が弾み始めるだろうか。いや、ならない。

ただのキチガイと思われて結婚取り消しになる。









張り詰めた空気の中、ウンコーー!!と叫ぶのを我慢していると飲み物が運ばれてきた。


それぞれにビールグラスが到着。



さぁ、乾杯。の挨拶をしなければいけない。







カンちゃんが俺を見る。






え?俺?



俺なの?俺が言うの?


無職なのに乾杯の挨拶していいの?




よっしゃわかった任せとけええええ!!

ニートにしかできない乾杯ってやつを見せてやるぜええええええ!!!!!








「えー、それではみなさん、この度は本当におめでとうございます。」



カンちゃんのお父さんが立派な大人の挨拶をしてくれました。




「これから金丸家、神田家、末長くお付き合いしていければと思います。」




ここでブワッと実感がわいた。


末長く、って言葉。



末長く。




末長くて。



この言葉ほど結婚を象徴している言葉はないなって感じた。




末長く。そう、俺たちが結婚する、そして家がくっつく、これから代々に渡って関係が続いていくんだよな。



すげぇ!!!!!!!





末長くて!!!!!!

























お食事会は普通にみんなでワイワイとご飯を食べて飲んでというもので、これといって盃を干して懐深く納めるような誓いの儀とかそんなものもなく、終始和やかなムードのままで終わることができた。


親同士、たくさん会話してくれ、いい雰囲気だった。

いやぁ、酒に飲まれてクダをまくような親じゃなくてよかったってこんな時にこそ思うわ。




お酒も程よく進み、とてもいい感じで顔合わせ会はお開き。

明日の式本番に備えてみんな早めにホテルの部屋に戻っていった。






ふぅ、よかった。


さぁ、後は式本番。


明日。











え?明日なの?



明日なのかい?



明日は旦那ですか?夫?主人?



これが独身最後の夜?



やっべ!!!!超怖い!!!!!!










ふぅ、落ち着こう。

早く帰ろう。

早くイングリッドおばちゃんの家に帰って明日に備えてゆっくり眠って万全の体調で式にのぞもう。


そうそう、早く帰ってシャワー浴びてぐっすり睡眠を………………











アユムさんお疲れッス!!!!!!!








「金丸さん!!ついに明日ですね!!おめでとうございます!!そしてここ遠いですね!!どこまで行くのかと思いましたよ!!」



「アユムさんマジでありがとうございます!!!!よし!!ワインでいいですか!?」



「もちろん!!じゃあ赤でお願いします!!」



「ぬおおうう!!赤!!アユムさん!!バッハウは有名な白ワインの産地です!!」



「そ!!そうなんですか!!あ、危ない!!!なんてミスを犯すところだったんだ!!白ワインでお願いします!!」





というわけで式前夜。いつも通りというかいつもより深酒。


だって楽しすぎる!!!


この前スワロフスキーの本社で買ってきたビジネスマン向けのプレゼントをアユムさんにプレゼントするととても喜んでもらえた。


アユムさん、いつもマジでありがとうございます!!!



うわー!!マジで明日か!!!









~~~~~~~~~~~~~~~~~~


東京のホテルをアゴダでとってくださったかたがいました!!


佐とうのラーメンの写メが最近送られてきすぎで本当マジで小ライス!!!!!


どうもありがとうございます!!!

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