electronica 2016

パナソニックの欧州戦略、3つの武器で攻める

「パワエレ」「光学」「センサー」で攻める

  • 2016/11/22 14:49
福澤氏
福澤氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「electronica 2016」の展示場において、部品メーカーが集う「B6」ホールに大きなブースを構えたパナソニック。同社の欧州戦略や、出展内容などについて、Panasonic Automotive & Industrial Systems Europe社 Vice Presidentの福澤哲也氏が語った。(聞き手=根津 禎)

 欧州のエレクトロニクス市場は、他の地域に比べて早くからインダストリアル(産業)分野に注力してきた。欧州の大手メーカーの場合、ICT分野から産業分野に舵を切り始めたのは2008〜2009年ごろである。

 ICT分野では、さまざまな技術が標準化され、それらをブロックのように組み合わせて利用できる。携帯電話機がいい例だ。あっという間に標準化されて、コモディティー化し、韓国や中国といったアジア企業のメーカーが台頭した。

 一方、産業分野ではICTのように標準化された技術を組み合わせるだけでは勝つことはできない。要求仕様が異なる様々なアプリケーションごとにがあるからだ。その分、きめ細かな対応が求められる。

 産業分野の特徴は、アプリケーションが多岐に渡る上、各アプリケーションにおける市場規模が、ICT分野に比べて1〜2桁小さい。あるアプリケーションのトップメーカーでも、売上高は1000億〜3000億円ほどの場合が多い。だからこそ、各アプリケーション分野を1つ1つ丁寧に攻めて、複数のアプリケーションでの売上を伸ばし、それらを総合して大きな事業にしたいと思う。

パナソニックのブース
パナソニックのブース
[画像のクリックで拡大表示]

分野を絞って攻める

 先ほど述べたように産業分野のアプリケーションは、鉄道や医療、セキュリティー、ボイラーといった具合に細分化されている。我々が調べたところ、その種類は数百に上る。すべてに対応していたら、とてもリソースが足りない。

 そこでまず、我々が持つ強みを見直し、それらを組み合わせて「ソリューション」として展開できるアプリケーションを攻めることにした。欧州市場では、「パワーエレクトロニクス(以下、パワエレ)」「光学」「センサー」という3つのソリューションを武器にしている。

GaNパワーデバイスを適用したインバータ―の説明パネル
GaNパワーデバイスを適用したインバータ―の説明パネル
[画像のクリックで拡大表示]

 パワエレであれば、電池やGaNパワーデバイス、リレー、放熱材料などがある。光学であれば、イメージセンサーやレンズ、手ぶれ補正機構などである。いずれも、ICT機器やAV機器向けで培った技術で、それらを産業分野向けに信頼性を高めたり、寿命を長くしたりして、デバイス単体を強く進化させることにも取り組んでいる。

 強みを発揮できるソリューションを3つそろえた上で、それらを生かせる産業分野のアプリケーションを数十に絞った。例えば、医療やエレベーター、ドローン、レジャービークル(例えば水上バイク)などがある。ドローンであれば、我々の光学ソリューションの特徴を生かせるだろう。

パナソニックが出展したセンサーの例。写真は、8×8画素から7800画素相当の分解能を得られる赤外線アレーセンサー
パナソニックが出展したセンサーの例。写真は、8×8画素から7800画素相当の分解能を得られる赤外線アレーセンサー
[画像のクリックで拡大表示]
ブースでは、赤外線アレーセンサーを使い人の入退出を検知するデモを行っていた
ブースでは、赤外線アレーセンサーを使い人の入退出を検知するデモを行っていた
[画像のクリックで拡大表示]

 我々が絞った数十のアプリケーションの市場は、今後3〜5年間は年率3%程度で安定的に伸びると考えている。追い風は、欧州において、産業分野における消費エネルギーやコスト、時間の「効率化」を求める声が大きくなっていることだ。関連する法令が、欧州各国で施行されている。

 ただし、法令の内容や施行時期は欧州各国で異なる。それだけに、欧州各国をひとくくりにした「欧州市場」というものは存在しない。いわば、「グローカル」な市場だ。例えばガスのスマートメーターは、各国で導入速度が異なる。最初はイタリアからになるだろう。