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【セルジオ越後】川崎には「勝つ文化」がない。鹿島とは対照的だったね

SOCCER DIGEST Web 11/23(水) 18:50配信

アントラーズは状況に合わせて戦い方を変える柔軟性を見せつけた。

[Jリーグチャンピオンシップ準決勝] 川崎 0-1 鹿島/11月23日/等々力

 Jリーグチャンピオンシップの準決勝は、アントラーズが1-0でフロンターレを下して決勝進出を決めた。両チームとも怪我人を抱えていて、ベストメンバーじゃなかったのは残念だったね。
 
 フロンターレは小林悠と大島僚太、アントラーズは柴崎岳がベンチ外。とりわけ、フロンターレは、いつものサッカーができなかった。パスをつないで攻めるのが持ち味なのに、最終的にCBのエドゥアルドを上げてパワープレーをしたわけだからね。
 
 まあ、試合を通してみると、アントラーズの試合巧者ぶりが目立ったよ。引き分けでもOKだったフロンターレに対して、アントラーズは勝たなければダメだったから戦い方がハッキリしていた。前半からアントラーズのほうが、攻めようという意識が高かったよね。
 
 そして、後半に先制してから、アントラーズはゲームプランを変更して守備に重心を置いた。試合の状況に合わせて戦い方を変えられる底力を見せつけた形だ。
 
 アントラーズは、何度もタイトルを取ってきたクラブだからね。こういう一発勝負の戦い方を知っている。黄金期を支えたメンバーは少なくなってきたけど、それでも影響力の強い小笠原が上手くチームをまとめているのだろう。彼は本当に、根性の塊のような選手だよ。
 
 本来なら、柴崎あたりがもっと存在感を出してチームを牽引していくのがベストだけど、試合後に「ああ、柴崎はいなかったんだ」と改めて気付くくらいだった。裏を返せば、柴崎はチームの支柱と言える選手ではないってこと。小笠原のような存在になるには、まだ時間がかかるだろうね。

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「勝つ文化」が育っていないと認識しないとチームは成長していかない。

 勝負強さを見せつけたアントラーズだけど、不安要素はあるよ。今のアントラーズには、フロンターレ戦のような戦い方しかできない側面もあるんだ。

 優勝した第1ステージは攻撃で圧倒する試合もあったけど、カイオが中東に移籍した後の第2ステージは迫力不足に悩まされていた。先に点を取れば守って勝てるけど、先制されると反撃できない。そんな感じだね。
 
 レッズとの決勝はホーム&アウェーになるから、アントラーズがどんな戦いをするか見ものだよ。
 
 負けたフロンターレは、やっぱり経験不足だったと言えるかもしれない。チャンスはいっぱいあったけど、焦って決めきれなかった。もちろん、小林や大島の不在は響いたけど、こういう試合をものにする勝負強さが足りなかったんだ。
 
 今季を振り返ると、フロンターレは第1ステージも、第2ステージも優勝できなかった。年間順位も2位だ。これを結果論と捉えるのではなく、「勝つ文化」が育っていないと認識しないとチームは成長していかないと思う。
 
 アントラーズを例に挙げると分かりやすいよ。彼らはジーコが選手としてプレーしていた頃から、徹底的に勝ちにこだわってきた。ジーコの教えをしっかりと胸に刻み、その後も優秀なブラジル人監督や選手を迎え入れて伝統を保ってきた。

 近年はリーグタイトルを取れてないけど、それでも小笠原や曽ケ端といったベテランたちが、ジーコたちが残した「勝つ文化」を継承してクラブの雰囲気を作り上げている。
 
 対して川崎はどうだろう。勝ちに徹底的にこだわってきたのだろうか。勝ちを知る監督や選手を呼んできただろうか。僕には、そうは見えない。

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最終更新:11/23(水) 19:27

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