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【大相撲】

稀勢の里、逆転Vへまず白鵬撃破

2016年11月23日 紙面から

白鵬(右)を寄り切りで破った稀勢の里=福岡国際センターで(開出牧撮影)

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◇九州場所<10日目>

(22日・福岡国際センター)

 大関稀勢の里(30)=田子ノ浦=が横綱白鵬(31)=宮城野=を熱戦の末に寄り切って勝ち越しを決め、初優勝と年間最多勝へ望みをつないだ。白鵬は、昨年まで史上最長の9年連続でマークしていた年間最多勝が途絶えることが決まった。横綱鶴竜(31)=井筒=がただ一人、初日から10連勝で単独首位を守った。

 綱とりが絶望的となった同学年のライバルを横目に、稀勢の里が先輩大関の意地を示した。「思い切っていけた」と会心の攻めで白鵬を撃破。再び主役に躍り出る準備は整いつついる。

 上体が伸びきった土俵際。突き落としを左足1本で踏ん張ってピンチを脱出すると、右上手に続いて絶対の自信を持つ左のおっつけが入る。そのまま両まわしを引きつけ、意地でも離さない。大歓声の中、横綱の粘り腰を振り切った。

 この1年間は綱とりに失敗し続けただけでなく、現役大関で1人だけ優勝経験なしという屈辱的な立場に置かれた。最後に巡ってきたのは、初の年間最多勝のチャンス。この日の白星で、年間65勝で並ぶ日馬富士との一騎打ちに持ち込んだ。だが、大関自身は無関心を強調。「優勝しないと話にならない」と、あくまで賜杯を求め続けている。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「やっぱり力はあるんだよね。こういう相撲をお客さんは期待してるわけだから。この勢いでいかないといけない」と高評価。場所前は優勝候補の一角に稀勢の里の名前を挙げた二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は、左腕を動かしながら「おっつけ強いよねえ」と横綱相手に発揮した地力に感心しきり。加えて、「面白い」とつぶやいた。

 2差で追う全勝の鶴竜とは11日目に激突する。通算30勝17敗と相性の良さが光る相手。日馬富士との直接対決も残している。「やっぱり納得できる相撲を取ること」と落ち着いた口調で終盤戦を見据える稀勢の里。わずかに可能性が残る初優勝と年間最多勝の“2冠”へ、絶対条件とも言える3横綱撃破に挑む。 (志村拓)

 

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