対象OS:Windows 7 / Windows 8 / Windows 8.1 / Windows 10
退社した人のPCや前の管理者が管理していた共有PCなど、パスワードが分からなくなり、仕方なくWindows OSを再インストールする羽目になった、ということもあるのではないだろうか。実は、パスワードが分からなくなっても、ちょっとした操作でパスワードの再設定ができる。ただし悪用は厳禁である。他人のPCに対して許可なく、以下の方法でログオン(サインイン)すると犯罪になる。以下、Windows 10のインストールメディアを使い、Windows 7のパスワードを解除する手順を紹介する。他のバージョンのインストールメディアやWindows 8/8.1/10でも同じ手順でパスワードの再設定が可能だ。
パスワードを再設定するには、ちょっとした裏技(?)を利用する。Windows 7/8/8.1/10のログオン(サインイン)画面の左下にある[コンピューターの簡単操作]アイコンをクリックした際に、コマンドプロンプトが起動されるように細工するのだ。
細工を行うため、Windowsセットアップメディア(Windows OSのインストール用DVDか、それをUSBメモリなどにコピーしたもの)を用意する。Windows 10のインストール用USBメモリを作成する方法は、Tech TIPS「『メディア作成ツール』をダウンロードしてWindows 10インストール用のUSBメモリを作る」を参照してほしい。
用意したWindowsセットアップメディアを使って、パスワードを忘れてしまったPCを起動する(DVDやUSBメモリから起動するようにBIOS設定を変更するのを忘れないこと)。パスワードを再設定したいWindows OSのシステムファイルを書き換えるためなので、インストールされているOSバージョンと同じものである必要はない。評価版のWindows OSでも可能だ。セットアップ画面([Windowsのインストール]ダイアログ)が開いたら、[Shift]+[F10]キーを押してコマンドプロンプトを開く。
このコマンドプロンプトで、以下のコマンドを実行する。utilman.exe([コンピューターの簡単操作]の実行ファイル)をバックアップした後、cmd.exe([コマンドプロンプト]の実行ファイル)をutilman.exeという名前にしてコピーする。これにより、Windows OSのログオン画面にある[コンピューターの簡単操作]アイコンをクリックすると実行されるutilman.exeの実体が、cmd.exeとなり、コマンドプロンプトが起動されるようになるわけだ。なお、ここではWindows OSのシステムファイルがD:ドライブに存在するとしている(本来はC:ドライブだが、インストールディスクで起動すると、C:になるとは限らない)。
※以下、D:が元のC:ドライブであったものとする。最初にdirコマンドを実行して、ファイル名やラベル名、ディスク容量などで確認すること
X:\Sources>d:
D:\>cd \windows\system32
D:\Windows\System32>ren utilman.exe utilman.org
D:\Windows\System32>copy cmd.exe Utilman.exe
1 個のファイルをコピーしました。
D:\Windows\System32>exit
Windowsセットアップメディアを取り外し、ダイアログの右上の「×」をクリック、インストールを取り消してから、Windows OSを再起動する。
ログオン(サインイン)画面が表示されたら、右下の[コンピュータの簡単操作]アイコンをクリックする。すると、[コンピュータの簡単操作]ダイアログではなく、上記の操作によりUtilman.exeにコピーしたコマンドプロンプトが実行される。
ここで以下のコマンドを実行して、Administratorや既存のユーザーに対して新しいパスワードを設定する。この際、設定済みのパスワードの確認は行われないので、パスワードを忘れてしまったユーザーに対しても、新しいパスワードが設定できる。
C:\Windows\System32>net user
\\ のユーザー アカウント
---------------------------------------------------------------
Administrator Test Guest
エラーでコマンドが終了しました。
C:\Windows\System32>net user <ユーザー名> <新しいパスワード>
コマンドは正常に終了しました。
あとは再び、Windowsセットアップメディアで起動して、実体がcmd.exeになっているutilman.exeをバックアップしたオリジナルのutilman.orgに戻せばよい。
del utilman.exe
ren utilman.org utilman.exe
Windows 8/8.1/10でMicrosoftアカウントでサインインしている場合、この方法でMicrosoftアカウントのパスワードは変更できない。
本人がパスワードを忘れた場合は、以下のMicrosoftアカウントの[パスワードのリセット]ページを開き、指示に従ってMicrosoftアカウント名やCAPTCHAを入力すると、パスワードリセット用のリンクがアカウント作成時に指定したメールアドレスに送られるので、メールに記載されたリンクを開き、新しいパスワードを設定すればよい。
他人のMicrosoftアカウントが設定されている場合、[コンピューターの簡単操作]アイコンをクリックしてコマンドプロンプトが開いた後、以下のコマンドを実行して、Administratorアカウントを有効化して、パスワードを設定すればAdministratorアカウントでサインインできるようになる。
C:\Windows\System32>net user Administrator /active:yes
コマンドは正常に終了しました。
C:\Windows\System32>net user Administrator <パスワード>
コマンドは正常に終了しました。
パスワード設定後、[電源]アイコンをクリックし、メニューから[再起動]を選択して、Windows 8/8.1/10を再起動する。
再起動後、Windows 8/8.1の場合、[サインイン]画面でのユーザー名の左側に矢印が表示されるので、ここをクリックする。ユーザーの選択が行えるので、「Administrator」を選択、先ほど設定したパスワードを入力してサインインする。Windows 10の場合は、[サインイン]画面の左下にアカウント名が表示されるので、「Administrator」をクリックする。
[A]
これでWindows 8/8.1/10の操作が可能になるので、必要なファイルをコピーしたり、新しいアカウントを追加したり、パスワードが分からないMicrosoftアカウントを削除したりといった作業を行えばよい。
このようにちょっとした操作により、簡単にパスワードの再設定が可能だ。パスワードを忘れてしまったPCを救済する方法として有効な半面、セキュリティ面では大いに不安の残る仕様(?)となっている。パスワードが設定されているからといって安心できないことがお分かりいただけただろう。ノートPCなど、簡単に盗まれたり、忘れたりしてしまうようなもののハードディスクは、暗号化しておくなど、セキュリティを高める工夫をした方がよい。
■更新履歴
【2016/06/24】Windows 10への対応などを追記。
【2013/12/06】初版公開。
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