早朝に福島グラッ 東日本大震災の余震で津波1・4メートル

2016年11月23日6時0分  スポーツ報知
  • 宮城県多賀城市の砂押川をさかのぼる、地震で発生した津波(22日午前=宮城県警提供)

 22日午前5時59分ごろ、福島県沖を震源とするマグニチュード(M)7・4の地震があり、福島、茨城、栃木の3県で震度5弱を観測した。仙台市に140センチ、福島県の東京電力福島第1、第2原発にそれぞれ100センチの津波が到達した。気象庁によると、東日本大震災の余震とみられ、140センチの津波観測は大震災以降最大。総務省消防庁は宮城、福島、千葉各県と東京都で計17人が負傷し、うち3人が重傷と発表した。

 東日本大震災から5年8か月、震災以来最大となる津波を発生させる大型地震が福島県を中心に起きた。

 気象庁によると、震源地は福島県いわき市の東北東約60キロ沖で、震源の深さは約25キロ。M7・4の規模は、1995年の阪神大震災(M7・3)や今年4月の熊本地震(〃)を上回った。仙台市に140センチ(震災時7・2メートル・気象庁発表)、福島県の東京電力福島第1、第2原発にそれぞれ100センチ(震災時は14~15メートル・東電発表)の津波が到達した。東日本大震災の余震とみられ、140センチの津波観測は大震災以降最大となる。今後1週間程度、最大震度5弱の地震と津波に注意が必要としている。地震の規模が大きく震源が浅かったため、大きな津波になったとみている。

 気象庁は福島、宮城両県に津波警報、青森、岩手、茨城、千葉各県に津波注意報を出した(午後1時前に全て解除)。沿岸部の一部自治体の住民らに避難指示も出され、約1万4000人が避難した。

 福島県いわき市の沿岸部では、日の出前でまだ薄暗い早朝、住民に「直ちに高台などに避難を」と呼び掛ける防災無線が鳴り響いた。市内の高台にある宿泊施設には約300人が身を寄せた。震災で自宅が全壊した同市の会社員・新妻広志さん(46)は「覚悟はしていたが、こんなに早く再び大きな地震があるとは思わなかった」と恐怖に震えた。

 夜間も含め自宅に長期滞在できる準備宿泊が9月に始まった沿岸部の富岡町で、自宅に泊まった無職・安藤桂一さん(75)は「東日本大震災の時の地震と同じくらいの揺れだったが、時間が短かったので怖くなかった」と話していた。

 宮城県多賀城市では、市内を流れる砂押川を津波がさかのぼる様子が確認された。逆流距離は少なくとも約3キロに上り、地震発生から約3時間後の午前9時ごろ確認され、市中心部のJR多賀城駅近くに到達した。この川では東日本大震災でも同様の現象が起き、河口付近が決壊して浸水被害が発生したが、今回は無事だった。

 安倍祥・東北大助手(津波工学)は「東日本大震災のようなM9クラスの地震が起きた場所は、数年から十数年、長ければ数十年影響が残るため、今後も大きな地震、津波が起こる可能性もある。いつでも避難できるよう日頃から備えることが重要だ」と呼び掛けた。

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