【ニュルンベルク=加藤貴行】独シーメンスは22日、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」分野で米マイクロソフトとの提携を発表した。産業機器が集めるビッグデータを分析するシーメンスのプラットフォームを、マイクロソフトのクラウド向けに2017年から提供する。シーメンスは顧客企業の利便性を高め、自社サービスや生産効率化に役立つソフトウエアなどの利用拡大にもつなげる。
独南部ニュルンベルクで22日始まった世界最大級の産業用制御機器の見本市で発表した。シーメンスのIoTプラットフォーム「マインドスフィア」を、マイクロソフトのクラウド「アジュール」で使えるようにする。
マインドスフィアは機器のセンサーなどが集めるデータを分析し、世界中の工場で予測保守やエネルギー管理、投入資源の最適化などができる。設計などの応用ソフトも付加し顧客が自社仕様に使い方を変えることも可能。シーメンス自らクラウドで提供するが、アジュールで利用できるようにし顧客の広がりを円滑にする。マイクロソフトの機械学習の機能などとの連携もにらむ。
マインドスフィアはシーメンスとあらゆる分野で競合する米ゼネラル・エレクトリック(GE)の「プレディックス」と似ている。プレディックスも17年からアジュールで利用できる予定だ。IoTを巡っては世界の製造業とIT(情報技術)の大手間で競合と協調の関係が複雑になっており、今回はその象徴ともいえる。
欧州の産業用電機大手ではABB(スイス)も10月、マイクロソフトとIoT分野での提携を決め類似サービスを拡大する方針。一方、シーメンスは独SAPのデータ高速処理技術「HANA」をマインドスフィアに活用し、SAP側はマインドスフィアに応用ソフトを提供する関係にもある。