この話は汚い言葉が沢山出てきます!お食事中の方や汚い話が苦手な方は読み飛ばす事をオススメいたします。それでも大丈夫な方はぜひ読んでみて下さい・・・。
マネージャーの軽い指示
その日はいつもと違い、仕事の終わりにマネージャーに「ちょっといい?」と声をかけられました。
そして「明日は早朝から直接この現場に向かってもらえる?」と現場の住所を教えられます。
「あと詳しくは担当のお兄さんに人に聞いてねー」と言ってマネージャーはそそくさと帰ってしまいました。
(何だろう・・・不安になってきました)
担当のお兄さんの険しい表情
翌朝、現場の入り口にいる「怖そうなお兄さん」を見つけ挨拶をします。
何だかその日のお兄さんは険しい顔でタバコをプカプカ吸っていました・・。
(そんなにヤバイ現場なのか?)
緊張が高まり、思わず私が先に口を開きました。
「あの・・今日はどうしましょうか?」
お兄さんはタバコをくわえたまま答えます。
「ああ、今日はハトがな・・・」
ハト???
話を聞くと、ここの死んだ住人はマンションのベランダに勝手に「ハト小屋」を造り、ハトを飼っていたそうなのです。
※ハトっていうのは、公園とかにいる普通のハトです。
(ハトを追い払えばいいのかだろうか・・?)
しかしどんな悲惨な現場でも担当の「怖そうなお兄さん」がこんなに険しい表情をした事はありませんでした。
(これは何かある・・・)
お兄さんは「まぁ中見てよ」と言いながら、アゴをクイッと突き出して「中に入れ」と指示を出します。
そしてお兄さんはこう付け足します。
「クツ脱がなくていいからね」
ああ・・私はその言葉を聞いて覚悟を決めました。
妙に薄暗い部屋
すでに電気は通ってないのだが、それにしても暗い。
珍しく、怖いお兄さんも一緒に部屋に入ってきます。
部屋はよくある「お年寄りの部屋」という感じで特別何も感じませんでした。
私は(部屋に盆栽が沢山あるけど、室内で盆栽が育つのかな?)何て事を考えながら薄暗い部屋をキョロキョロ見渡していました。
(死因は何だろう?)
(グチョグチョなのかな?)
と不安になりながらも、まずは布団を探し
ペロッとめくります。
そこで布団の上にシミ(血痕?)を見つけて「ホッ」とします。
これなら恐らくただの病死だろう。
(じゃあ何がそんなに問題なのだろうか?)
すると、お兄さんが「ここ、ここ」とベランダを指差します。
私はハト小屋の話を思い出し、ビクビクしながらベランダに向かいました。
最低最悪の現場
ハト小屋と呼ばれていた場所は
「ハト小屋なんてカワイイ物ではありませんでした。」
そこはハトが撒き散らしたフンが何層も重なり、ドロドロに固まった沼のような状態になっていたのです。
(確かにこれはマズイ・・)と思いました。
なぜなら、ハトのフンは吸い込むと「オウム病」という病気になる可能性がある、と何かで聞いた事があったからです。
これで怖そうなお兄さんも嫌な顔をしていたわけか・・と納得しかけた、その時!
私は気づいてしまいました・・・・。
(フンの中で何か動いている・・・?)
ゴキブリの楽園
1匹、2匹、10匹、いや100匹?1000匹?いやまだ足りない。
1万?2万?わからないが、こんなに膨大な数のゴキブリを見たのは生まれて初めてでした。
(このベランダを掃除しろというのか・・・)
私は放心状態になっていました。
お兄さんは現場を見ながら「ここだけ全部撤去して掃除してくれればいいから」と言ってどこかへ行ってしまいました。
さり際のお兄さんの目が優しく見えたのは、これが最初で最後でした。
もう、やるしかない、やるしかないんだ!
走って社用車の軽バンに戻って、積んであったデッキブラシとホースとバケツを持ってクツも長靴に履き替えて部屋に戻ります。
そして・・・ベランダを開けました。
ハトの夫婦
ベランダを開け、足元を見ると卒倒しそうな光景が広がっていました。
(実は1回ベランダを開けたあと、本当に目眩がして一度閉めました)
ハトのフンで出来た沼地に、はびこる膨大な量のゴキブリ達!
(もういやだ・・・・・・)
と、何かの目線を感じてベランダの隅を見ると、まだそこには2匹のハトがちょこんと止まっていたのです。(小屋は開いています)
2匹のハトは涙目の私を悲しげな目で見つめています。
「お前のせいでこうなってるんだぞ!」
私は2匹のハトに向かって激怒して叫びました。(頭がおかしい)
ハトも困った顔をしています。
死人の部屋、あふれるハトのフン、大量のゴキブリ、そして私、そこに救いはありませんでした。
限界を超えた私は、怒りに任せてハトのフンの中に飛び込みました。
ゴキブリ無双
半狂乱になった私にもう怖いものはありませんでした。
逃げ惑うゴキブリ達、怯えて震えるハト。
阿鼻叫喚の地獄絵図でした。
私はデッキブラシを槍のごとく力強く突き出し!
次々とハトのフンで出来たゴキブリコロニーを潰していきました。
約4時間の格闘のすえ、ハトのフンとゴキブリを完全に駆逐することが出来ました。
残されたハト小屋
ベランダで奇声をあげながら大暴れした後、ベランダの隅にあるハト小屋を見ると、そこにはまだハトが2羽とまっていました。
よく見ると小刻みに震えているようです。
かわいそうに・・・。
こんなに頭のおかしい人間を見たのは初めてだったのでしょう。笑
私はホウキで2匹のハトをパッパッと追い払おうとしました。
しかしハトは動きません・・・人間に慣れすぎているのだろうか?
とりあえずハトの事は置いといて・・私はハト小屋を解体する事にしました。
頑丈に作られた小屋
小屋は針金やなんかでガチガチに巻きつけられていました。
作りはめちゃくちゃで、木の板や色んなゴミを寄せ集めてあるだけのモノでした。
とても小屋と呼べるモノではありません。
小屋を撤去すると、日光が入るので部屋もパァッと明るくなりました。
夕方には片付けが終わり、報告を済ませ、帰ろうとしました。
しかし小屋がなくなっても2匹のハトはまだ動こうともしません。
ぜんぶ人間のエゴ
結局このハトも、ここの住人の犠牲者だったのかもしれません。
故人の事を悪く言うのは気が引けますが。
どうやってハトを引き込んだのかは知りませんが
勝手に小屋を造り責任もとれないのにハトを飼い
近隣住民にも迷惑をかけ
マンションをフンだらけゴキブリだらけの状態にしてしまったのです。
2匹のハトを見ながら自分勝手な人間のエゴに腹がたちました!
しかし小屋から開放されベランダに止まったままでいたハトも「何かを悟ったのか」私の帰り際にはどこかへ飛び立っていきました・・・。
どこかで元気に暮らしているといいのですが・・・。
さいごに
汚い話をして申し訳ありませんでした!!!!!!!
私はいまだにゴキブリを見るとトラウマが蘇ります^q^
私も長年ネコ、犬、ウサギ等のペットを飼っていたのですが、一人暮らしを始めてからは何も飼わないように決めています。
私に何かあった時に、私のペットがこの話のハトのような状態になるのではないか?と考えてしまうからです。
何かを飼う以上、ちゃんと最後まで責任を持たなければいけない!と私に教訓を与えてくれたエピソードでした。
もう絶対こんな仕事はしません!!!!!!クソ!!!!