【ワシントン西田進一郎】新政権の人事を進めるドナルド・トランプ米次期大統領は21日、民主党の下院議員トゥルシー・ガバード氏ら女性3人と会談した。米メディアは、ガバード氏が国務・国防両省の要職や国連大使などの候補に浮上したと報じた。これまで政権入りが決まったのは白人男性ばかりで、トランプ氏が多様性のある人事を行うか注目されている。
ガバード氏はイラク駐留経験がある退役軍人で、ヒンズー教徒初の連邦下院議員だ。民主党予備選では、イラク戦争開戦に賛成したヒラリー・クリントン前国務長官を批判。党全国委員会副委員長を辞任し、軍事力行使に一貫して慎重なバーニー・サンダース氏を支持した。会談は、対シリア政策やテロとの戦いで意見を聞きたいとして、トランプ氏側が要請したという。
党予備選のころから女性や中南米系(ヒスパニック)、イスラム教徒を侮辱する発言が相次いだトランプ氏。大統領選の勝利演説では「今こそ、一致団結した国民として協力する時だ」「全ての米国民の大統領になると誓う」などと主張した。
だが、これまで起用を発表したホワイトハウスの首席補佐官ら3人▽司法長官▽中央情報局(CIA)長官--の計5人はいずれも白人男性。不法移民やイスラム教徒らに対する強硬姿勢がトランプ氏と重なるなど、多様性にはほど遠い。
トランプ氏は21日、ガバード氏のほか、内務長官への起用が取りざたされる南部オクラホマ州のメアリー・ファリン知事、アジア系米国人女性で初の閣僚を務めたエレーン・チャオ元労働長官の女性2人とも会談。トランプ氏の広報官は「最終的には閣僚も政権も、非常に幅広く多様性のあるものになるだろう」と強調した。