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韓国が朴槿恵(パククネ)大統領の疑惑をめぐり、混乱を深めている。 市…
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韓国が朴槿恵(パククネ)大統領の疑惑をめぐり、混乱を深めている。
市民のデモが週末ごとに、大統領府に近い大通りを埋め尽くし、退陣を叫んでいる。
朴氏はこの批判に謙虚に耳を傾け、速やかに検察当局が求める事情聴取に応じるべきだ。
検察は、朴氏の知人女性や前秘書官ら計3人を職権乱用罪などで起訴した。知人女性が絡む財団に資金を出すよう財閥に強要したり、大統領府の文書を流出させたりした疑いがある。
検察はさらに、この3人と朴氏が「相当部分について共謀関係」にあった、と結論づけた。事情聴取を再三、求めても応じないため、3人の供述から判断したようだ。
これに対し、朴氏の代理人は「想像と推測を重ねた砂上の楼閣」と述べ、容疑を否定した。今後は検察ではなく、政府と独立して置かれる特別検察官の捜査にだけ応じるとしている。
だがどうして自国の検察を信じられないのか。なぜ反論があるなら調べに応じないのか。
先に国民向けの謝罪談話の中で朴氏は「検察の調べに誠実に臨む覚悟だ」と述べた。しかし、自分の意に沿わない結果が出た途端に前言を翻すようでは不信感をあおるだけだ。
韓国憲法は、内乱罪などの場合を除いて、大統領を逮捕起訴できないとしている。だが、検察は朴氏を「容疑者」として、捜査を続けると表明した。
政界では、国会で弾劾(だんがい)訴追する動きが強まってきた。弾劾は憲法で認められた手続きだ。
弾劾決議に必要な国会の在籍議員の3分の2以上の賛成は得られそうな情勢だが、最終的には憲法裁判所が罷免(ひめん)するかどうかを決める。
過去に1度だけ弾劾決議された故・盧武鉉(ノムヒョン)大統領は、憲法裁が訴追案を棄却した。
朴氏は弾劾が決議されても憲法裁でひっくり返せると考えているのかもしれない。だが、弾劾の行方がどうなろうと、朴氏が国民に真実を明らかにしない限り、混乱は収まるまい。
国家権力の不正の疑いが強まった今、朴氏は訴追を免れる大統領特権を振り回すべきではない。これまでの政権運営のありのままの事実を公に説明することが、指導者としてまず果たすべき最低限の義務だろう。
安保面でも経済面でも、国家を揺るがす事態を長引かせる余裕はないはずだ。
12月には日中韓首脳会談が東京で予定されている。危うい北朝鮮の挑発に対処するうえでも周辺の国々は、韓国の一日も早い正常化を望んでいる。
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