ロードマップでチョン・ユラ氏のモデルとなっていたキム・ヨナは、経済的にさほど余裕がなかったため母親と共にスケート靴や衣装の手直しもやっていた。一方で同じオリンピックの夢を抱く乗馬の母と娘は、不正な方法でまず資金集めから始めた。乗馬のために金が必要だったのか、あるいは乗馬は手段で金が目的だったのかは分からない。ただ崔順実氏とチョン・ユラ氏の二人の行動が、困難な中で夢を追い求める全てのスポーツ選手に絶望感を抱かせたことだけは間違いない。韓国でスポーツをやるには資金力に加え、権力者との個人的な関係まで必要であるなら、自らの才能だけを信じてチャレンジする若い選手たちはどうすればいいのだろうか。
ただそれでもスポーツには絶対にごまかせない点もある。金と人脈で不正行為に手を染めれば、一時的には成功できるかもしれないが、それによってオリンピックでメダルを獲得することは絶対にできない。韓国の大統領どころか世界の大統領が後押ししても、オリンピックのスコアは勝手に変えられないからだ。金メダリストは金ではなく汗と努力によって生み出される。これは10年前も今も変わらないし、今後も絶対に変わらないだろう。今回、乗馬の母娘の計画は途中で発覚し、中断を余儀なくされた。最近の甚だしい混乱の中、このことだけはわずかな慰めになっている。