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サーモンガレッジ!

水産商社マン、ジョージ・ホルヘのサーモン愛

「いくら泥棒」は水産業界の失業問題を現しているのかもしれない

オラ!

ジョージです!

悲しいかなサケのニュースを見かけるようになったと思ったら...

「いくら泥棒」なるものが世間を騒がせているようですね。

「サケの腹を裂け!」なんて悠長なこといってる場合ではない!

水産泥棒は断じて許せませんね!

とまぁ、泥棒を非難するのは簡単ですがここで考えたいのが

「なぜいくらを盗むに至ったのか」ですね。

水産業界に見る失業率と犯罪の関係

いくらの盗難が今はニュースとなっていますが、つい先日までは静岡のカキ泥棒が話題になってました。というのも牡蠣がこれほど大量に盗まれることは近年なかったと組合長も仰っているんですね。養殖カキ1000個超盗難 湖西の業者 猪鼻湖|静岡新聞アットエス

100キロものいくらや海中のカキ1000個といった大量の水産生鮮品を盗むのはまず一般消費者では御座いませんし、さらに売り先がある人なんて水産業界筋の仕業ですよね、これ。

失業率と犯罪の相関関係

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失業率と犯罪発生率の関係: 時系列および都道府県別パネル分析

失業率が上がればそれに応じて犯罪率もあがる。

図の通り犯罪率と失業率は少なからず相関関係があります。

ちなみに今年の鮭は記録的大不漁!一部では今後も鮭の不漁は続くとも言われています。秋サケ記録的大不漁、主群4年魚回帰予測の半分以下 - サケ | 日刊水産経済新聞

秋サケ(いくらの親)がこれだけの大不漁では鮭漁師も仕事がなく、また漁師だけでなく売るものがなければ、水産卸売会社も商売上がったりです。

転職できない水産業界の構造的問題

「それで泥棒になってしまうくらいなら水産業なんてやめろよ」

「転職しろよ」

なんて思う方も多いかもしれません。

しかし水産現場では学歴を持たず、水産一筋でずっと地元(田舎)で育ってきた人が本当に多い!

例えばこのいくら泥棒の境遇がこんな感じだったらどうだろう。

中学卒業後、地元で漁師になりそれ一本で10年余。しかし今年は鮭が全く取れない。学歴も転職スキルもまるでないし、地元を離れたこともない。さらに船の維持費燃料代も賄えない。そうはいっても地元では漁師以外の仕事がない。では今年をどう乗り越えよう...例え泥棒がバレても会社をクビになるわけじゃないし...そういえば漁師のあいつも昔悪さをして捕まったって言ってたなぁ...

もしかするとこの方はいくらを盗んで一人儲けようと企んだのではなく、泥棒せざるを得なかった境遇の人かもしれませんし、単に魔が差したわけでもなくリスク分析をした結果の行動ともみえます。

まとめ

最近の水産泥棒のニュースは水産業界の失業問題が犯罪という形で顕在してきているのではないかとこの業界にいると考えてしまうのです。いくら泥棒の出現は日本の水産業界の現状を見るともはや必然だった気もしてくるのです。 

 風が吹けば桶屋が儲かるじゃありませんが「魚が取れなければ泥棒が増える」ような構図が地方の漁師町にはあるのかもしれませんね。

ちなみに...

なぜいくら泥棒はいくらだけとって鮭は盗まなかったのか

 いくらを持った鮭はそこまでおいしくない!

 なぜかと言うと鮭の親は全身の栄養を卵であるいくらに持たせます!排卵を控えた鮭の身が白くなるのも、いくらが鮭のアスタキサンチン(赤くなる成分)を持ってっちゃうからなんですよ。美しいいくらに比べれば卵を産んだ後の鮭は味も落ち、格段に安いのです。

 

と、まぁなんだかどうにもこうにも無性に悔しいニュースですよね。

ということで年末くらいは魚いっぱい食べようぜみんな!

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ここまで読んでいただいてありがとうございます!

ジョー