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中央特快に乗って新宿駅から約35分、八王子駅までやってきた。八王子は江戸時代から甲州街道の宿場町として栄えた土地。絹製品の集散地としての歴史を持ち、この駅を通る中央線、横浜線は、明治以降、絹製品や生糸を運搬することを重要な役割としてきた。そのほか八王子と群馬県高崎市までを結ぶ八高線、そしてJR駅と徒歩5分ほど離れたところには京王線の終点となっている京王八王子駅もある。
私が八王子駅になにより注目するのは貨物取り扱い駅であることだ。中央線では立川駅以西あたりから貨物列車をよく見かけるようになるが、八王子駅には貨物ヤードもあるし、貨物時刻表を見るとこの駅に停車する貨物列車の数は多い。
今日はたくさん貨物列車を見られるだろうと期待をしながら昼時の八王子駅に着くと、残念ながら構内に貨物の姿は見えない。貨物ヤードにはHD300という主に入れ替えに用いられるハイブリッドの機関車や、石炭用貨車、レール用の貨車がいるくらいだ。
とりあえず別のホームで八高線や横浜線の写真を撮っていると、中央線ホームの隣の線路におもむろにやってきたのは、勾配とカーブの激しい中央線方面で活躍するEH200ブルーサンダーという花形機関車の引く貨物列車だ。
その後は次々と駅構内に貨物機関車が発着。この駅にやってくるのは石油などの燃料を積んだタンク車を引いた機関車が多い。機関車が駅構内に入ってくると、その車両重量のためか在来線が走行する時とは全然違う重厚な走行音が響き、車両が停止・発車する時には汽笛を発するので独特の臨場感が生まれる。「貨物萌(も)え」にはたまらない音の響きだ。
一通り貨物機関車の行き来を見て満足したので、今まで行ったことのない京王八王子駅を目指すことにする。JR駅から北側に徒歩5分弱の京王八王子駅を探すが、地図上にあるはずの場所にどうも見当たらない。あたりをぐるぐる巡ったあげく、この京王八王子駅が地下駅であることがわかった。駅は平成元年に地下化。ホームの上り側端っこから見ると、駅を出てすぐに急勾配を上り、線路は地上に出てゆく。
京王線駅を見て再びJR駅に戻ってくると、ホームにはEF210桃太郎機関車の引く貨物機関車が入ってくるところだった。一日中貨物列車の行き来をホームで見届けることのできる八王子駅は、貨物マニアにとってまさに楽園だと実感した。
東京生まれ。東京女子大卒業後、雑誌「東京人」勤務。1997年より副編集長、2010年退社。都市、建築、鉄道、町歩きなどをテーマに執筆活動を行う。著書に「大人の東京散歩 昭和を探して」「鉄道沿線をゆく 大人の東京散歩」「わたしの東京風景」「シブいビル 高度成長期生まれ・東京のビルガイド」など。
鉄道にグッとくるとは? 雑誌「東京人」元副編集長、鈴木伸子が日々の通勤、通学電車で見つけることのできる「まずはココを見て 乗って楽しむべき!」というカーブや鉄橋を、ポイント別に写真と文章で解説。
より快適になったポメラ
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