故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領のケースでは2004年3月に弾劾訴追案が提出され、それから3日後に国会本会議で可決された。しかし今回は国会で弾劾に賛成する議員の数を04年の時ほど確実には把握できていない。また野党では慎重論も根強いため、いたずらに時間を浪費する恐れもある。国会は遅くとも12月上旬には国会本会議で弾劾訴追案を採決し、直ちに結論を出さねばならない。国会で弾劾訴追案が可決されれば、憲法裁判所が審理を開始する。ちなみに盧元大統領の時は憲法裁が結論を出すまでに64日かかった。憲法裁は公正かつ慎重な判断を下さねばならないため、集中して審理を行い国政の空白を最小限にとどめなければならない。
今懸念されるのは野党の対応だ。野党の中には弾劾手続きが思い通り進まず、国政の混乱が続いても損はしないとの考え方もあり、また今の状況が続けば次の大統領選挙で有利になるとの見方もあるという。このような野党の態度を目の当たりにしている国民の忍耐にも限界がある。首相の推薦を拒否し、弾劾が可決された後に今の首相が大統領の権限代行を務める状況をつくったのも野党だ。その上今回の弾劾手続きにもいたずらに時間をかければ、国民の怒りが今度は野党に向かうことも考えられるだろう。
一方で政界は今のこの危機を大韓民国を新たに生み変えるチャンスと見なし、今後の方向性についての議論も始めなければならない。これほど大きな犠牲を払いながら、憲法の定めに縛られ再び禍根を残すようなことや、ただ時間の流れるまま終わるようなことがあってはならない。大統領とその周囲の人間たちの魂胆を根本から遮断すると同時に、権力を分散して与野党による共同の統治ができる道を開くための憲法改正は、強い意志さえあれば弾劾手続きが進む中でも推進できるはずだ。