「ミニファミコン」で別コントローラーを使えるように改造してみました(ウェブ情報実験室)
小さくて昔のようにプレーできない(ということにしている)アナタに
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「ミニファミコン」で別コントローラーを使えるように改造してみました(ウェブ情報実験室)
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こんにちは、フリーライターの宮里です。
ミニファミコンこと「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」は、1983年に発売されたファミコンを小型化し、30本ものソフトを内蔵して登場した製品。しかしコントローラーまで小型化されているため、どうしてもプレーしづらいのが悩みです。そこで、別のコントローラーが使えないかを試してみました。
この記事は、身近にある「疑問」や「不思議」を検証する『ウェブ情報実験室』です。
実験の目的
操作しやすい別の大きなコントローラーで遊べるようにする動機
ライターの中山さんから、「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータのコントローラーが小さくて使いにくいって声が多いので、昔のファミコンとかUSBのコントローラーに付け替え改造の記事できないかなぁとか思ったり。自分ではできないので宮里さんにw」〔原文ママ〕という話をもらい、調べ始めました。最初はコントローラーをバラし、ボタン部分を延長するという力技で考えてたのですが、ふと海外版となる「NES Classic Edition」を見てみたところ、コントローラーはコネクタ式、しかもWiiやWiiUのあの形になってるじゃないですか。
さらに調べていると、「NES Classic EditionのコントローラーはWii Uのバーチャルコンソールで使えるよ」という話が見つかりました。つまり、Wii/Wii Uとコントローラーの互換性がある可能性が高くなったわけです。
日本と海外で基板やシステムを別に作るメリットは薄いだけに、日本のミニファミコンでもWii/Wii Uのコントローラーがつながるんじゃないかと調べてみたところ、バッチリこの改造をされている方がいました。
しかし、このコネクタを手に入れるのが大変難しい......。Wii用コントローラーのケーブルを切って基板へはんだ付けしようかとも思ったのですが、それだとコントローラーの交換ができません。しかも、ライターの中山さんに「個人的には元のコントローラーと差し替えられるようなシステムにしたい」〔原文ママ〕というリクエストをもらってるので、やはりこの方法はダメです。kako blog
ファミコンミニを手に入れたので、コントローラー交換改造してみた
<しれっとハードルあげやがって......>などという気持ちが湧かなくもないですが、考えてみれば当然の要望。自分が他人にやってもらうなら、絶対にいいます。
さらにいうと、今回改造に使うミニファミコンは借り物。一応「最悪の事態(壊すこと)は考えておいてください」と伝えてはあるものの、できるなら壊さずに元に戻せる方がいいに決まってます。
Wii/Wii Uのコントローラーがつながることは確定ですが、もうひとつの要望であるUSBコントローラーの接続もなんとかならないか、試してみたいところです。
そんなわけで、
1.コントローラーの付け替えを可能にする
2.元のコントローラーも使えるようにする
3.改造前に戻せるようにする
4.USBコントローラーがつながらないか可能性を探る
という4つを目標に、改造&実験をしていきたいと思います。
実験対象
今回の実験で使うのは、当然ながらミニファミコン本体。海外版と違ってケーブルが直に生えており、普通の方法では交換ができません。さらに元のコントローラも使えるようにしたいので、大きく2つの改造をすることになります。ひとつは、本体から出ているコントローラーケーブルのコネクタ化。もうひとつが、コントローラー側のコネクタ化です。
実験方法
<実験1>本体とコントローラーのコネクタ化まずは本体側のコネクタ化と、Wii/Wii U用のコントローラーが使えるかの動作確認です。
今回はコネクタ単体を入手するのをあきらめ、Wiiリモコンへつなげる拡張コントローラー「ヌンチャク」用の延長ケーブルを使うことにしました。1480円で購入。
オス・メス両方のコネクタが手に入るうえ、コネクタ側の配線をしなくて済むので、大変都合がいいことから採用しました。これを切ってメス側は本体に、オス側はコントローラーに使おうという考えです。黒いケーブルがよかったのですが、すぐに手に入るのは白しかなかったので妥協しました。
動作確認には「クラシックコントローラー」を使います。手持ちのコントローラーがなかったので、中古で安い製品を探してみたところ、見つかったのがこれでした。910円で購入。
この改造がうまくいったら、元のコントローラーのコネクタ化と動作確認も試します。
<実験2>USBコントローラーが使えるか
最初の要望でUSBコントローラーというのも出ていたので調べてみたところ、Wii/Wii UからUSBへの変換はたくさんありますが、その逆というのがなかなかありません。ようやく見つけたのが、サイバーガジェットの「CYBER・USBコントローラー変換アダプター(Wii U用)」(CY-WIUCCAD-BK)というものです。
すでに終了品なのか扱っているお店は少ないのですが、運よく中古で販売しているのを見つけて確保しました。これがうまく動いてくれれば、多数あるUSBコントローラーが使えるようになるだけに期待が高まります。2580円で購入。
USBコントローラーとして用意したのは、バッファローの「レトロ調 デジタル対応 USBゲームパッド」(BGCFC801RDA)です。せっかくのファミコンですしね。見た目もそろえたいところ。709円で購入。
なお、変換アダプターで動作確認済み製品ということで、手元にあったPS3用のDUAL SHOCK3も試してみることにします。
USBコントローラーが使えるもうひとつの可能性として、本体のUSBが電源としてだけでなくUSB機器の接続にも対応しているのではないか、というのがあります。実際に基板をひっくり返してUSB周辺を見ると、信号線がSoCまでつながっていました。使える可能性はゼロではないと考え、OTG対応の給電可能なUSBハブ「RUH-OTGU2CR+C」を使って試します。手元にあったものなので少し古いですが、AndroidタブレットやWindowsタブレットでの動作実績があります。
実験結果
<実験1>本体とコントローラーのコネクタ化実験結果というよりほぼ改造手順ですが、気にせず進めていきましょう。
まずは本体の分解から。底面ゴム足の下に4本ネジがあるので、外していきます。任天堂お得意の特殊ネジではなく、ごくごく普通のプラスネジでした。これは、どうぞ分解してくださいという意思表示のように思えてなりません(気のせい)。
ネジを外すと簡単に底面が開きます。ここで基板のネジを5本外し、コントローラーのケーブルを外してから基板をひっくり返します。このとき、先に電源やリセットスイッチにつながっているケーブルを引き抜くのを忘れずに。その後、慎重にコントローラーのコネクタを引き抜きます。
続いて、ヌンチャク用の延長ケーブルのコネクタ部を分解して延長ケーブルの信号を調べ、元のコントローラーの信号と並べたのが、次の表です。
信号 | ミニファミコン | 延長ケーブル |
GND | 白 | 緑 |
SDA | 緑 | 青 |
SCL | 黄 | 白 |
DEVICE DETECT | 黒 | |
VCC | 赤 | 赤 |
この信号が合うように、差し替え用のコネクタ付きケーブルを作成します。どうでもいいですが、延長ケーブルの方は、なんでパステルカラーなんだろう......。
まずコネクタを用意する必要があるのですが、これは日本圧着端子製造株式会社の「ZHR-6」というのがぴったり合います。圧着コンタクトの「SZH-002T-P0.5」と一緒に入手しておくといいでしょう。これらはマルツパーツのほか、RSコンポーネンツ、チップワンストップなどから通販で購入できます。
ヌンチャク用延長ケーブルは、大体30~40cmくらいで切断し、3cmほど被覆をはがしておきます。線は5本出てきますが、今回、ミニファミコンのコントローラーではDEVICE DETECTが使われていないので、黒い線は無視することにして、4本だけ使うことにしました。
ケーブルの被覆をワイヤストリッパーで切り、圧着していきます。
圧着が終われば、コネクタに装着していきます。信号を間違えないよう、上の表を見ながら作業します。
ということで、差し替え用のコネクタ付きケーブルができました。これを基板に接続し、元のコントローラーと同じようにして組み立てていきます。
延長ケーブルのコード径がほぼ元のコントローラーと同じだったので、本体を削ったりすることなく組み立てられます。無事に組みあがったら、Wiiクラシックコントローラーを接続して動作確認。
バッチリ動作しました。
続いて元のコントローラーのコネクタ化ですが、こちらは「B6B-ZR」というコネクタを使います。延長ケーブルの残りを短く切り詰め、直接はんだ付け。あとは元のコントローラーを装着すれば完成です。こちらも動作確認したところ、問題なく動作しました。
<実験2>USBコントローラーが使えるか
まず「CYBER・USBコントローラー変換アダプター(Wii U用)」を使ったテストですが、USBコントローラーの「BGCFC801RDA」も、DUAL SHOCK3もどちらも動作しませんでした。動作確認済みにあるDUAL SHOCK3は動いて欲しかったのですが......。
変換アダプターが壊れている可能性もありますが、WiiもWii Uもないので確認できませんでした。だた中古品とはいえ、動作確認後の販売となっているハズなので、壊れている可能性は低いです。
もうひとつのUSBハブを使った方法も、スイッチを切り替えたり、電源オンのタイミングを変えたりといろいろ試しましたが認識しませんでした。USB機器を勝手に増設できるような部分を残しておくとは思えませんし、こちらは当然の結果ともいえます。
結論
以上の実験から、Wii/Wii Uのコントローラーは使えるけど、USBのコントローラーを使うのは厳しいということがわかりました。ということで改造した結果をまとめると、1.改造でWii/Wii Uのコントローラーが使える 2.元のコントローラーもWii/Wii Uコントローラー化できる 3.コネクタさえ入手できれば元に戻せる形での改造が可能 4.USBコントローラーを使うのはムズイ |
といったところでしょうか。
Wiiクラシックコントローラーを使うと格段に操作しやすくなりますが、それでゲームの腕が戻るかといえば、それはまた別問題。っていうか、ゲームが下手だったのを嫌というほど思い出すことになりました。
とはいえ、Wii/Wii Uのコントローラーが動くといっても、ファミコンと同じ感覚とはいえません。よりファミコンに近づけたければ、海外通販などで、海外版のNES Classic Edition用コントローラーを入手するのがいいでしょう。送料はかかってしまいますが、9.99ドルです。そしてこだわるなら色を塗るか、ラッピングシートなどでそれっぽく仕上げる、古いファミコンのコントローラーと外装を入れ替えるといった改造をするのがいいと思います。
今回なぜそれをしなかったかといえば......日本と同じく人気があり、品薄で売ってなかったからです。例えば「TARGET」では店頭在庫はあるっぽいんですが、通販はダメでした。
なお、改造で2つともコントローラーをコネクタ化し、別途Wii/Wii U用のコントローラーも買うことを考えると、実は海外版のNES Classic Edition(59.99ドル)を買うのとあまり値段が変わらなくなります。
それならいっそのこと海外版を買って、国内版のメイン基板と入れ替えると簡単にコネクタ化できてしまうわけで......。動作確認したわけではないので確実にできるとはいえませんが、できる可能性は非常に高いです。ひとつの手段として、こういうのもあるというのを選択肢に入れておくのはアリじゃないでしょうか。
おまけ
元のコントローラーをWii/Wii Uコネクタ化した場合、接続部が丸出しなのはちょっと怖いですよね。ってことで3Dプリンターで簡単なケースを作ってみました。ケーブルの根元は細い結束バンドをきつく巻き、抜け防止にしています。これでも強く引くと抜けてしまうので注意が必要です。
3Dプリンター楽しい。
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編集部註:言うまでもありませんが、ハードウェアの改造行為はメーカー保証を無効化します。万が一機器に不具合が発生した場合、たとえ保証期間内であってもメーカーによる無償修理が受けられなくなるのはもちろん、機器を改造したことによって感電や焼損その他の被害が発生する可能性もゼロではありません。すべてご理解のうえ自己責任で行われますようお願いたします。