崔容疑者は自らが通っていたスポーツマッサージ店の経営者を財団の理事長に任命して両財団を自らの支配下に置き、さらに企業から集めた774億ウォン(約73億円)の80%を財団の運営財産としていた。本来、公益財団は資産のおよそ90%を勝手に処分できない基本財産とする。ところがミル財団とKスポーツ財団は774億ウォンのうち620億ウォン(約58億円)を自由に使える運営財産とし、崔容疑者はこれを事実上自らの裏金にしていた。このような財団を国の経済や国民生活にプラスになるなどと誰が考えるだろうか。
朴大統領は財閥トップらに対し、崔容疑者の会社に仕事を回すことや、崔容疑者の個人的な要請に応じることを直接求めていたという。例えば朴大統領は現代自動車の鄭夢九(チョン・モング)会長に対し、崔容疑者の娘・ユラ氏の知人の父が経営するKDコーポレーションという会社に仕事を回すよう要請した。その結果、KDコーポレーションは現代自動車と10億6000万ウォン(約1億円)相当の取引を行い、崔容疑者はその見返りとしてシャネルのバッグなど5000万ウォン(約470万円)相当の金品を受け取っていた。朴大統領と鄭夢九会長との面会には安容疑者が同席していたが、現代自動車はこの安容疑者から広告代理店のプレイグラウンド社を支援するよう要請を受け、70億ウォン(約6億6000万円)相当の広告代を支払っていた。
ポスコ・グループも同じような経緯で16億ウォン(約1億5000万円)を投じてフェンシング・チームを創設し、その実質的な運営は崔容疑者の会社に委託していた。KTグループは崔容疑者が推薦した二人を役員として迎え入れ、プレイグラウンド社にも68億ウォン(約6億4000万円)の広告代を支払っていた。大統領府に呼ばれた企業はどこもオーナー家族が起訴されていたり、あるいは企業の合併といった経営課題を抱えていたりしたところばかりだ。朴大統領は弱みを抱える大手企業に自ら働き掛けて資金を出させ、仕事を回させていたのだ。
起訴状の内容を知った国民は誰もが驚いている。国の公権力を握る最高責任者が犯罪被疑者に転落し、しかも検察の事情聴取も拒否した。朴大統領は自らを破滅に追い込んだ無分別、我執、独断をこの期に及んで捨てられないでいるのだ。このような時こそ憲法に定められた手続きと原則を忠実に実行していくしかない。検察は朴大統領を被疑者として名指しした以上、正式な召喚状を出して法が認める範囲内で真実の解明に最善を尽くし、その結果を特別検事に引き継いでいかねばならない。