【社説】恥ずべき犯罪容疑に開き直り、理性を失った朴大統領

 韓国検察の崔順実(チェ・スンシル)疑惑特別捜査本部は20日、崔容疑者と前大統領府政策調整首席秘書官の安鍾範(アン・ジョンボム)容疑者、前大統領府付属秘書官のチョン・ホソン容疑者らを職権乱用、強要、公務上機密漏えいなどの容疑で起訴し、同時に朴槿恵(パク・クンヘ)大統領を共犯として立件したことを明らかにした。現職大統領が被疑者となるのはこれまでになかった事態だ。

 検察は裁判所に提出した起訴状の中で、崔容疑者や安容疑者らについて「大統領と主席秘書官が職権を乱用し、企業に本来やるべきこと以外のことを強要した」と明記したが、そこに「大統領と共謀して」という文言を付け加えた。これに対して大統領府報道官は「検察の発表は客観的証拠を無視し、想像と推測を重ねた砂上の楼閣」と激しく批判し、また朴大統領の弁護人を務める柳栄夏(ユ・ヨンハ)弁護士は「今後検察による直接の事情聴取には一切応じず、中立的な特別検事の捜査に備える」と表明した。

 朴大統領は今月4日、一連の疑惑と関連して「大きな責任を痛感する。検察の捜査はもちろん、特別検事の捜査も受ける」と明言した。ところが朴大統領は20日になって検察による起訴内容に全面的に反発し、また法律に基づく事情聴取も拒否した。まさに理性を失ったとしか言いようがない。当然国民の激しい反発を受けるだろう。

 検察の捜査結果が事実なら、朴大統領の責任はあまりにも大きいと言わざるを得ない。朴大統領は崔容疑者のグループを大統領府のスタッフらが従うべき私設の権力に仕立て上げ、その結果、崔容疑者らは朴大統領の権力をかさに着て国を私物化し、さまざまな方面で自らの利益を手にしていた。彼らの国政じゅうりんをけん制、あるいは取り締まるべき大統領府は崔容疑者の捜査に当たった特別監察官を「国紀(国の規律)紊乱(びんらん)」との理由で追い出していたのだ。

 朴大統領はこれまでミル財団とKスポーツ財団について「国の経済と国民生活にプラスになってほしいという思いで進めたが、特定の個人が利権を手にしさまざまな違法行為をしていた」と話した。しかし起訴状を見ると、この二つの財団は国家や公共のためではなく、崔容疑者個人によって支配されていたことが分かる。起訴状によると、崔容疑者は大統領から要請を受け、自らに近い複数の人物を財団の役員に起用し、その運営を掌握していた。一方の朴大統領は崔容疑者に財団を支配させ、また7人の財閥会長と個人的に会って財団に資金を出すよう要請していた。

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