第1話 純白の天使

天の国・エンゼ、白の月・・・・ー。

空の彼方から、雪の結晶が舞い降りてくる・・・・ー。

(雪が、綺麗・・・・)

一週間後に行われる、天と地の国の国交復活祭に招かれ、私は天の国・エンゼを訪れていた。

(夢の中みたい)

柔らかな雪が降り積もり、辺り一面がきらきらと輝きを放っている。

私は思わず目を細めた。

セフィル
「いかがですか?我が国は」

○○
「とても綺麗ですね」

私を案内してくれているセフィルさんの声が、降り続く雪の中に吸い込まれる。

セフィル
「もっと美しいこの国の姿をお見せすることもできます」

○○
「もっと美しい姿・・・・?」

私が振り向くと・・・・ー。

セフィル
「失礼、○○様」

○○
「えっ」

セフィルさんは私をふわりと横抱きにした。

純白の翼が静かに羽ばたき、セフィルさんが飛び立つ。

○○
「わあ・・・・」

だんだんと雪原が遠ざかり、私はその美しさに思わず息を呑んだ。

セフィル
「ご覧ください」

セフィル
「あちらの雲の上には神殿」

セフィル
「○○様が本日よりご滞在になる王宮は、あちらの一番高い雲の上に」

誇らしげな声の方を見上げると、セフィルさんが優しく微笑みかけてくれた。

○○
「天の国の人達は、みんな翼を持っているのですか?」

セフィル
「はい。王族だけではなく街の者も皆、翼を持っていますよ」

○○
「こんな景色がいつでも見られるなんて、とても素敵・・・・」

セフィルさんの金色の瞳が、優雅に細められる。

(天使がもしも本当にいるなら)

真っ白な空を舞うセフィルさんは、まつ毛に粉雪をのせていて、

その清らかさが、私の唇から言葉を奪う。

(きっと、こんな姿なんだろうな・・・・)

いつか絵本で見た、天使の姿を思い出す。

静かに降り続く雪の中で私はそっと胸をおさえた・・・・ー。

  • 最終更新:2016-09-18 10:00:05

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