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ディフェクティブガンズ 作者:おにいちゃん
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エマ=ハワード

ガーデンオーダーというtrpgのキャラクター作成時のバックグラウンドとして書いたものになるのでリプレイにはなりません。

ガーデンオーダーというtrpgを知らなくても読めるようにしてあるつもりです。
雨の降る路地裏で少女を抱きしめながら私は嗚咽を漏らしていた。
頬を流れる水がそれは雨なのかそれとも自分自身の涙なのかすら分からないくらい自分の無力さに絶望していた…



遡る事10年前…
私はアメリカのとある実業家の家で育ち6歳の誕生日をレストランで迎えた時に事件が起きた。

「僕の可愛いエマ、誕生日おめでとう。」
そういって父は首飾りを私にかけてくれた。
「それは祈りの首飾りなのよ。我が家に昔から伝わる首飾りらしくてね、絶望から救ってくれるお守りなのよ。と言っても私達が貴方に絶望なんてさせないけどね。うふふ。
じゃあせっかくのご馳走だし暖かいうちに食べましょうね。」
母はそう言って私の頭をなでてくれた。
父と母はいつも忙しくなかなか一緒に晩御飯を食べられ無かったので私からしたらご馳走を食べるよりも一緒に食卓を囲めるのが何よりも嬉しかった。
私は早速スープに手をつけようとした瞬間急な銃声が私達を凍りつかせる。
目出し帽を被った幾人もの男達が急に店内になだれ込んできて銃で威嚇しながら金品を奪い始めたのだ。父と母は私を少しでも守ろうとしっかり抱きしめてくれていたが強盗達は私達の元にもきて持っている金品を奪いにきた。
両親は財布や身につけていた指輪なども差し出して穏便に済ませようとしたのだけど強盗が私の首飾りを見つけると私から無理やり首飾りを奪おうとしてきた。
なんでこんな奴に今しがた父からもらった首飾りをくれてやらなきゃいけないのかと腹が立ちついカッとなって強盗の手に噛み付いてしまった。
それがいけなかった。
その瞬間強盗は怒声をあげながら私をひっぱたき、銃口を突きつけトリガーを引いた。
何度も何度も私の耳に銃声が鳴り響き私は訪れるであろう痛みに震えていたが痛みは訪れず、変わりに生暖かな液体が身体に浴びていた。
父と母の血を全身に浴びながら何が起きたのか理解出来ないでいた。
「わたしの可愛い優しいエマ、私達の分まで幸せになってね。」
私を庇ってくれた母は微笑みながらそう言い残し動かなくなってしまった。
「ガキ相手に何やってんだ!?このバカ!とっとと退散するぞ!」
銃を撃った強盗は仲間の強盗と何か口論した後、強盗は私を担いで外の車に無理やり押し込まれてしまった。
私はただただ、車のトランクで泣くことしか出来なかった。
なんで父と母はこんな奴らのために撃たれてしまったのか、父と母は無事なのか。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い…怖いという感情しか沸き起こらなかった。
車で数時間たち急に爆発音が聞こえ車に衝撃が走った。
身体をトランクの中でピンボールのごとく壁に打ち付けてから数分たっただろうか…急にトランクが開かれ1人の男が驚いた顔でこちらをのぞき込んでいた。
助かったと思い安堵からか気を失った。


私が次に目を覚ますと気付けば知らない病室で見慣れない文字がいくつも視界に入ってくる。
私が連れて行かれたのは何故か外国…それは日本だった。
ベットの隣で立っている私を救い出した男は
「ここは日本のとある施設だ。君にはこれからここで訓練を初めて貰う。残念だけど君はもうおうちに帰る事は出来ないし、君の両親は死んでしまったよ。心置きなく鍛錬に励むといい。」
そう言うなりそのまま男は部屋から出ていってしまった。急な説明に理解出来ないし、それでもおうちに帰りたい、両親に会いたいと私には泣きじゃくる事しか出来なかった。
それからは本当に地獄だった。
翌日から教官とか言うのがベットから運動場に私を無理矢理投げ出し唐突な運動訓練を強要されそれが毎日となった。
朝から夜まで訓練。夜は一人部屋で寝る。
その毎日だ。自由な時間は訓練途中の昼休憩と終わってから寝るまでの少ない時間だ。
私のような子供が他にも何人もいたが殆どが日本人だ。せめて少しでも話したりしたいと思っても英語では理解して貰えず日本語が分からない私を彼らは相手することも無く常に一人ぼっちだった。
一週間過ぎた頃だろうか訓練が終わった後私より少し年上の女の子がたどたどしい英語で話しかけてくれた。
私は英語が聞けたと言うだけで嬉しくて嬉しくてまた泣いてしまった。
そしてやっと状況が理解出来た。
女の子の名前はサクラと言った。
サクラいはくここは実験場なのだとオーダー(特殊能力者)になりえそうな者を孤児院等から集い訓練を行わせオーダーとしての能力を開花させるか?の実験らしい。
なんで私がそんな中にいるのか、私は孤児ではないし、早くおうちに帰りたい、何かの間違えだとサクラに話してみたがサクラも似たような状況でサクラはここに来てから既に2年経過したと教えてくれた。
もしオーダーになりえそうな可能性が無さそうなら最悪殺されるかもしれない。
何人かいなくなった子もいるらしい。
今は我慢して可能性がありそうだと教官達に見せるしかないと。
それからもサクラと沢山話し合ったが結局ここから出る術は2年過ごしたサクラにも見つける事は出来ず今は目の前の事に集中するしかない。
それからまた毎日訓練の日々だった。
訓練の中には銃器を扱う事もあれば組手もあったりで戦闘訓練ばかりだった。
数年後私は施設の中では誰よりも銃を上手く扱い、戦闘訓練の成績はトップだった。
ただ訓練の中に勉学もあるのだが全て日本語で書いてあり全くなんの事か分からず勉学については語るまでもなかった。それでもサクラに日本語を教えて貰って日常会話程度なら問題ないレベルにまでなったある日サクラの能力が開花した。
サクラは自在に炎を扱う事が出来るようになり、サクラは自分のチカラに戸惑っていたが私はこれでサクラは自由になるのだと喜んでいた。
「エマもきっと能力が開花するわ。運動能力ならこの中ではトップだし、だから私は先にいなくなるかもしれないけど大丈夫よ。」
頭を撫でてくれるサクラは最後まで私の事を心配してくれた。
そしてその翌日からサクラの姿が見えなくなった。
1人ぼっちに戻ってしまったと寂しくなりもしたが、自分も早く自由になって外でサクラと会いアメリカに帰ろうと一心不乱に訓練に勤しんだ。
ただサクラがいなくなってしまったので日本語を話す事が出来るようになったが、結局文字が読めず、能力を開花させる事も無く16歳を迎えた。

「今度は実戦に移ってもらう。お前は身体能力はずば抜けて高いが特性能力がない。この実戦で特性能力を身に付けることを我々も期待している。」
ここでこの頭ごなしにいきなり訳の分からないことを言う教官を殴り倒してやりたい衝撃にかられるがそれを一年前にやった時、違う教官ではあるのだが身体強化の特性能力を持っていたらしく一瞬でボコボコの返り討ちにあったのが今でも忘れられない。
やはり特性能力を持っている者持っていない者とではやはりチカラの差があり過ぎる
目の前の教官も何かしらの能力を持っている可能性は高い…なのでそれは今は止めておく。
資料を渡されたが相変わらず字は全く読めないのでどんな訓練なのか聞いたところ
訓練ではなく実戦なのだと。
「離反したオーダーを捕らえるか殺処分するのが任務である。
武器の使用と携帯を許可する。
外に出る許可は与えるが変な気を起こさないように執行部のオーダーも同行する。
…ん?何を呆けた面している?」
薄々勘づいてはいたがここは何かしらの組織でここはその一部だというのが今になって理解出来た。
「日本語が理解出来るようになったから教えてやるがお前はあるオーダーの推薦でここに連れてこられたんだ。ただ数年前の泣いてばかりのお前に日本語からイチイチ教えてやるのも面倒だったからな。」
10年前私をトランクから救ってくれたと思ったら地獄にたたき落としたあの男が推薦だと…?
もし次またあの男を見かけたら躊躇なく銃のトリガーを引ける自信がある。
そのまま私は教官の言われるがまま訓練でも使い慣れたグロック19を二丁腰にさし、実に10年ぶりに外にでた。
車に乗り思ったのは施設以外の外景はこんなにも素晴らしいものだったのかと。
街が!森が!海が!見るもの全てが新鮮で嬉しかった。
正直外を見て回れるのなら逃げたオーダーなんてどうでもいいと思った。
しかしそんな期待を裏切るかのごとく組織の追跡能力は流石と言わざるを得ない。
既に特定しているようでなんでも逃げたオーダーはヨコスカとか言うとこに逃げ込んだらしい。ヨコスカとか言われて地理が分からない私にはチンプンカンプンだ。
それよりも外を見ている方が色々な事が知れる。
「外を見てヘラヘラしてるんじゃない。これがターゲットだ。炎を扱うオーダーらしい。戦闘の際お前が確保するんだ。もしくは殺せ。」
車を運転している執行部の男は淡々と説明し片手で写真を渡してくる。
そして写真を見た瞬間私は晴れ晴れした気分から一気に心臓まで凍りついたかのような錯覚になる。
…写真に写っていたのはサクラだ。
写真は最近撮られたものなのかあれから数年たったからなのか痩せこけ疲れた顔で写っているのが分かる。
自由になったわけでは無かったのだ。
いや、サクラが施設からいなくなった後からでもそれは分かっていた。
せっかく能力を開花させた人間を組織が手放すわけもないし、そもそも能力を開花させるために施設に連れてこられていたわけだし。
ただあの限られた世界で少しでも希望が持ちたいという幻想でしか無い事は分かっていた。でもそうでもしないとここまで生きてこれなかった。
今追っている現実と数年だが姉妹のように生活してきたサクラを一番嫌な形で再会しなくてはいけないのかと思うと頭を金槌で殴られかと思えるくらいクラクラする。
そうは言っても考え混んでいたらいつの間にかヨコスカのとある廃ビルに着いてしまった。
車から降りてせめてサクラが素直に従って欲しいと祈っていると鼻に水が当たり雨が降って来たことを知らせてくる。
廃ビルに入るとすぐにサクラを見つけた。
私はかけよりずっと会いたかった!と言う前にサクラはこちらを認識したと同時に掌を突きつけてきた。
「…久しぶりねエマ。こんな形で再会したくなかったけど。わざわざ貴方が私を殺しに来るなんてね!」
「サクラ!私だよ!エマだよ!話しにきたの。戦う必要なんてないんだよ!一緒に帰ればいいんだよ!」
一瞬驚いた顔をしたサクラだが突きつけた手を下ろすこと無く私を睨みつけ言い放つ。
「ならなんで執行部の奴も一緒に来てるのよ。ここからでも外にいる奴の事くらい分かるわよ。そして話しにきたと言って貴方は銃を腰に下げてるじゃない!…今でも妹のような存在だと信じていたのに!私の気持ちを裏切ったのね!」
そう言うなりサクラは掌から炎の矢を飛ばしてきた。
無防備な状態で避ける事もままならなく、炎の矢は私の肩に突き刺さる。
貫く痛みと同時に皮膚が焼ける痛みも襲ってくる。
激しい痛みだが痛みなんかよりも私はサクラが大事なのだ。外に出てしまわれたら間違いなく執行部の男がサクラをねじ伏せて、最悪殺すだろう。
せめて私がサクラの戦意を喪失させるしかない。
痛みを無視して銃を取り出しサクラの足目掛けて弾丸を一気に乱射する。
乱射した弾は2発サクラの脚に当たったのを目に捉えたが痛みにも訓練された私達がその程度で降伏しない事も分かっている。
そのまま一気にかけよりサクラのコメカミ目掛けて蹴りを叩きつける!
手応えはあったがサクラは器用に受身をとり距離をとる。
すぐさままた弾幕を張りサクラに飛び込もうとするがサクラは周囲…いや室内全体に炎を撒き散らす。
近寄られるのを警戒したのか?と考えながらすぐに弾倉を交換する。
様子を伺い銃口をまたサクラに向け直した時に身体が不調を訴え始める…
「何…を?」
サクラは室内全体の酸素を炎で燃やしていたのは私を酸欠にさせるのが狙いだったのだ。
気付いた時には遅く酸素が薄くなり全身が麻痺しはじめ私が床に突っ伏したところでやっとスプリンクラーが作動しだす。
そしてビルの窓が割れる音が聞こえる。
「お願いっ!行かないでサクラ!」
悲痛な叫びに応える事もなくサクラは割った窓から出ていってしまう。
十秒程度だろうか…スプリンクラーのお陰で炎が鎮火しだし手足の感覚が戻った。
急いでサクラが出た窓から外に飛び出る。
その先で見たのは執行部のオーダーがサクラを背後から氷の刃で突き刺していたところだった…
私から一気に血の気が引いていく。
執行部のオーダーは氷の刃ごとゴミを捨てるかのようにサクラを放り投げる。
「お前はやはり欠陥品だな。能力も開花出来ず、この程度の相手に勝てないとはな。」
男はそう吐き捨て携帯端末を取り出し会話をし出す。
私は何を言われたのか分からないままよたよたとサクラの元に寄っていく。
動かなくなったサクラを抱きしめ私は嗚咽を漏らす。
あの時小さく何も出来ない私を助けてくれた姉のようなサクラを守れなかった。
あれだけ訓練してきてある程度の自信もあったのに、何も出来なかった…
「うっ…サクラ…うぅっ…サク…ラ…」
口から漏れる声は抱きしめたサクラに届く訳もなく雨の音にかき消されていく…
胸の中に熱いモノを感じそれが父から貰った首飾りだと私は気付く。
熱く光を発した首飾りは私の思いを叶えるかの如くその光がサクラの中に入っていく。
そして傷口が塞がりサクラの止まった時がまた動き出した。
「エマ…ごめんなさいね。…そしてありがとう。」
私は驚きつつもサクラが助かった事に安堵しサクラを抱きしめたままただただ、雨の中ずぶ濡れになりながらも泣くのを止められ無かった。
そのまま気を失った私が次に気付いたのは組織の医務室だった。
あの後執行部の男が私達2人を車で組織まで運んだらしい。


結果的にサクラを連れ戻した功績により、これから私は組織のエージェントとして働く事になった。ただ命令に背けばまだ病室で寝ているサクラがどうなるか分からないとのこと。
1度謀反を起こした人間をそうすんなり許すほど組織の懐は深くないらしい。
そしてサクラを監視するのも任務の一つに加わった。
こんな機関に身を置きたくないがサクラが助かるのなら喜んでこの身を捧げよう。
これまでサクラに何があったのか?あの時の首飾りが光ったのは何故なのか?そして私をここに連れてきた男は何なのか?
今はとりあえずサクラが無事な事を喜んおこう。
サクラが起きるまで私がサクラを守るのだ。
後日組織のエージェントとしてのコールサイン
「欠陥品の2丁拳銃(ディフェクティブガンズ)」を与えられた。
始めての投稿なので色々と不手際などあるかもしれませんが、感想など頂けたら幸いです。

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