安かっただけのことはあって、桜文鳥のなりそこねのような、黒と灰と白が絶妙に(美しくない配置でもって)まだらになっている文鳥を飼っている。すでに6、7年になるか。今もスマートフォンを持っている私の指につかまって、ちゅんちゅんと鳴いている。機嫌よくさえずっていたかと思えばいきなり威嚇して怒りだすような気まぐれな子だ。背中をなでると気持ちよさそうに目をつむり前傾姿勢になるときもあれば、噛んでくるときもある。その小さな頭で人間のことをどのように認識しているのか知らないが、基本的に家族のだれかにとまっている。
文鳥はかわいい。はじめて飼った鳥類がこの子なので「文鳥は」としか書けないのだけれど、たぶん、鳥類はかわいいのだと思う。どういうところがかわいいのかと言うと「自由に空を飛べる生き物が自分の身体にとまってくれる」ところ。この子を飼い始めた当時は感動したものだ。羽があるのだから逃げようと思えばいくらでも逃げられるのにわざわざ私のところにきてくれるなんて!と。外で見かける雀なんかはちょっとでも近寄ると逃げるから余計にそう思ったのだろう。文鳥はかわいい。そのことをだれかに伝えたかっただけの日記でした。