また点滴に穴 接触可能な病院関係者は10人ほどか

また点滴に穴 接触可能な病院関係者は10人ほどか
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北九州市の大学病院で、先月に続いて20日も、点滴の袋に穴が開けられているのが見つかった事件で、20日に見つかった袋は、病棟に持ち込まれるまでの間に、病院の関係者10人ほどしか触れることができなかったことが警察への取材でわかりました。警察は関係者を中心に事情を聞くなど調べを進めています。
北九州市八幡西区の産業医科大学病院では、先月20日に点滴の袋3つに針のようなもので穴が開けられているのが見つかったのに続いて、20日もナースステーションにあった未使用の点滴の袋1つに同じような穴が開けられているのが見つかりました。
いずれも9階の消化管内科などがある病棟で起き、異物の混入や健康被害がないことから、警察は器物損壊の疑いで調べています。

警察によりますと、20日に見つかった袋は、午前11時半ごろに地下の薬剤部でカートに入れて鍵がかけられたあと、エレベーターで9階の病棟に運ばれ、午後0時20分ごろに点検中の看護師が異変に気づいたということです。
この間、点滴に触れることができたのは、病棟の看護師や職員など関係者10人ほどに限られるということです。

警察は関係者を中心に事情を聞くなど捜査を進めるとともに、先月20日の事件との関連についても調べています。

今月1日に再発防止策

産業医科大学病院は先月の事件のあと、今月1日に報告書を北九州市に提出し、再発防止策を取るとしていたということです。

市によりますと、病院は事件から5日後にナースステーションに防犯カメラを設置したほか、病棟での巡回を強化するとしていたということです。また、薬品の保管庫や点滴を運ぶカートは使うとき以外、常に鍵をかけること、鍵は看護師のリーダーが首から下げて使用時には手渡しすること、さらに、夜間は出入り口に受付簿を置いて、見舞いなどで訪れた人に記入してもらい、入館証の所持を徹底するとしていました。
20日の事件は、こうした再発防止策が取られたやさきに起きたということです。

専門家の見る犯人像

犯罪心理学が専門の東洋大学の桐生正幸教授は今回の事件の犯人像について、「横浜市の病院の手口を模倣しているように見えるが、停電で防犯カメラが作動していないときを狙っており、自分の行為をコントロールできる人物といえる。特定の誰かにダメージを与えようというのではなく、病院に対して不満を持つ人物ではないか」と話しています。そして、「きのうの事件も同じ人物がやったとすれば、逮捕される危険性が低いと見て犯行に及んだ可能性もある。恨みやストレスが動機ではないか」と指摘しています。

横浜市で起きた点滴事件では2人が死亡

横浜市神奈川区にある大口病院では、ことし9月、同じ病室で点滴を受けていたいずれも88歳の入院患者2人が中毒の疑いで死亡し、2人の体内からは消毒液などに含まれる界面活性剤が検出されました。

2人は当時、ベッドに寝たきりの状態で、警察は、何者かが点滴の薬剤に界面活性剤を含む消毒液を注射器などで混入した疑いがあると見て殺人事件として捜査しています。

警察は、医療器具の扱いに慣れた人物が事件に関わった疑いがあると見て調べていますが、事件の発覚からまもなく2か月、容疑者の特定には至っていません。一方、大口病院は、今月18日、横浜市からの指導を受けて、消毒液が点滴の薬剤に混入した場合にわかるよう、使用する消毒液を色つきのものに変えたり、警備員の人数や防犯カメラの台数を増やしたりすることを盛り込んだ改善計画をまとめています。