企業のデジタル変革
最先端レポート
先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。
寺田倉庫は現在、定期採用はしていない。新卒・既卒の区別はなく都度採用。外国人の採用に関しては、かなり積極的だ。
「国籍で言うと中国、台湾、ロシア、イタリア。去年まではバングラデシュやチュニジアの人もいましたね」(畑さん)
若い人材が欲しいのかと思えば、高齢者の雇用にも積極的だという。畑さんが言うには「映画『マイ・インターン』のイメージなんですよ」とのこと。
『マイ・インターン』とは、『プラダを着た悪魔』のその後を描いたとも言われるファッショナブルなハリウッド映画である。アン・ハサウェイ演じる主人公は、ニューヨークで活躍する若き女性起業家。会社はファッションサイトを運営している。そこに、ロバート・デ・ニーロ演じる70代のインターンがやってきて、年の功を発揮しながら、様々な問題を丸く収めていくという物語だ。
映画を観た直後、筆者は思わずこうつぶやいた記憶がある。「そりゃ、ロバート・デ・ニーロだからでしょ」。
「最近、ベテランの総務が欲しいなと思って60代の方を採用したんです。これが、いいんですよー」と、畑さんは言う。もしかして、ここにも和製ロバート・デ・ニーロがいるのだろうかと、思わず身を乗り出した。
「すっかりアイドル化していますよ。みんなに『たまちゃん』と呼ばれていますから」
――た、た、たまちゃん!?
不謹慎かつ失礼とは思いながらも、多摩川などにときどき出没するアザラシを思い浮かべてしまった。
それにしても、何がしたいんだ、寺田倉庫?
ホームページには「私たちは、余白創造のプロフェッショナルです」とある。言われても、なんのことやらさっぱりわからない。深まるばかりの謎を解明すべく、まずは、月森さんが手がけている新規事業についてじっくりと伺うことにした。
じつはこの月森さん、社長が「5年で辞めろ」と公言する会社に18年間も勤務しているツワモノだ。次回はその飄々とした表情の裏に、どんな歴史と戦略が隠れているのか、探ってみたい。
※続編は11月28日(月)公開予定です。
先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。