スピードスケートのワールドカップ(W杯)第2戦、長野大会は最終日の20日、長野市のエムウェーブであり、女子500メートルで小平奈緒(相沢病院)が自身の国内最高(日本選手による国内リンクでの最高)記録に並ぶ37秒75で優勝し、W杯今季3連勝を果たした。五輪2連覇中の李相花(イ・サンファ)=韓国=が2位。辻麻希(開西病院)は5位で第1戦に続く表彰台は逃した。
男子500メートルは長谷川翼(日本電産サンキョー)が35秒08で9位。女子1500メートルは高木美帆(日体大)が1分56秒41で5位に入った。男子1500メートルの日本勢は、1分47秒24だった小田卓朗(水戸開発計画研究所)の8位が最高だった。2018年平昌五輪で正式種目になるマススタートは、男子のウィリアムソン師円(日本電産サンキョー)が16位、女子は高木美が12位だった。
「実力通り」国内最高37秒75
世界の猛者が集う中で、10月に更新したばかりの国内最高記録を「塗り替えたかった」と言えたのは、小平にそれだけ自信があるからだ。500メートルでのW杯連勝記録を伸ばしても「(今の)実力通り」と淡々としている。
100メートルを全体3位の10秒46で通過。そのままコーナーも危なげなく回り込んで、勢いを維持したまま駆け抜けた。好感触だからかレース後に反省点を口にすることはほとんどなかった。それでも「カーブ(の技術)は伸ばせる。どこかに自分の課題を見つけないと……」と話す。
30歳を迎え「食事、睡眠など自己管理の大切さを痛感するようになった」という。昨季までの練習拠点・オランダで食生活に苦労した経験が背景にあるが、トップレベルに身を置く今は、日常の努力が明暗を分けると感じている。鍛錬の目的が明確だから、結城匡啓コーチも「見ていて、たくましい」と小平の意思を尊重して指導する。
W杯は主な舞台を欧州に移す。中国、日本と時差の面で有利だったことも序盤の好成績につながっているのは確か。真価が問われるのは今後。調子が今ひとつで「今はまだトレーニング」と不敵に笑う女王・李相花に、小平は「ベストパフォーマンスのサンファ(李)と戦いたい」。平昌への戦いの火ぶたが切られた。【岩壁峻】
○…女子の活躍の陰に隠れがちな男子の日本勢だが、着実に歩みを進めている。500メートル9位の長谷川は「300メートルまでの滑りは良くなっている」。問題は最終コーナーからの加速。一気に仕掛ける場面で勝負に出る積極性が鍵を握る。清水宏保が1998年長野五輪で金メダルを獲得するなど、かつては看板種目だったが、今大会は上位選手が滑るAクラスで滑ったのは長谷川だけ。「先輩は表彰台に上り続けていたので、自分はまだまだ」