アップルがノートPCのハイエンドモデル「MacBookPro」の新ラインナップを発表した。上位機種には新機能であるTouchBarとTouchIDを搭載、キーボードを含めたユーザーインターフェースも刷新して、一足飛びの進化を図った。 今回は2.9GHzのIntelCorei5プロセッサーを搭載する13インチのMacBookProを借りて、記者・ライターとしてプロの端くれである筆者の仕事を強力にサポートしてくれるノートPCなのか、最新モデルのパフォーマンスをテストした。なお、筆者は現在「MacBookProRetina13インチ/Mid2014」を仕事のメインPCとして使っている。約2年前に発売されたモデルとの比較になるが、使い勝手の面で変わった点、気になったところも報告したい。■薄く・軽くなった本体。外観の変化は控えめ 新しいMacBookProのサイズは横幅30.41cm、タテの長さが21.24cm。高さは1.49cm。見た目には大きな変化を感じないが、2014年モデルの公称スペックである横幅31.4cm、縦21.9cm、高さ1.8cmよりもわずかにサイズが小さく、スリムになっている。質量は約1.57kgから約1.37kgに軽量化。手に持って比べると、確かに薄く、軽くなった手応えを感じる。ふだん使いのバッグのPC専用ポケットに入れてみても収まりがいい。 外側のデザインは大きく変わっていない。同機を試用中に、周囲でMacBookを使っている親しい友人などに会うときにそれとなくバッグから取り出してみたこともあったが、対面して外側を見せている分にはなかなか新型であることに気づいてもらえなかった。カラバリは2色あるうちのスペースグレイのモデルを使っていたが、光の当たり具合ではちょっと暗いシルバーに見えなくもない落ち着いたグレイであることも原因だったかもしれない。 底面はファンの位置などもだいたい2014年モデルと同じ。ビスの数は少なくなっている。ヒンジのデザインが変わっていて、リア側までアルミ素材になっている。ディスプレイを閉じて、本体を後側や底面から見た時にデザインの統一感が高まったことがわかる。■キーボードにトラックパッドの操作感は? 電源ボタンはデザインが変わってTouchBarの右端に配置された。TouchIDの生体認証センサーが内蔵されているが、TouchIDが活躍するのはスリープ状態から起動する場合で、シャットダウンした状態から立ち上げた時には毎度IDとパスワードの入力が必要になる。 キーボードについては従来のMacBookProから最も大きく変わった感じを受けた。現行MacBookシリーズと同じストロークが浅いバタフライ構造のキーボードが搭載されている。筆者はバタフライキーボードのPCを使う機会が今回初めてのようなものだったのだが、打鍵感は安定していてすぐに馴染めた。キーピッチは短めだが、一つひとつのキーサイズがワイドになっているぶんタイプミスが減る良い方向の変化を感じた。 多くの方々にとっては、恐らくPCを買い換える際に最も大事な決定要素となるのがキーボードの打鍵感だと思う。筆者個人の経験を振り返ってみると、いま使っているPCと全く同じモデルを買い換えない限り、キーボードの打鍵感は嫌でも変わるし、がんばって新しいキーボードに慣れるしかなかった。きっと読者の方々も、その他の新機能、古いPCを上回る性能をてんびんにかけて、キーボードがなるべく打ちやすい製品を選んでいることだろう。 これまでにMacを長年使ってきたユーザーにとって、新しいMacBookProのキーボードは馴染みやすく感じるだろう。ただ一点気になったことは、筆者のように1日の中で何時間もパソコンのキーを叩き続けながらテキストを書く仕事をしている人の中には、この浅いキーストロークに疲れを感じてしまうこともあるかもしれない。筆者の場合、キーボードを叩くときに結構力を入れてバチバチとタイピングするので、新しいMacBookProのクッション性の少ないキーボードはまるで堅い板を叩いているようで、長い時間テキストを書いているといつもよりも早く指先が疲れる感じがした。