【ソウル米村耕一】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の親友、崔順実(チェ・スンシル)被告による国政介入疑惑で、韓国検察が20日、崔被告らの起訴状に朴氏との共謀関係を明記したことに対して、青瓦台(大統領府)報道官は「想像と推測にあふれた砂上の楼閣だ」と強く反発した。青瓦台と検察が真っ向から対立する形となり、韓国内政の混乱はさらに長期化しそうだ。
【朴大統領の今後をチャートにした】
◇弾劾手続き最長10カ月
検察が「共謀関係」の明記に踏み込んだ背景には、世論の強い圧力があるとみられる。19日にソウル市内で行われた朴大統領の退陣を求める大規模デモでも、参加者から「共謀関係に踏み込まないのなら検察も引きずりおろすべきだ」などとアピールされていた。「検察は常に青瓦台や世論、野党などの動向を見ながら捜査の方向性を検討せざるを得ない」と検察担当記者は指摘する。
検察側は、朴氏の共謀について、崔被告や前大統領府政策調整首席秘書官の安鍾範(アン・ジョンボム)被告と共に「ミル」「Kスポーツ」の2財団への巨額の拠出を大企業に強要した職権乱用の罪を認定した。しかし、広い意味での収賄罪については「(企業側の)不正請託についての証拠が明確ではなかった」として立件を見送った。高麗大学法学専門大学院の金基昌(キム・ギチャン)教授は「今回の起訴状に記載された罪状は、報道されている疑惑に比べれば、ごく一部に過ぎない」と指摘する。
検察側は収賄なども念頭に捜査を続ける方針を示しているが、実際には国会が設置した特別検察官に委ねられることになりそうだ。
一方、青瓦台報道官は検察の判断について「人格殺人にちかい有罪の断定」と強い言葉で批判した。そのうえで、「一日も早くこの問題に決着をつけることを望む」と述べ、国会が設置した特別検察官による捜査と弾劾訴追に向けた手続きを歓迎した。
特別検察官の捜査には最長4カ月かかる。その後、弾劾訴追が国会の議決で3分の2以上の賛成を得ても憲法裁判所での決定には最長6カ月かかり、合計で最長約10カ月もかかる。朴氏側には財団設立は「国家発展のための善意によるもの」との思いがあるとされ、10カ月の間に国民の理解が進むことを期待しているとみられる。朴氏の弁護人の柳栄夏(ユ・ヨンハ)氏は20日、朴氏が共謀したとされる職権乱用などの罪について「法律的に複雑で、起訴されても無罪になるケースが少なくない」と主張した。
検察側は朴氏の共謀について(1)企業に対して2財団への資金拠出を強要した(2)「Kスポーツ財団」への追加拠出をロッテグループに強要した(3)大統領演説草稿文などを崔被告に流出させた点について認定。一方、崔被告が自らの会社に財団から研究受託契約を受けるようにした詐欺未遂については共謀を認めていない。政府が主導する財団に企業が資金を出すのは韓国では一般的で、朴氏側は私利をはかる意図がなかったと主張していくとみられる。
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