ほとんどのご家庭にあるであろう観葉植物。趣味でガーデニングや野菜栽培をされている方も少なくないかと思います。
一生懸命土を作って、種や苗を植えて、肥料もこしらえて…
あれ?
そういえば、水やりってどうするんだろう?そもそも水道水でいいのか!?
なんて疑問、持ったことありますか。
私はあります。
「水やり3年(5年ともいわれる)」って言葉があるくらい、水やりは難しいものなのです。
けど調べてみても水やりについてはたくさん紹介されているけど、意外とまとめられているサイトって少ない…
じゃあまとめちゃおう!
ということで、今回は植物の水やりについて徹底調査です。
植物も水分が不可欠!
人間同様、植物も水が不可欠です。
最近では「エアプランツ」と呼ばれる土のない空中で育つ植物や砂漠の植物の代名詞のサボテンが流行っていますが、これも雨や空気中のわずかな水分を効率よく吸収して成長します。
そう、植物も生きていくためには水が欠かせないのです。
サボテンは9割が水分
ちょっと意外ですが、サボテンなどのような多肉植物は80%から90%の水分を含みます。
砂漠などの乾燥地域で育った分、
水があるときに徹底的に吸って⇒少しずつ長期間にわたり水分を消費する
というサイクルが出来上がったのですね。
また、サボテンは昼は気孔(植物が光合成を行う際にガス交換や水を蒸発させる役割を担う穴)が閉じて、夜の涼しい時間に気孔を開くことで葉からの水分の蒸発を防いでいます。
種は水がいらない??
草木や花に水をあげないと枯れますが、種は水が無いところに置いていても枯れることはありませんよね。
では、植物の種には水がいらないのでしょうか。
答えはノーです。
植物の種の中の水分量は約5%~10%と、かなり少ないです。
が、これは種は光合成をおこなわず、生長することもないので、水を必要としません。
しかし、種から芽を出そうとするには水が必要不可欠です。
種は水を吸い、他にも温度などの条件が揃うと芽を出して生長を始めます。
つまり、種の水分量が少ないのはあくまで仮眠のような状態にあるからで、芽を出すためには水が欠かせないのです。
雨季と乾季がある熱帯には、乾期を種で過ごし、雨季の間に芽を出し実を結んで一生を終える、という植物もあります。
生長のためだけじゃなかった?植物に水やりをする理由
植物に水やりをするのは、ただ単に植物に水を吸ってすくすく育ってほしいから~という理由だけではなかったんです。
水やりには、次のような役割があります。
水と一緒に酸素を根に運ぶ
自然の中に生えている植物がいくら雨が続いても普通は根腐れを起こさないのは、雨は空から降ってくる途中で空気中の酸素を含んでくるからです。
また、プランターや鉢などと違って地面は水を地下へ地下へ逃がす働きもある(もちろん土にもよります)ので、丁度いい具合に水分が保たれているのです。
水やりも、単に水を与えているだけでなく、植物が呼吸するのに必要な酸素を根に運ぶ役割があります。
株や土の温度を下げる
高温期になると、土の温度も上がってきます。
もともとの生息地が高温でない植物の場合、厳しい環境下に置かれて、結果死んでしまいます。
土の中が高温になるのを防ぐためにも、水やりは土の冷却の手段として必要なのです。
古い水や空気と入れ替える
植物も人間と同じように、排泄をします。呼吸によって排出された二酸化炭素などの不要分も鉢植えの中にたまっていきます。
水やりには、そういった不要分を洗い流す役割もあるのです。
水やりの基本
葉水と潅水(水やり)
「水やり」といわれて思いつくのは、じょうろで土にじゃーっと水を注ぐ、アレですよね。
水を注ぐように水やりをするのが潅水(かんすい)です。
水やりとは別に、「葉水」があります。
葉水は、葉っぱに霧吹きで水を吹きかけることで、乾燥を防止し、生育を促す効果があります。
また、葉っぱについたホコリや汚れ、ハダニなどの虫を落としてくれます。
乾燥しやすい冬や、高温で水不足になりやすい真夏にするとより効果的です。
用意するもの
用意する道具は、じょうろと霧吹きスプレーです。
じょうろで水やりをして、霧吹きスプレーで葉水を行います。
水やりのタイミング/土の乾き具合
水やりは、植物や育ち具合、季節によってそのタイミングが変わってきます。
そもそも水やりは「雨の不足分を補う」目的で行うので、基本的には土の乾き具合で判断します。
表面が乾いてから水やりをする
観葉植物の基本的な水やり方法です。
一般的な観葉植物は水を与えすぎると、根腐れを起こして枯れてしまうこともあるので、土の表面が乾いてから水を与える方法が基本です。
目安は、土の中に指の第一関節を突っ込んで、水気を感じなければ水やりをします。
室内などで鉢の下に受け皿を置いている場合には、受け皿には水をためないようにします。
表面が乾く前に水やりをする
水を好む観葉植物の水やり方法です。表面が乾く前にたっぷり水やりをします。
水を好む植物でも根腐れをしないわけではないので、水の与えすぎには注意が必要です。
こちらも受け皿に水がたまらないようにします。
水やりのタイミング/季節によるタイミング
土の乾き具合は季節によって変わるので、その季節に応じた水やりが必要になってきます。
また植物の生育具合も季節で変わるので、季節ごとに水やりの頻度や時間を変化させることが重要です。
春
春は気温が上昇して、多くの植物の生育が良くなり、種が芽を出し始める季節です。
1~2日に1回のペースで水やりをしましょう。
まだ朝方は冷える時期でもあるので、日が昇ってからの水やりを心がけます。
夏
夏は植物が活性化して、より多くの光合成をおこないます。
大量に水を消費するので、1日に1~2回のペースで水を与えます。
日中に水やりをすると、夏の強烈な日光によって地中の温度が上昇し、根が傷んでしまいます。
午前10時までの朝か、夕方以降に水やりをするとベストです。
秋
無事に花を開いて実をつけた植物は、冬に向けて生長が穏やかになっていきます。
水やりの回数も夏より減らしていきます。
春と同じく、1~2日に1回を心がけましょう。
同じ秋でも朝晩が冷え込むときとそうでないときがあるので、早朝や夕方以降の水やりを控えるようにします。
冬
冬は、日中の暖かい時間に水やりをします。
寒いときに水やりをしてしまうと土の凍結を招き、植物を枯れさせてしまうので注意が必要です。
植物の活動もほぼ止まる状態になるので、3~4日に1回、たっぷりとあげて土の中の空気と水を入れ替える程度にしましょう。
また、熱帯原産の観葉植物や多肉植物は1か月に1~2回の水やりで十分なものもあります。
水やりの注意点
葉に水をかけない
先ほど「葉水」をご紹介しましたが、葉水はあくまでも「霧吹き程度の」水をかけるものです。
植物の上から水やりをしてしまうと、土に届かなかったり、葉からの呼吸が出来ずに枯れてしまいます。花が枯れることもあります。
霧吹きで葉水をするとき以外は、株の元にたっぷりと水を注ぐようにしましょう。
受け皿に水をためない
受け皿に水をためると、土の中の水分の逃げ場がなくなり、根腐れの原因になってしまいます。
また、水が不衛生になることにより、病気や害虫の原因にもなります。
たっぷりと水を注いだ後は、受け皿にたまった水をしっかりと捨てるようにしましょう。
一回でたっぷりと水やりをする
水やりの基本は土が乾いてからです。
夏場は毎日水やりが必要ですが、1年中毎日あげていると、土の中の酸素が入れ替わらずに、生育環境が悪くなります。
また、見た目は乾燥しているようでも、少し指を突っ込んでみると湿っている状態が続き、根腐れの原因にもなります。
一般的な観葉植物は、「土が乾いたら、鉢の底から流れ出るくらいたっぷりと」水やりをすることが必要です。
水やりに最適な水は?
私もですが、観葉植物に水やりをするときに何の疑問も持たず水道水を使っていました。
しかし、本当に水道水で大丈夫なのでしょうか。
植物とはいえ私たちと同じ生き物ですので、出来る範囲で気遣ってあげたいですよね。
候補➀:水道水
結論から言うと、水道水でも何ら問題ありません。
日本の水道は厳しい水質基準をクリアした水です。
また、水道水に含まれている塩素の殺菌効果で、土壌の細菌やウイルスを防ぐ効果もあると言われています。
ただし、地域によって水道水に含まれている塩素の量は異なるので、塩素が苦手な植物には良くないこともあります。
例えば、酸性の水を好む湿地のランや、根っこがむき出しのランなどです。
そのような場合は、水道水を汲み置きして塩素を除去したりして水やりに使用します。
候補➁:ミネラルウォーター・ウォーターサーバーの水
ミネラルウォーターは主にマグネシウムやカルシウムなどのミネラルを含んだ「硬水」が多いです。
これらの成分は植物の生長には欠かせませんが、やはり多く与えてしまうと発育に悪影響なようです。
また、ウォーターサーバーの水は冷水や温水になって出てくるので、その状態のまま与えないようにしましょう。
必ず「常温にして」水を与えます。
結論:植物にミネラルウォーターはあまり好ましくない
比較した結果、私が出した結論はこれです。
日本の植物は日本の軟水に適応しているというのと、海外でも植物に水やりをするときには硬水を蒸留してわざわざ軟水にすることもあるからです。
ミネラルウォーターを与えてはいけないというわけではありませんが、
・与えても植物の生育が促進されるかというとそうでもない
・与えすぎるとミネラルウォーターに含まれるミネラルが悪影響を及ぼしかねない
・水道水を水やりに使用しても何ら問題が無い
・コストパフォーマンスは圧倒的に水道水が上
という理由から、無理してミネラルウォーターあげなくてもいんじゃね?というのが私の見解です。
水やりがめんどくさい…そんな方におすすめの「世話が楽な観葉植物」5選
水やりはめんどくさいけど観葉植物は部屋に飾りたい…
そんな欲張りさんのために、水やりなどがそんなにいらない「世話が楽な観葉植物」を5種類ピックアップしてみましたので参考にされてください。
(※水やりをしなくていいわけではありません)
パキラ
観葉植物の鉄板です。
見たことない方はいないんじゃないでしょうか。
こんなの。ちなみに写真クリックで通販にいきます。
一番の魅力は、乾燥に強いこと。
そのため、水やりは週一回くらいで済みます。
また、日陰でもよく育つので、オフィスやリビングに置いておくには最適です。
ホームセンターに園芸コーナーがあれば、必ずと言っていいほど置いてあります。
サイズも手のひらサイズからツリーサイズまでさまざまです。
値段もさまざまですが、小型のものなら500~1000円ほどです。
大きさが大きくなれば値段も高くなります。
生長スピードは遅く、大きくなるには時間がかかります。
チランジア
一歩間違えたら襲われそうな見た目してますよね。
序盤でもご紹介した「エアプランツ」と呼ばれるものです。土がなくても育ちます。
こちらも乾燥にはめっぽう強いのですが、水をあげなくてもいいわけではありません。
週に1,2回程度は水をあげるようにしましょう。
サボテン
かわいいですね~。
近年かなりのブームを呼んでいるサボテンで、老若男女問わず飼われている品種ではないでしょうか。
ご存知の通り、乾燥や気温の変動に強く、種類も豊富なことも人気の理由の一つです。
乾燥に強い分、水をあげすぎると根腐れを起こしやすいです。
また、生長があまりにも遅すぎるために、愛着がわきづらい人にはおすすめしません。
逆に一旦愛着が湧いてしまえば、長く楽しめる観葉植物です。
ムシトリスミレ
名前の通り、葉が捕虫葉(虫を捕まえて養分を吸収する葉)で、日本に自生する「ピンギキュラ」の一種です。
ムシトリですが、スミレの名前の通り、きれいな花を咲かせてくれます。
水やりは週に1回ほどです。霧吹きでそっと濡らすように水やりをしましょう。
暑さには強くないので、真夏の直射日光は避けた方がよさそうです。
ガジュマル
沖縄に自生する別名「幸福の木」です。
上の4種類に比べて乾燥や低温に弱く、高温多湿な環境を好みます。沖縄に生息しているくらいですからまあそうですよね。
しかし、今回ご紹介するだけはあって、育て方は「日当たりの良い場所に置いて霧吹きをし、土が乾いたら水をやる」だけです。
ガジュマルの故郷は沖縄なので日光を好むようで、しっかりと日の光を当てると葉が鮮やかな緑になります。
まとめ
いかがでしたか?
植物は土づくりや肥料だけでなく、水やりもとても重要です。
ポイントは、
・基準は毎日ではなく、土が乾いたら一気に水やりをする
・受け皿に水をためない
です。
水やりに気をつけると、自然と植物のこともみるようになって、愛着がさらにわいてきます。
植物によって、気候によっても条件は変わってきますが、少しずつ水やりのコツをつかんで、素敵なガーデニングライフを送ってくださいね。
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