福岡県警折尾署は20日、北九州市八幡西区の産業医科大病院で点滴用輸液の袋1個に針で刺したような穴が開けられているのが見つかったと発表した。同病院では10月にも点滴袋3個に同様の穴が開けられる事件があったが、今回も同じナースステーションで見つかった。同署は内部事情に詳しい者が関与している可能性が高いとみて、器物損壊容疑で捜査を始めた。
折尾署によると、問題の点滴袋を含む約30人分の薬剤が20日午前11時半ごろ、施錠されたカートに入った状態で地下の調剤部からA病棟9階のナースステーションに届けられた。看護師2人が直ちに解錠して安全点検したところ、午後0時23分、生理食塩水の点滴袋がぬれているのに気付いた。さらに側面に針で開けたような穴が見つかったため、同署に通報した。点滴袋は21日に使用予定だった。
病院では、保安点検のため20日午前7時15分から病棟の一部が停電中だった。このため、前回の事件後に市に提出した再発防止策の一環として、このナースステーションに設置された防犯カメラは作動していなかった。
10月20日夜に見つかった点滴袋3個のうち1個は、男性患者に点滴中だった。患者に健康被害は確認されず、他の輸液にも異物混入はなかったが、このナースステーションでは薬品保管庫の鍵や鎮痛剤の紛失も判明。県警が捜査中だが未解決のままとなっている。
病院は森山寛理事長と佐多竹良病院長の連名で「再発防止に全力を尽くしてきたが、多くの皆さまに多大なご迷惑とご心配をおかけして心より深くおわび申し上げる。引き続き安全対策に基づいて、運営する」とコメントした。【比嘉洋、木村敦彦】