GU(ジーユー)がファーストリテイリングの新しい顔になってきました。
2016年8月期、ファーストリテイリングの連結業績は売上収益が1兆7,864億円(対前年度比+6%増)、営業利益は1,272億円(同▲23%減)でした。このうち、GU事業は売上高が1,878億円(同+33%増)、営業利益222億円(同+35%増)。同社の中では高い成長性と高採算を実現して、連結業績の牽引役として従来にも増して期待がかかるようになりました。
2016年8月期の業績説明会における柳井社長のプレゼンテーションでは、「グループの第2の柱として売上1兆円をめざす」とされ、今後の同社の成長戦略の3本柱の1つという明確な位置付けが与えられました。GUの位置付けは、従来に比べて明確にステップアップしたという印象です。
好調なGUに対して、ユニクロ事業は課題が増えています。
海外については、グレーターチャイナでの成長はまだ続き、北米事業の整理も進んでいることから、中期的な基調としては成長期にあると言えそうです。しかし、円高局面では連結業績を目減りさせることになるうえ、規模が一定額になったことで現地の気候や景気の影響が無視できなくなっています。実際、2016年8月期のグレーターチャイナの業績は、売上収益が3,328億円(同+9%増)、営業利益が365億円(同▲6%減)という増収・減益決算になっています。
一方、国内ユニクロ事業は2016年8月期に営業利益1,024億円(同▲13%減)を稼ぎ出し、同社の屋台骨を支えていますが、飽和感は否定できません。この年は暖冬、値上げ、特売セールの不発という問題に投資家やメディアの視線が向いていました。しかし問題の本質は、すでに日本の箪笥には既にユニクロ製品が溢れていることでしょう。
ユニクロ製品は、高品質で低価格のカジュアルベーシックで、ありがたいことに大変「丈夫」です。1シーズンでだめになるということはまずありません。筆者の個人的な感覚かもしれませんが、昨今はあらゆる衣服の品質が低下し、もちが悪くなりました。それに対して、ユニクロ製品は品質に妥協が少なく安心して買えます。この品質に対する信頼というのは、ユニクロブランドの根幹をなしていると思いますし、ユニクロの良心ではないかと思っています。
これに対してユニクロは、店舗網の展開と製品カテゴリーの拡充によって売上を伸ばしてきました。しかし、これらもかなりの高水準に進んでしまうと、今度は消費者の買い替えサイクルと戦う必要が出てきます。しかも、最近は他社も機能性素材を使った競合品を揃えてきました。
そこで消費者1人ひとりの買い替えをしっかりつかむためには、実店舗での集客だけではなく、スマホとECを使った個々の顧客管理が不可欠になっていきます。これに合わせた製造・流通体制の再構築も必要です。最近、同社が「情報製造小売業」を標ぼうしている狙いの1つはここにあります。
なお、もう1つ見逃せないのが全国で進む労働人口の減少です。小売業が全国規模で店舗をしっかり運営することは、ひょっとすると難しくなってくるという段階に入ってきました。お店のあり方、運営手法をそろそろ抜本的に見直す必要が出てきたのです。
TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画
アメリカの「忘れられた労働者階級」の葛藤
J・D・ヴァンスはオハイオ州南部の通称「ラストベルト」と呼ばれる工業地帯にある小さく貧しい町に育ち、現在のアメリカにはびこる多数の社会問題を目撃してきました。ヘロインの蔓延、破綻した教育制度、離婚や暴力により引き裂かれた家族、等。この国の労働階級が集中するアメリカの街で語り継がれるであろう鋭いトークの中で、ヴァンスはアメリカンドリームを見失うとはどういう感覚なのか説明し、地域のリーダーから政策立案者を含むすべての人が考えなければならない質問を投げかけます。[new]
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