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陸自、南スーダンに出発 家族の思い複雑

見送りに来た子どもとの別れを惜しむ南スーダン派遣部隊の自衛隊員=青森空港で2016年11月20日午前8時21分、西本勝撮影

 安全保障関連法に基づく「駆け付け警護」の新任務を付与され、南スーダンで国連平和維持活動(PKO)にあたる陸上自衛隊部隊の先発組約130人が20日、青森空港を出発した。空港には見送りの家族や同僚たちが集まり、涙を浮かべる姿もあった。

 部隊は青森の陸自第9師団を中心に選ばれた総勢約350人で、首都ジュバとその周辺で道路の整備などにあたる。国連職員などが襲われた場合に助けに向かう駆け付け警護に加え、部隊の宿営地を他国軍と一緒に守る共同防護が来月12日から可能となる。

 空港には午前8時半ごろ、派遣隊員や家族が乗るバスが次々に到着。隊員たちは家族が並んで見送るなか空港建物に入り、保安検査場前で納冨中(のうどみみつる)第9師団長から「がんばれよ」と声をかけられ、握手で送り出された。

 家族や同僚ら数百人は屋上の送迎デッキに上がり、小雨のなか傘も差さず、隊員を乗せた飛行機が見えなくなるまで見詰めていた。涙を流す女性や日の丸の旗を懸命に振る同僚の姿もあった。

 青森市に住む女性(43)は両親、娘3人とともに夫を見送った。派遣が決まった夫から新任務について「現地の住民を守るためと聞いている」と説明されたという。女性は「納得しようとしても、あまりのみ込めていません」と複雑な思いを打ち明けた。

 出発前夜に家族で鍋を囲んだ。子供たちは夫の似顔絵に日本と南スーダンの国旗をあしらい、「パパ、がんばってね」と書いた手紙を渡した。10歳の長女は、あどけない笑顔で「さみしいけど、お仕事頑張ってほしい」。女性の母(65)は「行くなと言っても仕事だから……。場所が場所だけに心配です」と目頭を押さえた。

 仙台市若林区の陸自霞目(かすみのめ)駐屯地に所属する息子を見送った秋田県横手市の無職、斉藤一広さん(63)は「(新任務は)危険がないとは言えないが、本人が妻とも話し合って出した結論。ひと言、頑張ってこいと声をかけた」と語った。

 空港近くの道路わきでは、安保関連法に反対する市民ら約70人が朝から「青森から青年を南スーダンに送るな」などと大書した横断幕を広げ、「自衛隊員の命を守れ」と連呼した。娘2人を連れて抗議活動に参加した女性(34)は「人口に占める自衛隊員の割合が極めて高い青森で、自衛隊の任務が変質していく危険性を多くの市民が感じ始めている」と話した。【宮城裕也、岸達也】

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