【囲碁電王戦】局後検討する趙治勲名誉名人(右)とZen開発チームの加藤英樹代表

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 国内最強とされる囲碁の人工知能「Deep Zen Go」と、歴代最多74タイトルの趙治勲名誉名人が対局する「第2回囲碁電王戦」の第2局は、ソフトが趙名誉名人に初勝利。

 対戦成績を1勝1敗として決着を最終局に持ち込んだ。日本製の囲碁ソフトがハンディなしでプロ棋士に勝ったのは初めて。

 ついにそのときが…

 144手目を考慮中に、趙名誉名人が秒読みになった。1分以内の着手が求められる。時間に追われるなか、痛恨のミスが…。序・中盤と優位に進めてきたZenのリードをはね返すことはできず趙名誉名人は投了。国内トップクラスの棋士が、人工知能に負けた瞬間だ。

 「序盤からまずい手を打ち、勝てそうになかった。途中、少しよくなったかと思ったが、ボクが気づかない手を打たれて…。人間だと(反撃されて)“怖い”とか“痛い”と思うけど、人工知能はそういう感情がないからどんどん打ってくるよね。楽しかったですよ。ソフトが(手に入る程度に)開発されたら、使って勉強したい。人工知能と一緒に切磋琢磨できれば」と趙名誉名人。ぐったり疲れた表情ながら、前向きに話していた。

 一方のZenの加藤英樹代表は「治勲先生が間違えなければ、どうなっていたか。早打ちだった第1局に比べ、考慮時間を1・6倍にした効果が出たのかもしれない。1勝1敗で最終局になれば面白いと当初、話していた通りの展開になってよかった」と振り返った。