【コラム】崔順実事件を嗤う中国人、嗤えない中国知識人

【コラム】崔順実事件を嗤う中国人、嗤えない中国知識人

 中国中央テレビのニュースチャンネル「CCTV13」は、韓国の「崔順実事件」を「好友干政」と呼ぶ。「親友が国政に口を挟んだ」という意味だ。全世界が米大統領選の開票状況を刻々と伝えていた9日にもCCTV13のメーンニュースは崔順実事件だった。ソウル光化門でのデモの様子や「文化界の皇太子」チャ・ウンテク氏の帰国、サムスングループの家宅捜索などを何度も繰り返し放映した。それに比べ、米大統領選のニュースは短信程度の扱いだったと言っても過言ではない。

 ニュースバリューの判断は共産党の宣伝部が行う。世界最強の米国を誰が率いるかよりも崔順実事件が重要なのかと思わせるような扱いだった。そのせいだろうか、ある在住韓国人の主婦はディスカウントストアの従業員から「おたくの国の大統領って誰かの秘書なのか」と皮肉られ憤慨したという。中国のネットユーザーは朴槿恵(パク・クンヘ)大統領を当初「大姐」(年上の女性に対する敬称)と呼ばれていたが、次第に「大媽」(おばさん)、「バカ」へと格下げされた。

 実はそんなあざけりだけではない。「韓国を見直した」という肯定的な見方もあるのだ。中国のある中堅ジャーナリストは「崔順実事件は決して笑い事ばかりではない。崔順実事件の報道を見ていると、中国にはないものが見える。疑惑を暴くメディア、権力にメスを入れる検察、大統領の退陣を要求して行われる整然としたデモだ。韓国を決してあざ笑うことはできないという声が中国の知識人社会のあちこちから聞こえる」と語った。

北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員
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