8月末日 僕はツイッターを眺めていた時、とある広告を見かけた。スクフェスやらデレステの流れを汲んだスマホ音ゲーソシャゲがリリースされたとのことだ。しかもなんか完全にオリジナルな二次元アイドル企画(ラ!とかワキガみたいなヤツ)を立ち上げてる。完全オリジナルってことはキャラデザもシナリオも楽曲もイラストも何もかも1から作られたってことだ、しかもシナリオはラノベ作家さんに依頼してるらしい。ものすごいお金掛かってそう。このソシャゲ戦国時代にそんな奇怪な奇行に走ったゲームの名はアイドルコネクト。
パッと見た感じどうにもダメそうなのに無駄に金が掛かってそうに見えた。だからだろうか、普段ならこの手の広告は見てから2秒でスルーするのだが、なんかDLしてしまった。
そしてざっくりやってみたので感想をまとめてみよう。
まず始める前に公式HPをググってみたところ、サイトにリリース記念の声優さんのボイスメッセージなんてものがあった。すげー、1から作った企画でそんなに余裕がないはずなのに丁寧な作りである。ラジオを1年ぐらいサボってたひなビタにコイツの爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
そしてDLしてからアプリを開くと、「皆さんからのプレゼントです」ってメッセージと共にログボが渡される。
このメッセージで今作の魔法石的なアイテムである思い出のカケラが渡されるのはまだ分かるけどこの文面でコインが渡されるのは如何なものか。仕方ないのでアイドル達が仕事で稼いだお金の一部を回した事務所維持費って事で脳内補完しよう。
ちなみに思い出のカケラについてだが、これの入手手段はログボやイベントの報酬、フルコンボーナスとここまでなら想いでがありそうなタイミングなので普通に納得出来るのだが、魔法石的なアイテムなので当然金で買える。いくら現実でも思い出を作るには多少お金が必要とはいえそれでいいのか…
それで始めてみたワケだが、まず音ゲー部分の作りがはっきり言ってあまりよろしくない。
僕はそんな上手くないけど一応音ゲーマーなので、普通の人よりも遥かに多くの音ゲーに触れてきたし、それでもコレはスマホ音ゲーの中でもあまり良くない方だと思う。
1番の原因は判定にある。いや判定自体はすんごいユルい。ボルテがこの判定だったら15鳥2倍ぐらいになってるんじゃないの?ってぐらいユルい。ちゃんと調べてないから判定のフレームは実はボルテと変わんない可能性もあるけど、まあデレステと同じくらいと思っていただければいい。
問題は縦の判定じゃない。横だ。
このゲームはまあよくあるノーツが降ってきたタイミングでタッチするヤツなんだが、降ってきた場所に対応する部分と言うか、降ってきたノーツをタッチして押したってなる部分が異様に狭い気がする。要するに弐寺やポップンなんかでボタンとボタンの間を叩いちゃうアレが多発するのである。しかもタッチパネル式の音ゲーでだ。
コレのせいで譜面自体は対した事ないのにコンボがブチブチ切れる。
他の音ゲーだとこうならないために、例えばタッチパネル式音ゲーのパイオニアであるリフレクなんかは、画面が7つのエリアに区切られており、タッチした位置とノーツの位置が多少ずれてでもノーツが降ってきたエリアにタッチできてればつながるみたいな仕様だった気がする(だからcode1が全押しで繋がる)
アイコネもこんな感じの工夫をして欲しかったところである。
あとは欲を言えばデレステのLEGNEみたいなインパクトがすごい譜面を初期曲のどれかに付けとけば話題になった気もする。けど初期曲からあんなインパクトのある譜面を出す変態音ゲーはスマホゲー界のみならずAC音ゲーでも滅多に見ない。あのチュウニですら初期曲は割と無難な譜面だし。まあでももうちょい譜面は考えて欲しかったなーと。
まあでもこの辺を改善してもユーザー数の維持には役立ちそうだけど課金には繋がらなさそうだし、この辺には目を瞑ろう。
そして光るところもある。
まずストーリーが素晴らしい。
ラノベ作家さんに依頼して書いてもらっただけあって「これタダで読んでていいのか?」って個人的に思ったレベルである。
このゲームはストーリーを読んでもデレステやスクフェスみたいに石貰えたり曲が解禁されるワケではないのだが、それでも読む価値がある。
僕は基本的にソシャゲのストーリーは読み飛ばすものだと思っているが、このストーリーは読むためのもの、いや読ませていただくためのものだと思っている。と言うかこれまで見たソシャゲのストーリーの中で1番好きとまで言い切れる。ソシャゲに限らないゲームのシナリオの中でも五本の指に入るんじゃなかろうか、まあそれは僕がストーリー重視のゲームをそんなにやってないからでもあるのだが、まあつべこべ言わず読め。
ストーリーの種類は3人一組のユニットのメンバーで話が進むメインシナリオとそれぞれのキャラクター単体についてのキャラシナリオ、あとイベントシナリオがある。
メインシナリオは日常をきゃっきゃと送りながらさらっとトップアイドルへ登りつめていく話かと思いきや(章の前半はこんな感じ)、結構シリアスな展開にも突入する。でもアイドル達がそのシリアスに立ち向かい、克服して成長していく様は読んでてとても気持ちがいい。
特にガネパ三章はすごい、語彙力がダメになるくらいすごい。前々からウワサは聞いていたのだがいざ自分の目で見てみると事前に建ててたハードルをやすやすと超えていった。声優さん迫真の演技もあって(特に留奈役の人がすごい)読んでる最中の没入感と1話終わるごとに湧き上がる「続きはどうなるんだ?早く見たい!」って感情は完全に名作のそれ。読み終えたあと、このアプリに出会えてよかったと心から思った。お願いだからみんな読んで欲しい
全体的にまるでよくできたラノベを読んでる感じ、と言うより、「起伏がある物語」を取り扱ってるラノベでこれのストーリーぐらいの水準に達しているものは今どれだけ市場に出回ってるだろうか?変なところで張り合うのもアレだが、とにかく、しっかりした人を使ってるおかげですごく良いものに出来上がったってことである。
次にキャラシナリオだが、まずはこのキャラシナリオ選択画面を見ていただきたい
タイトルだけですごい求心力である。
中身も単純に読んでて幸せになれる。
チームシナリオと違ってだいたい日常系の話だが、キャラの細かい掘り下げに大きく貢献しており、読めば読むほどにアイコネの世界に引き込まれる。まさに沼である。
まあ主人公であるプロデューサーとアイドル達の距離がなんだか妙に近くてそれはアイドルのプロデューサーとしてどうなんだ!って思う場面やアイドルがプロデューサーに対して好感度が高すぎると思う場面も多々あるが、まあラノベのノリだと思ってかるーく流そう。
そんなストーリーを彩るキャラ達はみんな個性的で尊い。
ちょっとゴテゴテに属性を盛ってる気もするが、物語を作る上でキャラに無理矢理でも個性を置くことは大事なことである。特にラノベとかにおいては。
こちらの泉水つかさちゃんなんか、こんな人畜無害な見た目で世間知らずのお嬢様ゲーマー無邪気おっぱいとてんこ盛りである。
まあかわいいからそれでいいんだよ。
ちなみに僕は千乃ちゃんを推してたんだけど、これはひなビタにおけるめう推しみたいな、誰もが通る道な気がする。みんなでくたくたしよう。
それに最初は属性盛り付けただけのように感じられるキャラ達も、キャラストーリーやらを読み込むごとにドンドンそのキャラの魅力が掘り下げられ、彼女達のことがわかってくると彼女達は世界にまたとないオンリーワンな存在であることが徐々に分かってくる。人付き合いの基本ですな。
あとサブキャラもやたら充実してる。
事務員のまひろさんとか言う名前と立ち位置だけで某緑の悪魔を思い出させるキャラとか、ちなみにこっちのまひろさんは作中事あるごとにプロデューサーから天使扱いされる。確かにコイツに課金を催促されたことはないが…
他にもトレーナーのキャラクターが3人も居たり、それぞれにCVがついてたりと妙なところで作りが丁寧(そのお金でもっと大御所に曲を発注すれば良かったとか言わない)ボイスレッスントレーナーのあやせさんかわいいよあやせさん。
あと曲も幾つか好きなのができた。
個人的にはSTAGEや恋スル私←New!、Strawberry girlが気に入った。こうして今ブログの文章を書いてる間も脳内でSTAGEのループ再生が止まらないくらい好き。
まあでも音ゲーに向いてるか?って言うと別の話。だいたいの曲は世間一般では中速〜低速、つまり音ゲーマーにとってはだいたい低速曲に感じられる曲である。
まあこうなると譜面の難易度を上げるのは難しいワケで…音数も少ないし…いや僕は低速曲譜面好きだけどね。物理ボタンなら。
でもこれは別にアイコネに限った話では無いよなあ…アイドル音ゲーを新しく作る会社は意外とこの辺が分かってないんじゃないのかしら。
あと曲の追加ペースが遅い。リリースされたのが8/16で、9/30にやっと新曲を1曲追加している。ちなみにこの間にボルテは新曲を15曲(ブラスター入れると20曲)追加している。まあ楽曲公募制かつAC音ゲー界でも異常なペースで曲を追加してるボルテと比べるのもアレだけど。
あとこの手のゲームではライブ終わったあとレア度Nのカードがワラワラ湧いてきてボックスや受け取りボックスをどんどん圧迫していくのだが、アイコネの場合は経験値とコイン以外は手に入らない。
この仕様自体はいいと思うのだが、じゃあどうやってキャラのレベルを上げるのかというとひたすらコインで引けるガチャを回してエサとなるNカードを確保し、食わせまくるのである。
正直かったるいのでトレチケ的なのが欲しかったし、それも実装してれば、育成周りとボックス周りは他のアイドルソシャゲーとは一線を画す快適さになってたと思われる。
あとこの手のゲームに付き物のイベントについてだが、基本的には普通にライブしてポイントを集めようみたいなシステム。課題曲とか新曲とかはない。
まあでもスクフェスでことりちゃん3枚取り狙った時は何回もぶる〜べりぃ とれいんを聞かされて脳がヤラレちゃうんじゃないか(本望)って思いをしたこともあり、またデレステの変なイベントみたいにやる曲をランダムで決められてフルコンランプが付かないよりはマシな気がする。
それにイベントにもストーリーはくっついてる。イベントストーリーもすごくよくできてる。むしろイベントストーリーのためにイベントを走ったまである。こないだのイベントのつかさちゃんかわいかったな〜〜。
しかしイベントは妙に過疎ってる。イベントポイントを1万点集めるとイベントの報酬カードが1枚もらえるんだけど、その分ポイントを集めるだけで2枚取り圏内にランクインしてた。ストーリーはいいんだからみんなもっと走ろうぜ。
しかし、イベントを走ることは2度とできない。
11月7日、アイドルコネクトのサービス終了が決定された。
僕はサービス終了のお知らせを見た時、まずひとしきり笑って、そして胸に様々な思いがこみ上げてきた。
もう2度と彼女達に会えない、声を聞くこともできない。もはやこれは彼女達に訪れた”死”である。
こう考えた時、僕は彼女達から離れ難い、離れたくない、もう2度と会えないなんてイヤだ。どうやら僕はアイコネに思ってた以上に夢中になっていたらしい。
これはまるで、病弱な彼女と覚悟して付き合ったらある日彼女が倒れて「余命一ヶ月です。」と言われたようなもの。
僕はもう彼女達をアスタリスクライブに連れて行くことはできない…
シナリオの中でアイドル達が言ってた、「もっともっとアイドルをやってみたい」と。
しかしそれは叶わぬ夢、運命とも形容できる現実。
アイコネでコミケのスペースを取った同人作家さんがいた。その人もアイコネに夢中になっていた。でも…冬コミよりも先にアプリのサービスが終了してしまった。
この体の奥に重くのしかかる何か。目の奥からこみ上げてくる何か。
もう、2度と、会えないのだ。
大切な人との別れって、人生のもっと後で経験すると思ってた。
2次元には老いも死もないから絶対に裏切らないと思ってた。
ところが、現代の2次元には”死”が存在するのだ。
僕は2次元にいる大切な人との別れを経験した珍しい人なんだろう。
でも、そんなことどうでもいい。
もっと彼女達と同じ時を…
海外には有名なクソゲーレビュアーのAVGNことジェームズ・ロルフって人がいる。
この人は壁一面にクソゲーのコレクションを飾っている。
このゲームはゲーム性だけ見たらクソゲーなのかもしれない。でも昔のカセットのクソゲーと違ってこれはコレクションにしておく事もできない。
現代のクソゲーは、消えて無くなってしまうのである。
いろいろと思いの丈を吐き出してきたが、もうこの辺にしておこう。
とにかくついにサービス終了が決まってしまい、毎日10連ガチャ1回分の石が配られるなどある意味お祭り状態だ。
でもふと頭にもう2度と会えないことがよぎるとホントにツライですね。
んで結論としては、パッと見てダメそうなスマホゲーでも光るところがある。そしてやり始めるとなんやかんやで愛着が湧き、離れがたくなる。
そして安泰なスマホゲーに比べて割とすぐにサービス終了してしまうので喪失感がヤバイってことです。
要するにダメそうなスマホゲーに手を出すと時間をムダにするか2次元にあるはずのない別れの時を経験することになるので、やめといたほうがいい、ってこと。
それでは最後にこの言葉でやたらと長くなってしまったこの記事を締めたいと思う。
世界がこの短い輝きを忘れたとしても、僕は絶対に忘れない。アイドルコネクトは僕の中に永遠に残り続けるだろう。
【おまけ、アイコネシナリオ名言集】
アイコネのやたらとクオリティの高いシナリオの個人的な名場面をドンドコ貼っていこうと思う。
こう名場面を次々スクショしてたら最近カメラロールがアイコネのスクショで埋め尽くされてしまった。
それではいってみよー!
ノー勉で試験に挑む時とか、新しい仕事をやってみる時とか、連動でやったこと無い音ゲーを触る時とかに使えそう
音ゲーマーってこんな感じ
これまでずっとパセリを使ってたけど諸事情で初めて100円玉を使う時に使えそう
自分の中で何かを変えた時とか、自分の本当のことを伝える時に使おう
ガチでシリアスな話になるとこんな感じに、仔細は君の目で!…見れるのかな…残り時間的に…
サービス終了が決まった後にこう言うのを見ると本当につらい。これは叶わぬ夢…