【コラム】崔順実事件、ゴシップ垂れ流しは公害だ

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 困ったことになった。これほどまでになった「陰の実力者」による韓国の国政への介入という重大な事件が、「キル・ライム」と「薄毛」でしか人々の記憶に残らなくなった。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が、就任前の2011年、チャウム医院を何度か訪れて診療を受けた際に、ドラマ『シークレット・ガーデン』の女性主人公「キル・ライム」の名前を使ったという一件が話題を集めた。女優ハ・ジウォンが演じたキル・ライムは、幼いころに消防官だった父を事故で亡くし、困難な中でスタントウーマンの夢を育んでいくという強靭(きょうじん)な主人公。2010年晩秋に放送が始まって翌年1月まで続いたこのドラマは、視聴率35%以上を記録するほど人気を集めた。大統領が「キル・ライム」を名乗ったところを見ると、このドラマの熱烈なファンだったようだ。

 「崔順実(チェ・スンシル)氏国政介入」事件は、権力の頂点にある大統領が、重大な国事を、その資格のない女性に依存して決定したという点で衝撃を与えた。演説文にせよ人事にせよ、適切な専門家と議論していたなら、大統領がこれほどの窮地に陥ることはなかっただろう。今回のスキャンダルが肌で感じられるのは、入試不正、プラセンタ(胎盤エキス)の注射、「泥のスプーン」、服・バッグのように大衆の感性を刺激する生活密着型のニュースが降り注ぎ、公憤を呼んだからだ。秘密資金事件や兵器導入不正、BBK事件(投資顧問会社による株価不正操作事件)のような、歴代政権の不正もしくは疑惑を理解するには少なからぬ時間と努力を要するが、今回のスキャンダルは聞いているだけで好奇心が刺激され、青筋が立つほど強い吸引力を持っている。それが、政府と企業システムを駄目にした「崔順実氏国政介入」事件の本質を掘り下げる上で障害になった。

金基哲(キム・ギチョル)文化部長
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