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県都にぎわい創出 「トランジットモール」実験初日

外側の車線に露店が並び、バスと歩行者に開放された社会実験「トランジットモール」=岐阜市柳ケ瀬で

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 岐阜市中心部の道路をバスと歩行者のみに開放する「トランジットモール」の社会実験が19日、2日間の日程で始まった。初日はあいにくの雨で客足がまばらな時間もあったが、来場者はゆったりした“異空間”で飲食やイベントを満喫していた。

 区間は長良橋通りの約五百メートルで、片側二車線のうち中央寄りの車線をシャトルバスのみがゆっくりと走り、外側の車線が歩行者天国に。歩行者天国には地元産野菜やグルメなどの露店が並んだ。

 シャトルバスはクリスマス仕様の連節バスで、JR岐阜駅とぎふメディアコスモス間を、二十分間隔で特別運行。連節バスは普段は頻繁に運行していないため、乗車を目当てに訪れる人もいた。

 トランジットモールの社会実験は二〇〇三年以来二回目。今回はまちなかににぎわいを創出したいという地元商店街の提案で実現した。二日間で歩行者や周辺車両の通行量を調査し、にぎわいや渋滞への影響を検証。来年度以降の定期的な開催を目指していく。

 市商店街振興組合連合会の古川洋冶理事長は「普段の雨の日と比べると倍以上の人通り。晴れ予報の二日目はもっと来てほしい」と呼び掛けていた。

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 区間にある円徳寺で開かれたオープニングセレモニーで細江茂光市長は「今後継続して実施していけるようぜひ盛り上げてほしい」とあいさつした。

◆反応さまざま 街中集客で歓迎/う回の車は渋滞

 岐阜市の中心部で十三年ぶりに始まったトランジットモールの社会実験。沿道でバスをうれしそうに眺める親子連れがいる一方、付近の道路では回り道を余儀なくされた車が渋滞し、商店街も人の入りはまばら。住民らに聞くと、賛否両論の反応があった。

 露店の間に設けられたテーブルで休憩していた岐阜市西改田の主婦吉井由美子さん(67)は「いろんなお店があってついつい買い過ぎちゃった」と、笑顔で袋を抱えていた。

 子どもたちに人気だったのは、バス二台を連結器でつないだ連節バス。岐阜市八ツ梅町の会社員国江誠さん(43)は、長男(4つ)と眺め「多くの人が郊外の大型店舗へ行き、中心部の活気が減ったのは寂しい。街中に集客できるなら定期化してもいい」と話した。

 ただ、周辺では渋滞が発生。正午すぎには神田町5の交差点に西進する車の列は三百メートルに達した。コインパーキングを利用した同市松鴻町の主婦今井悠佳さん(36)は「実験があるのは知っていたけど、つい車で来てしまった。岐阜の人は移動手段が車中心。それをやめるという考えは浮かびにくい」と苦笑い。愛知県小牧市岩崎の塚原弘祥さん(65)夫妻は、近くの百貨店のセールに訪れ、車の列に巻き込まれた。「ちょっと迷惑と感じたけど、まちのにぎわいにつながるならいいと思う」と理解を示した。

 しかし、柳ケ瀬地区や美殿町では「客足はむしろ減った」と嘆く店主らが多かった。食品販売店のパート藤井清子さん(68)は「イベントがあると、そっちに客をとられてしまう」。婦人服店経営の稲葉正勝さん(72)は「今のところ全く変化はない」としつつ「それでも新しいことをどんどんやっていかないと。晴れれば客足も変わるかな」と二日目に期待していた。

 (北村希、兼村優希)

 

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