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【大相撲】

正代が初の稀勢撃破 地元熊本被災地の思い力に

2016年11月20日 紙面から

正代(奥)が押し出しで稀勢の里を破る(七森祐也撮影)

写真

◇九州場所<7日目>

(19日・福岡国際センター)

 4月に大地震があった熊本県出身の正代(25)=時津風=は稀勢の里を押し出して5勝目。鶴竜(31)=井筒=は遠藤(26)=追手風=を突き落として無傷の7連勝とした。綱とりの豪栄道(30)=境川=は魁聖を退けて連敗を免れ、6勝目。日馬富士は御嶽海を下し、白鵬も嘉風を問題にせず1敗を堅持した。大関かど番の照ノ富士は5勝目。琴奨菊は高安に屈して4敗目を喫した。

◆今場所5勝目!!

 土俵に上がると、稀勢の里より大きな声援を全身に浴びる。熊本県宇土市出身の正代。今場所、初めて札止めとなった館内には「親戚の方や高校の先生も来てたんで」。4月の熊本地震で被災した地元への思いを力に変えた。

 左からのすくい投げで稀勢の里の体勢を崩してから押し出し。4度目の挑戦で初めて稀勢の里に勝ち5勝目。「この九州場所の地で勝てたというのはうれしい」と思いを吐き出した。

 地震により実家は基礎の部分やふろ場にひびが入った。家族は車中泊での避難生活を余儀なくされた。現在は実家を建て直しているため仮住まいだが、来年春場所後には完成予定だ。

◆整体師も熊本市

 この九州場所だけでなく東京場所でも体のケアをしてくれている整体師の益田圭さん(38)も熊本市出身。自宅のマンションは「家電が全滅してエレベーターも水道も止まりました。何もできなかった」。そんな中で夏場所を控える豊ノ島、正代を治療するため、自宅を整理する間もなく東京へ向かった。正代は恩返しの思いも白星に込めている。

 この日の白星を喜んでいるのはもうひとり。師匠の時津風親方(元幕内時津海)だ。審判を務める親方は、盲腸のため2日目の職務を終えてから入院した。

◆入院の親方笑顔

 投薬治療を受け退院したのがこの日だった。部屋で白星を見届けた親方は、「タイミングもよかったし、右も入っていたね。立ち合いの当たりもいい」と話し、入院中に体重が6キロも減ったという親方も「見ていて気持ちがいい」と元気をもらい、10日目から審判の職務に復帰することが決まった。

 周囲から控えめでネガティブな性格だと言われるが、八角理事長(元横綱北勝海)は「素材はいい。きょうみたいに精神的に負けないといい」と将来性に期待。正代自身も「場数を踏んで、対応力が身についてきたのかなと。少しでも萎縮しなくなってきたのかなと思う」。白星を自信に成長を続ける。 (岸本隆)

 

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