3年前。
私は当時53歳だった父に言われました。
「スノーボード始めたいんだけど、教えてくれない?」
父は、若くして起業しました。俗に言う「社長」です。
完全なワンマン経営ですが、チャレンジ精神あふれる事業展開で、何とか数十年会社を存続させてきました。(ただしそんなに儲かっていないので実家は決して金持ちではない)
社長として多忙な毎日を送る中、そんな父が新しくやりたいと言い出したのが「スノボ」。
もともとスキーが趣味だったのでウィンタースポーツには精通していたのですが、まさか若者のスポーツ「スノボ」がしたいと言い出すなんて、思いもよりませんでした。
理由を聞くと「新雪を滑るならスノボが一番気持ち良いと若い社員が言っていたから、俺もやってみたいと思って。」という何とも軽い理由だったので、私はあらゆるリスクから父を止めようと説得しました。
- 年齢的にケガのリスクが高すぎる
- 始めたては動けないほど体が痛くなる
- すぐに上達するものではない
- おじさんでスノボしてる人はプロ以外見たことがない
それでも父は、言いました。
- 年齢的にケガのリスクが高すぎる→無理しなければ大丈夫
- 始めたては動けないほど体が痛くなる→頑張って耐えるから大丈夫
- すぐに上達するものではない→何回も練習するから大丈夫
- おじさんでスノボしてる人はプロ以外見たことがない→気にしないから大丈夫
そこまで言うなら…
「1日だけね」と後日スノボを教える約束をしました。
そしてスノボを教えることになっていた日の朝。
父は忙しい仕事の合間を縫ってYoutubeの初心者用動画を見ていたようで、「もうイメトレはバッチリだよ!」とわくわくした顔で言ってきました。
老体にムチ打つからにはできる限り最短ルートを通らねばと、しっかりと準備をしていたようです。
そして実際に滑ってみると、「こんなにできないもんだと思わなかった 、ハハハ」と言いながら転んでも転んでも立ち上がり、結局1日である程度滑れるようになっていました。(初めてスノボする人は2〜3日かかるのが普通です)
今では毎年父とスノボをするまでになっています。
何歳になっても、楽しそうにキラキラとした目をする父。
やりたいことなら、とにかくやってみる姿勢を貫く父。
そして何より、実現が難しそうなことでも、できるようにベストを尽くす父。
そんな父を、私は一生尊敬します。