ぼくは大学を卒業してから、ずっとエンジニアとして生きてきました。
普通、エンジニアにとって、いわゆる「時代を変えるイノベーション(技術革新)」に関わることができるのは一生に一つあれば幸せだと言われたことがあります。
でもぼくはなんと「時代を変えるイノベーション」に2つも参加することが出来ました。
ひとつはDVD(Digital Versatile Disc 多目的デジタルディスク)
これはぼくが命を削って開発、規格標準化に関わったものです。
それともう一つは、地上デジタルテレビ放送
この両者はともにMPEG(Moving Picture Expert Group)という動画圧縮、及び音声圧縮が関わっているのですが、その標準化のためにこれまた命を削って携わりました。
このあいだ昔の入国査証スタンプページが足りなくなって増刷されたパスポートを見てみたのですが、この2つの開発で移動した距離はざっと地球25周ぐらいありました。
おかげで双極性Ⅱ型障害という病気を発症してしまいましたが、でも自分の今までの人生は恵まれていたのではないか、と思っています。
TSUTAYAとかに行って、お客さんがDVDをレンタルしてお店から笑顔で出てくる姿を見ると、本当にやってよかった、と思いますね。
また、デジタル放送には実は家内の意見が散りばめられています。例えば、野球放送が延長になった場合でも次の番組の録画が正しく行われる仕組みは実は家内から「絶対入れて!」と言われて実現したものです。
ささいなことですが、家内の意見が世界標準になっているとは可笑しいです。
でもぼくのエンジニアとしての人生は本当に恵まれていると改めて思います。まだまだこれからも続きますが、身体をいたわりながらやっていきたいと思っています。