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オリンピックにおけるトイレ
2015年5月、日本政府は清潔で安全快適なトイレを目指し「ジャパン・トイレ・チャレンジ」という新たな取り組みを発表しました。9月には取り組みの一つとして「日本トイレ大賞」という表彰制度が創設され、トイレ施設を評価した空間部門と、トイレにかかわる活動を評価した活動部門の二部門の表彰が行われました。日本のトイレは清潔で高機能であると海外からの注目度も高く、今では日本を象徴する文化の一つとなっています。2020年には東京オリンピックも控えているため、今後公衆トイレの再整備や多言語表記化が進められるようです。11月10日は「トイレの日」でもあるので、今回はオリンピックにおけるトイレをテーマに豆知識をご紹介します。
【トイレのマーク】
1964年の東京オリンピックでは、言語の代わりに誰が見ても用途が分かる案内標識をイラストで描いたピクトグラムがあらゆる場所で活用されました。ピクトグラムはもともとオーストリアの社会学者ノイラートが児童教育のために考案した表現方法だと言われています。皆さんおなじみの、男女が並んだトイレマークもピクトグラムの一つで、東京オリンピックを機会に世界中に広まったそうです。当初、色は白黒でしたが、スカートだけでは見分けがつきにくいと、赤と青の色でも区別出来るようにしたそうです。今ではこのマークを見ると、すぐトイレだと認識出来るまでに定着していますが、日本発祥とは驚きですね。
【不思議なトイレ】 
2014年に開催されたソチオリンピックで話題を集めたのが「オリンピック・バイアスロン・センター」に設置された男子トイレでした。一つの個室内に壁で隔たれる事なく2つの便器が並んでいるのです。ロシアではこのように複数の便器が一つの個室内に設置されているケースがごくたまにあるそうです。
日本でも1964年の東京オリンピック時に国立競技場にあるトイレが変わっていると話題になりました。競技場地下の女子トイレに設置されたのは「サニスタンド」という便器で、女性でも立ったまま用が足せる形状になっています。アメリカにあるAmerican Standard社という会社が開発し、その後日本ではTOTO㈱が生産販売していました。
オリンピックでは何かとトイレが注目されていますが、北京オリンピックでは洋式トイレが少ないと話題になりました。中国は和式トイレが主流なため、外国人からは使用方法が分からないと不満が出たようです。今は和式トイレより洋式トイレの方が省エネや節水などでもメリットが多く、ウォシュレットを備えているものは特に人気があります。下の図を見て下さい。

内閣府が行った消費動向調査によると、洋式トイレが1987年から昨年までに累計6,293万台も出荷されています。また、TOTO㈱では1977年に洋式便器が和式便器の出荷台数を超えたそうで、2013年の大便器の出荷台数は、和式1%に対し、99%が洋式だったそうです。今後、和式トイレを見なくなる日も近いかもしれません。2020年の東京オリンピックに向けて、都内では自然公園のトイレを和式から洋式に切り替えると発表がありましたが、他施設も同じような動きが多く予想されます。オリンピックでは、日本の良さを表したトイレで海外からのお客様もおもてなししたいものですね。

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