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グッドジョブ本人

丁寧に生きた記録

歩みを止めないTHE YELLOW MONKEY、「Four Seasons」まんまの雨宮まみ

再結成したTHE YELLOW MONKEYが、2度目のツアーをスタートした。主要都市のアリーナを経て地方都市のホールを巡る彼らは、今回も観客に「ただいまー!」と言って懐かしの楽曲をどんどん演奏する。セットリストはヒットソング祭りではなく90年代から追い続けたファンへのご褒美みたいな具合で、私は中学時代ぶりに聴く曲なんかに大感謝祭スタイルキメながら、今のイエローモンキーに対して抱いている新鮮さを改めて実感していた。

 

例えば解散前は一度もライブで披露できなかった別れ歌「プライマル。」を2016年に再会を象徴する1曲へ着替えさせたように、再集結イエローモンキーは本人やファンがほろ苦い想いを背負わせた曲をどんどんどんどん祓っていく。一度貼られたレッテルを剥がし、楽曲や自分たちをどんどん更新していく様子を毎回目にすることができるなんて、なかなか体感できなかった。だから私は今こそイエローモンキーが見逃せないでいる。で、このツアー終わったら年末には武道館で恒例コンセプトライブ「メカラウロコ」でしょ?大晦日紅白だし年明けたら幕張CDJで…アニバーサリーイヤーらしい2017年はもう絶対東京ドームだよね!だって解散前ラストライブのギグ場だもん、絶対やってみせるよ猿たち~~~~~~~~!!!!!!!!

 

雨宮まみさん、私はそんな話をしたかったのです。会ったことない私たちがインターネット以外で唯一近付けたブロスのコラム、めちゃくちゃ丁寧に誘ってくれつつ「おれたち同じリングで書くんすよ!!!」と小気味よく発破をかけてくれたじゃないですか。なのに日記帳出し合いマッチは決着が付かなかったので、私は「自分、今回のツアー行けたんで…(パンフをスッ)」って形でマウント取るつもりだったのに!数日経った今夜もひたすらに悲しくて、いつかの口(ですらない)約束を交わしっぱなしにしていた自分への悔しさにもたまらないでいる。

 

THE YELLOW MONKEYが再集結後初ライブを行った翌月、私は雨宮さんの作品に復活イエローモンキーとまったく同じ感動を抱いていた。Web連載「40歳がくる!」第2話。

www.daiwashobo.co.jp

ボイトレを通じて自らが変わる瞬間をありありと描いたテキストは、私に「自分を更新する」ということの大変なむずかしさ、達成感のハンパなさを教わって。バンドのことも含めて「なんか2016年は音楽がすごい!とか思っていたけれど、それだけじゃないな!今年は人間がすごいな!」とか沸騰した感じのことを思わせていたのだった。これからどんな風になっていくのか、本当に楽しみでいた。

 

昨日のこと。午後にあるイベントに足を運んだものの、まったく気乗りしないどころか聞こえてくる会話の節々に雨宮まみを連想して泣けてしまう始末で、私は結局途中で会場を後にしていた。しかし自転車にまたがったあたりで、いま自分が雨宮さんから「ここやばくないすか。持ち込みOKなんすよ」と教わったカラオケ店の近くにいることに気付く。こうなったらとことん!と気持ちを切り替え、私はコンビニでちいちゃいウイスキーのボトルを買ってからカラオケ屋に入店。幻のイエモンカラオケ会のゴングを鳴らした。

 

誰も「Are You Ready Spark!」とか言っちゃくれないステージでのソロライブ、いやあ悲しかった。「このバンドこんなに生きるとか死ぬとか言うのか!勘弁しろ!」と思ったし、「花吹雪」で「雨上がりのアスファルトが嫌いになりそうなエロティックな香り」の部分ホントやばいよねって書いてたねそう思うね!みたいなログがDAMの字幕とともに流れたりで、その上テーブル席の向かいには誰もいないしもうビシャビシャだ。「Four Seasons」の歌詞なんて、彼女そのものじゃないですか。そんなもんだから、エッセイなら「カラオケ店を出た。月が綺麗で、不思議と安心した」みたいなところに着地すべきなのに、会計後もベロ酔いのまま友達にLINEをぶつけまくるという試合運びとなった(怖いからまだ見返してない)。

 

このあいだ友達が自殺し、悲しさと、遺された者が抱える疑問符の重たさを痛いほど知ったばかりだ。同時に「でも普通に自分は生きてるし、明日も来る」ということも。だからもう、雨宮さんに吉澤嘉代子の「東京絶景」という曲を聴くたんびに雨宮さんの東京ってこんなふうかな?っていつも思うんスよとかは言えないし、「40歳がくる!」で撮ったという写真の表情だけでも見せてくださいと大それたお願いをすることもできないことはわかっている。自分が3.11を経てあれほど誓ったはずの「今やれることは今やろう」をないがしろにしたことで、約束を果たさないルートを選んだという結果も受け止めた。悲しい気持ちはこれからも続く。

 

でも、ここで留まっていたら、それはいよいよ本当によくなくて。あの人が命を削るように書いてきてくれたものを受け取ったファンの1人としては、ここをきっかけにして何らかの更新につなげていこう。共通項としてあったあのバンドは幸いにも解散しないそうなので、折に触れるチャンスにも恵まれているぞ。そうだそうだ、おお、なんかテンション上がってきた!今夜準備ALRIGHTだ!