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本部

夏がくるまで

落花生

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
9人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/11/14 20:49

掲示板

オープニング

●俺の彼女は――
 冷たい外気に、白い息を吐く。
 自動販売機で買ったコーヒー缶は、焼石のようにであった。本当はブラックコーヒーが欲しかったのだが、展望台の近くの自動販売機は一台だけ。しかも、粗末な品ぞろえだった。
「探すと見えないもんだな。流れ星って」
 暖かい車から三十分以上も出ていた彼女に、コーヒーを差し出す。ブラックはなかったよというと彼女は「甘いものをのみたい気分だったら、ちょうどいいわ」と答えてくれた。
「探して見つかるようなものだったら、願いなんてかなわないような気もするわ」
 年下の恋人は、俺が投げ渡したコーヒーのプルタブを開ける。自分は熱いと思って手渡したのに、恋人は少しも熱を感じないかのようにそれに口をつける。
 女の子なのに、彼女はすごく恰好が良い子だった。十代の頃からリンカーとして戦いから、その生き様が仕草に現れていたのかもしれない。
 今日も、流れ星を探したいという自分の子供みたいなわがままに付き合ってくれる。
「もしも、流れ星を見つけたらどうする?」
 この時、俺は二十六歳。
 彼女は、二十四歳。
「私だったら、この世で一番大きな桃が食べたいって願うわ。あっ、もちろん甘いのよ」
 彼女――モモカは、その名の通りに大の桃好き。夏になれば、わざわざ産地に車を飛ばして買い求めるほどだった。普段は恰好がいい彼女が、その季節だけ女の子らしい甘い香りをさせていたから俺は夏が好きだった。
「カオルは、何を願うのよ」
「俺は、実は一か月前以上からこの願い事をするって決めてたんだ」
 俺は、ポケットに入れていた小箱を取り出す。
「モモカ、俺とけっこ……」
「危ない!」
 モモカは、俺を突き飛ばす。
「カオルは車に戻っていて!!」
 ――それからの俺の記憶は、ひどく曖昧である。
 気が付けば、モモカは死んでいた。
 俺たちを襲ったのは、愚神だった。だが、そいつはモモカとの戦いで死にかけていた。携帯で助けを呼ぼうとした俺に、愚神は囁いた。
「あなたがワタシを受け入れれば、この女を従魔として蘇らせることができる。さぁ、ワタシの手を取れ!」
「ふざけるなっ!! そんな提案を受け入れられるか!」
「いいのか? お前の決断で、この女が蘇るチャンスは消えるのだぞ。そうだ、この女は桃の季節が好きだったのだろう。せめて、その季節まで女を生かすがいい」
 桃が好きだった、モモカの好きな季節。
 ――夏まで、彼女を従魔にして生かす。

「私だったら、この世で一番大きな桃が食べたいって願うわ。あっ、もちろん甘いのよ」

「つっ!」
 俺は、どうしようもなく弱かった。
 モモカに守られているだけで、足を引っ張る男だった。そんな男だったからこそ、モモカの最後の言葉を叶えてやりたくなった。
「わかった。夏までだ。夏までだから!!」
 俺は愚神を受け入れて、モモカの死体は従魔になった。夏が来れば、俺はモモカを死体に戻す。そのはずだったが、俺はモモカを殺せないままに――三年も無為に過ごしてしまった。このところ、愚神の意識が強くなるのを感じる。
 奴は、とうとう俺とモモカに飽きたらしい。
 ごめん、モモカ。
 せめて、愚神を巻き添えにして俺も消えるから。

●三年後
「山の展望台で、不審な男女の目撃情報?」
 HOPEの職員は、その話に首をかしげる。
「車で行けるお手頃な展望台ですから、若いカップルには人気の場所なんですよ
 私も昔は旦那と行きましたー、と女性職員は声を上げる。
「そんな男女がわんさか居そうな場所に『不審な』男女なんて現れるのか。歳の差がいくらあってもカップルとして見られそうな場所なんだろ?」
「まぁ、カップルに人気だったのは昔の話になりつつありますから。今の若者は、もっとにぎやかなところにいっちゃいますよ。ただやっぱり――星空の下で語り合うってロマンがあるじゃないですか。ただ、そこで三年前に失踪したリンカーのモモカがいたという目撃情報が出たんです」
 女性職員はため息をつく。
 モモカは、若いがリンカーとしては経験豊富な女性であった。しかし、三年前に失踪。当時付き合っていた男性と共にいなくなっていたため、警察は駆け落ちではないかと判断した。
「駆け落ちした先から帰ってきただけじゃないのか?」
「モモカが目撃された山の展望台で、殺人事件が起きたんです。警察は愚神による犯行ではないかと判断して、HOPEの協力を要請しています」
 三年前に突如として消えた――モモカと恋人。
 目撃された場所できた――愚神による事件。
「モモカの情報を念のため、派遣するリンカーたちに伝えろ」
 きな臭い匂いがしていた。

●俺の公開は――彼女の
「モモカっ――」
 俺は、荒い息を吐く。
 もはや、モモカは俺の言うことを聞かない。いや、モモカは最初から俺のなかにいる愚神の云うことしか聞いていなかったのだ。だから、愚神が俺の言うことを聞いてくれなくなったというほうが正しい。
「モモカは、ここで死んだのよね」
 愚神が、笑う。
「今日まで、アタシの玩具になってくれたお礼に見せてあげるわ。あなたのモモカがリンカーたちに壊されるところを。そして――そのリンカーをアタシが壊すところも」

解説

・愚神および従魔(モモカ)の撃破。

・夜の山の展望台。都心から車で一時間程度であり、展望台としては手軽にこれる。そのためカップルに人気だが、現在は事件のために人気はなくなっている。障害物等はないが、星を見るための展望台のために明かりはごくわずか。なお、展望台の大部分は駐車場のために足場はしっかりとしている。

・モモカ……死後に従魔につかれており、言葉を発することはない。二十代の女性の姿をしており、その身体能力は生前のものを完全に復元している。接近戦に秀でており、近づいてくるものは日本刀により力づくでねじ伏せる。遠距離戦になると銃を発砲するが、腕はあまりよくはない。追い詰められると、袖口に隠した小型の銃。ブーツに仕込んだ、小型のナイフを使用しての蹴りなどを使ってくる。従魔が消えると、モモカの死体は土へと変える。

・愚神(カオル)……カオルについた愚神。カオルを完全に取り込んではおらず、引離すことは可能。モモカとは別に女性の死体を使った従魔を使用しており、それに自分の身を守らせている。主に従魔を支援することに長け、自身の戦闘能力は低め。
使用する技
ブースト――カオルのライヴスを使用し、発動。モモカ以外の従魔に使用し、身体能力を劇的に上げる。これにより、リンカー並みに身体能力を得ることができる。序盤に使用する。
アップ――モモカ以外の従魔に使用。武器の性能を格段に上げる。従魔が一人でも倒されると使用。

・従魔……五体出現。元々は若い女性の死体であり、生前程度の身体能力しかもたない。愚神の技を受けて、リンカー並みの身体能力に性能が上がる。武器は銃器であり、ナイフも持っているが必要にかられなければ使わない。

プレイング

木霊・C・リュカaa0068
人間|29才|男性|攻撃
『どんな事情があろうと、罪には代わりありません

●心情
対カオル
リュカ:縋る気持ちを理解できる故に、あまり上手い言葉はでてこない
「…選択を誤ってしまったのは、きっと確か、なんだろうね
凛道:理解し難いことも多々、が、責めるのが正義では無いことはわかる

●目的
愚神と従魔の討伐+カオルの救出

●準備
通信機:戦闘の最中、回避を呼びかける際耳打ちで連絡可能な様にしておく

●交友・呼び方
紫組、恭也組
リュカ:リンドウ、交友欄参照、年上・救助者はさん付け、他はちゃん付け
凛道:リュカ→マスター、ガルー・A・A(フルネーム呼捨て、他全員さん付け

●行動
従魔>モモカ>愚神
攻撃する際、範囲も含め、特に顔付近は攻撃しない様行動
その為
武器を奪う:銃器、ナイフへ部位狙いを行い、壊すかその手から弾き飛ばし敵の攻撃手段を減らす
動きを止める:足元を刈る形で攻撃
遺体としての姿が残っているなら極力残した状態で連れて帰る
敵が違う武器を取り出した際は周囲に攻撃への警戒を呼び掛ける
カオルと愚神は引き離して保護を目的に行動
愚神の首は刈る、刈り落とす
『罪には罰を、驕りには制裁を
貴方の首一つでは到底足りませんが、これで趣味の悪い悲劇は幕引きにしましょう

ロストモーメント:従魔に攻撃を受けた際使用、反撃し敵体勢が崩れた所を畳みかける様に通常攻撃に持って行けるよう試みる
ストームエッジ:身体の中心まで範囲にはいれず、範囲攻撃内に従魔の足元だけが入るように範攻の中心点をおいて攻撃を試みる
使用前は周囲味方に宣言、回避の呼びかけを行う
イノセンスブレイド:エッジ使用前、タイミングを被せるように

『罪も過去も消えませんし、雪ぐこともできませんが、償うことはできます
もう一度、まっすぐ恋人さんに向き合えるように生きてみたらどうでしょう

「寒いね、もうすっかり冬だ…せーちゃんもイザナミちゃんも大丈夫?風邪ひかない様にしないとね
『あの糸引く星が流れ星ですか
紫 征四郎aa0076
人間|8才|女性|攻撃
「なんだか嫌な予感がします。モモカの情報は、適宜教えてくれたら嬉しいです」
スマホはハンズフリーで繋いでおく

◆行動
モモカ以外の従魔>愚神>モモカ
の順の優先
『数の割にモモカさんだけを突出させる布陣を取ってるのが少し気になる』
「少し様子を見た方が良い、でしょうか」
『敵の思惑通りに動くのは癪だろ?』

前衛近接
愚神を守る従魔を各個撃破しながら
愚神に声をかけ続け情報を引き出す
「あなたは誰ですか! 意思の疎通は可能ですか?」
「諦めないでください! 私達は、あなたを引き剥がして助けます!」

遠距離時や目標へ近づけさせて貰えない時のみ弓に持ち替え
大剣のリーチを活かすように1スクエア開けつつ立ち回る
力には力で退けるよう、剣に体重を乗せて重い一撃を
愚神が離脱しようとしたらそちらの退路を塞ぐ
特に背後を展望台にしないよう(飛び降りて逃げられないよう)出来る限り包囲
「逃がしません!」

・ライトアイ
なるべく味方全員に対し
アサカと手分けし無駄がない形で使用

・パニッシュメント
「ガルー、アサカに合わせてパニッシュメントを撃ちます!」
愚神のみを攻撃しカオルを引き剥がすために使用

・ケアレイ
味方生命力半分以下で使用
保護時カオルへ使用


『モモカさんはもう助かりそうにねぇな、やるしかねぇぜ征四郎』
「待ってください。今倒してしまって、カオルは本当に大丈夫でしょうか?
生きることを選んでくださるでしょうか」

『助けられる奴だけ確実に助けるべきだと俺様は思う。その後のことはそいつが決める』
『……勝手にしろ。あとはお前に任せる』

愚神を倒すよう試みつつカオルへ声をかけ続ける
「彼女の分もあなたが生きることは、出来ると思います
モモカが救ってくれたあなたの命、ここで終わりにしないでください!」

「酷い愚神。あなたの好きにはさせないんですから!」


終了後、カオルと共にモモカの墓を作るなら手伝う
「カオルが歩き出すのを、モモカも待ってると思うのです」
赤城 龍哉aa0090
人間|23才|男性|攻撃
「行方不明になったはずの連中が、か」
『子細は後で確認する他ありませんわ。察するに質の悪い愚神に誑かされたようですけれど』
「何にせよ、まずは愚神退治からだな」
カオルとモモカについてはきっちり情報を確認。
特に実力派だったモモカの戦い方、得物については細大漏らさずに。

愚神との会敵時、俺はモモカの相手をする。
事実上の最大戦力を押さえ込めば、後は仲間が何とかしてくれるだろう。
「言葉が届くかは判らんが、その偽りの命、断たせて貰うぜ」
「カオルって言ったか。あんたにゃ後で話がある。彼女に申し訳ないと思うなら、愚神の1つや2つ除けて見せろ」
あくまで俺の私見だが。
カオルはモモカを失う事を恐れるあまり、選択を誤った。
『従魔に成り下がり、愚神にいいように操られるのが彼女の願いだったと思いますの?』(※)
だからこそ、目の前の彼女の形をした従魔を俺は叩き潰す。
人の弱みに付け込む愚神の所業、俺は許さん。

モモカに対してはまず天叢雲剣で対応。
「なるほど動きは生前そのままという訳か。だがな……」
意志の伴わないただ再現されただけの動きが、いつまでも通用すると思うなよ。
<一気呵成>からの二撃目で刀を叩き落とし、その後は虹輝に切り替えて組打ちへ持ち込む。
「彼女の中から出て行けよ、従魔」
止めは昇〇拳(<疾風怒濤>の三連撃で再現)で。

「さて、諸悪の根源はそこか」
従魔を幾らか底上げしようが、それでここに集まった皆を倒せると思ってるなら甘いにも程がある。
相棒(リィエン)もいる事だし、さっさと取り巻きを片付けて愚神に落とし前を付けさせよう。
カオルから叩き出してフルボッコの方向で。
<オーガドライブ><疾風怒濤>も使えるスキルはきっちり使う。
「誰が俺らを殺すんだって?」
『滅せられるのはそちらですわ、愚神』

カオルに言いたい事はヴァルの言葉通り(上述※)だ。
それを踏まえて
「生きて彼女をきっちり供養してやれよ」とだけ。
※アドリブOK
御神 恭也aa0127
人間|16才|男性|攻撃
【心情】
「外道がっ・・・」
『死者を冒涜する輩には、報いを受けて貰うよ』

【友人】
木霊・C・リュカ組
紫 征四郎組
赤城 龍哉組
リィェン・ユー組
辺是 落児組
【行動】
モモカや従魔を攻撃する際は可能であれば、必要以上に傷付けない様に討伐する
モモカはカオルと愚神が分離するまでなるべく倒さない様にして、二人が対面出来る様に足を狙って攻撃を行う
従魔は身体に対して突き攻撃を行うか、首を刎ねる
「気分の悪い仕事だ・・・」
『早く倒してあげようよ・・・あの子達の魂が穢されないように』

カオルと対峙する時は、命を奪わない様に注意して打撲系の攻撃をメインに行う
引き離す為に愚神を拒絶する様に話しかける
「お前が愛した女は、愚劣な外道に良い様に操られる事を是とするのか?己のせいで愛してくれる男が堕ちるのを良しとするのか?」
『思い出して、キミは何かを託されたはずだよ。キミは託された物を放置して彼女に合わせる顔があるの?』
「愚神の誘惑に乗ったのは間違いだ。だが、人としてその選択は当然なのだろう」
「このまま外道と共に朽ちる気か?お前の想いを彼女自身を弄んだ奴に一矢報いたいとは思わんか?」
「奴を強く拒絶しろ。後は俺達が引き剥がして地獄に叩き落としてやる」

引き剥がされた愚神は、持てるスキルを駆使して殲滅する
『慈悲は無いよ。このまま滅すれば良い』

引き剥がした後で、モモカが存在していたら愚神を滅する前にお別れをさせる
『ねえ、カオルの選択は間違っていたの?愛する人と共に居たいと思うのはおかしな事?」
「俺は其処まで誰かを愛した事が無いから説得力は無いが・・・間違ったと思う」
「失った時の苦痛はそのまま愛情の深さだろうから、それは受け入れるべきだと思うが」
『・・・ボクは、きっと共に居る事を願うよ。愛する人と一緒なら煉獄でも幸せだからね』

「」:恭也
『』:伊邪那美

※アドリブ 絡みOK
リィェン・ユーaa0208
人間|22才|男性|攻撃
『まったく・・・ゾンビ、ゾンビと最近ゾンビの相手ばかりなのじゃ』
「だな。四国といい今回といい、たしかにここのところゾンビが多くでてきているな」
『死体があれば作れるから数を揃えやすい上、一般人に与える精神的なダメージもかなり高いからのぅ』

とりあえず俺は従魔対応で行動
見た感じでは取り巻き5体は特異そうな気配はないし時間をかけると取りつかれてる彼の身に何があるかわからないので速攻で仕掛けていく
愚神を攻撃する姿勢を見せることで愚神が従魔を使って防ごうとするのを誘い、従魔を積極的に狩っていく
攻撃は屠剣での斬撃を主体に基本的にはすべて首を狙いさっさと終わらせようとする
従魔1体を倒した後に発動するアップには驚くもののやることは変えない
「隠し玉がその程度か・・・・・・多少武器が強くなろうが使い手が変わらないのならどうってことないんだよ」

「しかし・・・ここまで完全な姿だと逆に怖いな」
モモカについては元リンカーが触媒の為、警戒する
愚神のフォローへ行かせないようそれぞれの間に陣取るように対応
基本は屠剣での斬撃だが、今度は燥糸を武器や四肢に絡めての阻害なども交えて戦う
「いろいろ無念だったと思うが・・・・・・こいつで終いだ。安らかに眠りな」
せめてもの情けだ
あまり傷つけず、できるだけきれいな体のままで倒してやろう
『そういえば・・・この女子の英雄はどうなったんじゃろうな』
「さぁな・・・・邪英化したわけじゃないのなら彼女のことを心配して消えてしまったんだろう」
『じゃったらこれで心配事はなくなったわけじゃな。あの世で彼女と再会しておるといいのじゃ』

さてと、んじゃまだ生きてるんだったら愚神の始末をしまするとしますか
今回のやり口は気に入らないんで散々苦しませて、自分がやったことを後悔してもらおうか
『リィェンが珍しく悪い顔をしておるのじゃ』
辺是 落児aa0281
機械|21才|男性|命中
心情
失踪していたとして…なぜ今頃現れたのでしょう?
愚神がからんでいるとなるとよい予感はしませんけれど

情報収集
モモカ達の失踪時展望台付近で事件・事故が起きていないか調査
※Hope経由で警察に情報提供を依頼
モモカの戦闘方法や得意技能などHopeのデータベースから取得
顔写真等のデータは可能であれば恋人の分を含め提供を依頼
※接敵時、3年前から全く老けていない等違和感がないかを確認
展望台で起きた殺人事件の概要確認
※被害者、行方不明者など人的被害を中心に情報収集
「疑ってばかりだと動きが鈍くなりますが…警戒は必要ですよね

行動
一般人の迷い込み防止を主軸に被害の拡散防止
展望台内や駐車場に一般人がいる可能性も考慮
※展望台内部で灯りが揺らぐ・影が動くなどの変化、駐車場に人が乗っている自動車がないか等
Hopeに展望台に繋がる道の一時的な封鎖を依頼
「人気がなくなったからこそ穴場となっている可能性も有りますし周囲には注意を

戦闘
街から展望台に繋がる道に位置取り戦闘
イメージプロジェクターにて暗色系の迷彩服を展開
自身の持ち込んだ灯りは点灯させず接近して戦う味方の灯りを利用し遠距離からの射撃に重視
射線確保を兼ねて射撃位置を変更し対策が取られにくくなるように留意
「目標は…7?従魔とおぼしき取り巻きへの牽制を主軸に行動しましょうか
※ノイズキャンセラーで暗がりによる視界不良を可能な限り軽減、トリオは従魔への牽制として使用

対愚神
搦め手などで意表をついてくることに警戒
従魔を盾にする、戦力を一点に集中するなど逃走の兆しがあれば
ダンシングバレットによる跳弾射撃と妨害射撃で足止めを実施
「…あの強化術式はモモカさんとおぼしき従魔には効果がないのでしょうか?

思案
ここに現れた理由はなんなのでしょうね?
愚神自体に思い入れがある場所とは思えませんし
…もしかすると、依代側に意識が残っていたりするのでしょうか?


取得した情報は共有に努める
鯨間 睦aa0290
人間|20才|男性|命中
睦「」
蒲牢『』

【心情】
『夜の展望台で男女が二人きり?最高じゃない』
「………」
『はいはい、そうよね。お仕事よねぇ。手早く楽しんで、帰りましょ』

【目的】
愚神と従魔の殲滅

【準備】
キャンプ用の持ち運びできる照明の中で特に明るいものとライトを用意
ライトは使用している銃の先にくくりつけておく

【行動】
戦闘開始次第共鳴、まずは取り巻きの従魔とモモカの相手から
照明で自身らの回りくらいは視界を確保しておく

トリオを使用してまずは敵の数を減らすところから、
2体以下になった場合は使用スキルをストライクに切り替え
ファストショットで先手を取るのを忘れずに

実際の動きとしては味方の動きと敵の動きを考慮し
射線確保と敵の動きの制限の為に動き回っている
突撃銃を使用している為、一発一発狙い撃つというよりは面で狙うイメージ
『夜だから狙い撃つよりは向いてるわねぇ』

愚神の足止めをしている仲間が苦戦しているようならそちらの援護に回る
射撃で味方の攻撃の間を埋め、敵に隙を突かれないよう善処する

愚神がカオルをどうするかは個人的には興味がない
ただし味方にカオルを助けようという動きが見られるなら
別にそれを邪魔しようとも思わないので援護する

ただし、その後のカオルへの声掛けやフォローなどには興味はない
他の人がやっているのを笑顔で見守るくらい

ただし、あとで事件の全容を知ることが出来た際は、面白がる
『あの愚神いい趣味してたのねぇ。』
「……」
『ああいうのが仕組む事件があるから、あたしみたいな同類がこうして正義面してられるのよねぇ』
『本当……感謝しなきゃ、ねぇ?』

共鳴時は睦がベース、蒲牢の声が頭に響いている状態
現象の考察も蒲牢の担当、気付いたことがあれば睦に伝える
蒲牢が決めた方針に睦が黙々と従うのが基本姿勢

アドリブ歓迎
大宮 朝霞aa0476
人間|20才|女性|防御
アドリブ歓迎

■心情
「いやぁ、征四郎(aa0076)さん達と一緒なら、大船に乗ったつもりでいけるよね!」
『お前もがんばれよ、朝霞』
「むぅ!ニックこそ!ガルーさんに負けないようにがんばってよね!」

■行動
展望台に到着後、周囲を調べる
人気が少ない中、男性の声がきこえる方へ向かう
「ねぇ、ニック。あの人、情報にあったモモカさんに似てる気がする」
『なにか、お取込み中のようだな』
「よし。事件に関係があるかはまだわからないけど、接触してみよう」
『朝霞、注意して接近しろ』

カオルとモモカに話しかけてみる
「あのー、すみません。ちょっとお時間いいですか?」
『……朝霞、離れろ。こいつら様子がおかしい』

「やっぱり愚神が関係してたのね!ニック、変身(共鳴)するわよ!」
『やれやれ、観ている奴なんて誰もいないだろうに』
「それでも変身ポーズはお約束なのよ!変身!ミラクル☆トランスフォーム!!」(ビシィッ)
英雄と共鳴状態になり『聖霊紫帝闘士ウラワンダー』(自称)に変身

共鳴後、【ライトアイ】を自分含め味方に使用

●戦闘
レインメイカーによる魔法攻撃が基本
前衛・盾役として接近戦を仕掛ける
敵の攻撃はガードを固めて防御、できればレインメイカーで受け流す

まずは従魔5体+モモカを対応
従魔を倒したら愚神を狙う
※愚神が逃亡を図ったら阻止

>従魔5体+モモカ
銃撃を掻い潜って接近戦
味方と連携して敵に死角を衝かれないように動く
「この人達、操られてるのかな?それとももう……」

>愚神
「この人、さっきなにか叫んでいたよね?」
『もしかしたら、こいつはまだ人間の意識が残っているのかもしれんな』
「……だとしたら、助けられるかも」
【パニッシュメント】で攻撃、これなら愚神だけにダメージを与えられるかも
「消えろ愚神!ウラワンダー☆フラッシュ!」

生命力半分以下の味方を【ケアレイ】で回復

●戦闘後
カオルを助けられたら介抱する
「大丈夫ですか?しっかりしてください」
九字原 昂aa0919
人間|20才|男性|回避
遺体を従魔にするなんて、趣味が悪いですね
僕らと趣味も合いませんし、この世界からご退場願いましょうか

■行動
基本方針としては、従魔から順番に撃破して最後に愚神を倒します。
予め手持ち蛍光灯を準備しておき、現地に到着したら視界確保のために周囲に配置。
愚神が逃げないように牽制と足止めをしつつ、従魔にこちらの戦力を集中させて1体ずつ撃破していきます。
最後に愚神を包囲し、逃げられない様にしながら撃破。
カオルさんに関しては、愚神から解放したら保護して、これまでの経緯を聴取しておきましょう。

僕個人の行動としては、愚神の足止めと牽制を行います。
現地に到着したら、潜伏も併用して姿を隠して愚神に接近。
可能ならば不意打ちを仕掛け、そのまま近接戦を挑み注意を引きます。
初手には縫止を使い封印を付与。
封印で従魔の強化が出来なくなれば、効果が切れるたびにかけ直します。
僕から距離を取ろうとするのならば、女郎蜘蛛を使って足止め。
また、絡めた糸を引っ張って、体勢を崩せないか試してみましょう。
距離を開けられて詰められない場合、苦無「極」に持ち替えて投擲します。
従魔による妨害が激しく愚神に近づけない時は、従魔の始末を先に行いましょう。

終了時
「時間はかかってしまいましたが、もう眠らせてあげましょう……」
モモカだった土塊に手を合わせて冥福を祈る
アリスaa1651
人間|14才|女性|攻撃
『寒いね、Alice』
「そうだねAlice。…早く終わらせて帰ろう」

カオルさん…の感情には興味ない。
愚神と従魔の撃破がオーダーならその通りに。以上。

序盤は愚神の周囲にいる従魔五体の掃討へ。
基本ウィザード→アルスマギカで遠距離攻撃。
相手の攻撃は拒絶の風纏い回避。
ブルームフレアは従魔五体と、愚神とモモカで範囲に入った際に。
依代の事なんてどうでも良い、けど…まぁ、死んだ後も身体を利用されるのはね。
せめて全部燃やして送ってあげるよ。

終了後は任務完了の報告しつつさっさと帰る。

アドリブ絡み可

リプレイ

 夜の空気は、しんと冷えていた。
 夜空には満天の星。
『夜の展望台で男女が二人きり? 最高じゃない』
 蒲牢(aa0290hero001)は、人影のない展望台に満足していた。美しい星は、男女の気分を最高に盛り上げてくれることであろう。だが、鯨間 睦(aa0290)が星空に感動している様子はなかった。こんな時でも、彼はリアクションが薄い。たぶん、隣に美女がいてもリアクションは似たようなものであろう。
「………」
『はいはい、そうよね。お仕事よねぇ。手早く楽しんで、帰りましょ』
『モモカは失踪していたとして……なぜ今頃現れたのでしょう? 愚神がからんでいるとなるとよい予感はしませんけれど』
 構築の魔女(aa0281hero001)は悩みながらも、辺是 落児(aa0281)に意見を求める。だが、落児も首をかしげるばかりだ。失踪したモモカとその恋人カオルの情報はできる限り集めたが、ごく普通の恋人同士だった。怪しいところも特になく、失踪する理由がないといえばない。だが、当時の警察は成人女性と男性の失踪事件だったこともあり本格的な捜査をしなかったらしい。
『寒いね、Alice』
「そうだねAlice。……早く終わらせて帰ろう」
 アリス(aa1651)とAlice(aa1651hero001)は、息を手に吹きかける。早く帰って、家で熱いココアでも飲みたいものである。ここは、あまりに寒すぎる。
「念のため、明かりを確保しましょう」
 九字原 昂(aa0919)は、周囲を警戒する。展望台の周囲は、星をみるために心もとない明るさしかない。自動販売機すら一台だけで、売られているのはコーヒーとウーロン茶ぐらいのわびしい品ぞろえだった。
「ねぇ、ニック。あの人、情報にあったモモカさんに似てる気がする」
 大宮 朝霞(aa0476)は、展望台にいた女性の集団から一人を指差す。人通りはないと聞いていたが、こんな時でも訪れる人間はいたらしい。
『なにか、お取込み中のようだな。しかし、女のなかで男一人とは様子がおかしいな』
 ニクノイーサ(aa0476hero001)は、奇妙な集団に眉を寄せる。女は数人いるが、男は一人だけ。どんな集まりなのか、想像しにくい。
「よし。事件に関係があるかはまだわからないけど、接触してみよう」
『朝霞、注意して接近しろ』
 単なる天体オタクの集まりという可能性もあるが、事件が起こっているのだから警戒するに越したことはない。
「あのー、すみません。ちょっとお時間いいですか?」
 朝霞は、モモカと思われる女性に話しかける。
 だが、女性は答えない。
『……朝霞、離れろ。こいつら様子がおかしい』
「こんにちは」
 男が、口を開く。まるで、少女のように笑う不可解な男であった。
 構築の魔女は、手にしていたモモカの写真と見比べる。男と共にいるのは、間違いなく失踪したはずのモモカである。
「死ぬのには、良い夜ですね」
『気を付けてください。彼は愚神です! そして、彼女は死体です!!』
 凛道(aa0068hero002)の叫びと共に、モモカがリンカーたちに襲い掛かってくる。彼女がすでに亡くなっているとしたら、あれは――
『まったく……ゾンビ、ゾンビと最近ゾンビの相手ばかりなのじゃ』
 イン・シェン(aa0208hero001)は、唇を噛んだ。
「だな。四国といい今回といい、たしかにここのところゾンビが多くでてきているな」
 リィェン・ユー(aa0208)は、女たちの動きに目をやる。
 愚神であると思われるカオルを守るのは、モモカと同じような雰囲気の女性たち。おそらくは、彼女たちも体を愚神に弄ばれている。
『死体があれば作れるから数を揃えやすい上、一般人に与える精神的なダメージもかなり高いからのぅ』
 ゾンビが親族の前に現れたら、それだけで一生もののトラウマを背負う。それを考えれば、ゾンビを制作する愚神の行動は許せないものだった。
 ぎらり、とモモカの日本刀が闇夜に輝く。
 生前の彼女が最も得意としていた武器。
 モモカの日本刀を受け止めたのは、赤城 龍哉(aa0090)であった。
「行方不明になったはずの連中が、か」
『子細は後で確認する他ありませんわ。察するに質の悪い愚神に誑かされたようですけれど』
 ヴァルトラウテ(aa0090hero001)は、モモカ以外の女性たちに視線をやる。失踪した当時から着替えをしていないらしく、女性たちの服はどれも洒落たものだ。年頃の女性らしい服装は、少しでもよく見られたいという気概が感じられた。それが、今は無残なゾンビ。
 龍哉は天叢雲剣を使って、モモカの刀を受け止める。生前はベテランのリンカーであった彼女の動きは鮮麗されており、少し油断すれば力負けしそうだ。
「なるほど動きは生前そのままという訳か」
 これは、苦戦するかもしれない。
 だが、女たちの無念のためにも負けるわけにはいかない。
『数の割にモモカさんだけを突出させる布陣を取ってるのが、少し気になる』
 ガルー・A・A(aa0076hero001)の云う通りモモカだけが愚神から離れて、あとの女性たちは愚神を守るようにかこんでいる。ハーレムのような光景だが、実際は残酷な光景だ。愚神に酷使される、女たちの姿なのだから。
「少し様子を見た方が良い、でしょうか」
 紫 征四郎(aa0076)から見ても、この布陣は愚神の意志を感じる。
『敵の思惑通りに動くのは癪だろ? だが、悠長に出方を待つのも嫌な相手だな。美人ばっかり狙うなんて、男の風上にも置けないぜ』
 征四郎は大剣を握りしめて、女に切りかかった。
 がきん、と従魔のナイフと征四郎の大剣が金属音をたててぶつかり合う。
「あなたは誰ですか! 意思の疎通は可能ですか?」
 叫ぶが、相手からの反応はない。
 暖簾に腕押し、まるでマネキンにでも話しかけているようだ。
「無駄だ、そいつらは全員が死んでいる。アタシがのっとった男は、自分の恋人がこんなふうになることを望んだ馬鹿なやつなのさ」
 愚神の言葉を聞いた凛道は、銃器を握る。
『どんな事情があろうと、罪には代わりありません』
 女たちの武器や足を狙う凛道の見ながら、木霊・C・リュカ(aa0068)は思わずつぶやく。
「……選択を誤ってしまったのは、きっと確か、なんだろうね」
 失踪したとき、恋人の駆け落ちを疑われたということは二人はそうとう深い仲だったのだろう。自分も恋人を突然失ったら、そして愚神が甘い罠を囁いたら――リュカは首を振る。自分はそんな選択はしないだろうが、男が愚かしい選択をした理由は理解できるのだ。だから、上手く言葉がでない。
「外道がっ……」
 御神 恭也(aa0127)は、苦虫をかみ殺したような顔をした。伊邪那美(aa0127hero001)の表情も、冷え冷えとしたものに変わる。
『死者を冒涜する輩には、報いを受けて貰うよ』
 この愚神は、許されないことをした。
 許してはいけないことにした。
 恭也は、女たちの体にできる限り傷をつけぬように立ち回る。死んだといえ、年ごろの女だ。しかも、なんの罪もなく死後に愚神に操られているだけの。
「気分の悪い仕事だ……」
 恭也は、女の腹を殴打する。
 従魔に操られていると頭では分かっているが、罪悪感がわいてくる。せめて、顔だけは。顔だけは、無傷のまま家族に返してやりたい。
『早く倒してあげようよ……あの子達の魂が穢されないように』
 伊邪那美の言葉に、恭也は頷く。
「僕も手伝います」
 昂は縫止し、愚神の動きを止めようとする。
 だが、愚神を守るように従魔たちが昂たち行先を阻む。
「いきなり本命は狙わせてもらえないようですね」
 昂は、唇を噛んだ。
 自分の攻撃が通らないことは、それなりに悔しい。
「やっぱり愚神が関係してたのね! ニック、変身するわよ!」
 朝霞は、ニクノイーサに命ずる。
 同じ女として、今回の愚神を許すことなどできない。
『やれやれ、観ている奴なんて誰もいないだろうに』
「それでも変身ポーズはお約束なのよ! 変身! ミラクル☆トランスフォーム!!」
 朝霞はレインメイカーを握り、従魔の一人をなぎ倒す。
「アップ!」
 愚神が叫んだ途端に、従魔の武器の性能があがる。
「うわぁ、いきなり強くなったよね」
『おそらくは、愚神の仕業だろうな』
 ニクノイーサの推測には、間違いないだろう。
『だとしても、性能が上がったのはあくまで武器だけなのよね』
 蒲牢が囁いた。
『あなたの実力ならば、関係ないわよね?』
「ああ……問題は……ない」
 睦は武器を握りしめる。
 トリオを使用し、まず敵の数を減らす。
「Alice、行くよ」
 アリスはウィザードセンスを使用し、アルスマギカで遠距離から攻撃をしかける。
『アリス、左にもいるよ』
「わかってる」
 逃がしはしない。
 黒いアリスは、拒絶の風をまとう。
 相手からの攻撃から、身を守るためであった。
「依代の事なんてどうでも良い、けど……まぁ、死んだ後も身体を利用されるのはね。せめて全部燃やして送ってあげるよ。ずっと、そのまんまなんて悔しいでしょ」
 アリスの声が響く。
『……あの強化術式は、モモカさんとおぼしき従魔には効果がないのでしょうか?』
「……」
 構築の魔女は敵の能力に対して、疑問を投げかける。
 だが、落児から返事はない。彼も答えを見つけられていないのだろう。
「疑ってばかりだと動きが鈍くなりますが……警戒は必要ですよね」
 構築の魔女は遠くから、敵を見やる。
 まだ敵の数は多いが、従魔に関していえば警戒するほどのものではない。
 なぜならば――。
「隠し玉がその程度か……。多少武器が強くなろうが、使い手が変わらないのならどうってことないんだよ」
 リィェン・ユーの云う通りだ。
 その時だった。
「こっちも、隠し玉か!」
 龍哉は、モモカから距離を取った。
 モモカの靴からは、ナイフが飛び出ていた。それを龍哉の頬をかすったらしく、彼の皮膚からは血が一筋流れていた。
 龍哉は乱暴に、その血をぬぐう。きっとこの武器は、生前の彼女の奥の手だったのであろう。この武器は、モモカが生き残るために考えたはずだ。
「……言葉が届くかは判らんが、その偽りの命、断たせて貰うぜ」
 偽りの命を長らえるために、龍哉はその武器を使って欲しくはなかった。苛立ちを落ち着かせるために龍哉はやけにゆっくりと息を吐く。そして、愚神に取りつかれている男をぎろりと睨んだ。男は、相変わらず笑っている。
「読んだ資料では、カオルって言ったか。あんたにゃ、後で話がある。彼女に申し訳ないと思うなら、愚神の1つや2つ除けて見せろ」
『従魔に成り下がり、愚神にいいように操られるのが彼女の願いだったと思いますの?』
 ヴァルトラウテの言葉。
 敏い彼女は「カオルはモモカを失う事を恐れるあまり選択を誤った」と理解している。理解しているからこそ、強い彼女は愚神の所業を許さない。
「彼女の中から出て行けよ、従魔!」
 龍哉はモモカの刀を叩き落とし、虹輝を構える。
『モモカさんはもう助かりそうにねぇな。やるしかねぇぜ、征四郎』
「待ってください。今倒してしまって、カオルは本当に大丈夫でしょうか? 生きることを選んでくださるでしょうか」
 ガルーの言葉に、征四郎は戸惑った。
 大切な人を失ったことに耐えきれなかった男は――自分が恋人の死を弄んでしまったことに耐えきれるだろうか。
『なら、征四郎。おまえが、言葉をかけるんだな』
「ガルー……」
 征四郎は、戸惑う。
 果たして言葉で、カオルを救うことはできるのだろうか。
「征四郎さん、危ない!」
 凛道は征四郎をかばって、従魔の攻撃を受ける。凛道はロストモーメントを発動させ、自分の周囲に武器を展開させた。
『――あなたたちの幕引きは、僕がおこないます。だから、もう眠ってください』
 従魔の女たちに武器が突き刺さり、それが刺さった女たちはもう動くことはなかった。
 残酷な光景ではったが、これで女たちの魂は救われた。
『罪も過去も消えませんし、雪ぐこともできませんが、償うことはできます』
 凛道はつぶやく。
 その小さな声は、征四郎にも確かに聞こえた。
「いろいろ無念だったと思うが……こいつで終いだ。安らかに眠りな」
 リィェン・ユーは、自分の目の前にいた従魔にとどめを刺す。
 女の悲鳴に、リィェン・ユーは悪態をつきたくなった。
 女性のイン・シェンと契約しているからではないが、女心は理解しているほうである。リィェン・ユーは、彼女たちの体に傷をつけぬように戦っていた。女は、自分の体に傷がつくのを嫌がる。死後無理やり戦わされている女に、無体は働きたくない。
『あの愚神、いい趣味してたのねぇ』
 A.R.E.をかまえた睦の脳裏に、蒲牢の声が響く。
 その声は、どこか悲劇を楽しんでいるようであった。
 一流の劇作家が書いた悲劇を楽しんで拍手を送る、観客。
 蒲牢の声は、まさにそれであった。
「……」
『ああいうのが仕組む事件があるから、あたしみたいな同類がこうして正義面してられるのよねぇ』
 睦は、否定も肯定もしなかった。
『本当……感謝しなきゃ、ねぇ?』
 ただ敵の数を減らすことに、全力を注ぐ。
 女の皮をかぶった敵は、まだ生き残っている。
「遺体を従魔にするなんて、趣味が悪いですね。僕らと趣味も合いませんし、この世界からご退場願いましょうか」
 昂は、愚神の足止めをしていた。
 愚神の男に対して、女郎蜘蛛を使用する。
「わざわざ女性の死体ばかりを使用するなんて……本当に悪趣味ですよね」
 仲間に倒されていく女性の姿を見て、昂はつぶやく。
 こちらが一般人を攻撃しているように見える戦闘には、イライラさせられる。
「皆、美人ばっかりでしょ?」
 愚神の言葉に、昂は冷えた表情で答えた。
「ええ。あなたの本性は醜いでしょうが……なんといって取りついている人を誑かしたんですか?」
「あなたたちに、倒せる? だって、アタシがのっとった男の意識はまだ生きてるわよ」
 愚神の雰囲気が、一瞬だけ変わった。
「殺してくれ!」 
 と、カオルが叫ぶ。
「この人、さっきなにか叫んでいたよね?」
 戦っていた朝霞が動きを止める。
『もしかしたら、こいつはまだ人間の意識が残っているのかもしれんな』
「……だとしたら、助けられるかも」
 朝霞はそう言うが、ニクノイーサはカオルを助けるべきか一瞬迷った。カオルを助けたところで、愛した女はもういないのだ。だとしたら、男にとってこの世は地獄だ。
「大丈夫よ」
 朝霞は頷く。
 その横顔は、自身にあふれていた。
 なぜ、という疑問は愚問だ。
 朝霞はヒーローであるがゆえに、自身にあふれているのだ。
「征四郎さんたちと一緒なら、大丈夫!」
 その言葉に、ニクノイーサは肩の力が抜けた。
 難しいことは、後で考えることにしよう。
『お前もがんばれよ、朝霞』
「むぅ! ニックこそ! ガルーさんに負けないようにがんばってよね!」
 朝霞たちの言葉を聞いていた構築の魔女は、『やはり……』と呟く。
『ここに現れた理由は……きっと思い出の場所なんですね』
 構築の魔女は、目をつぶる。
 ここは二人にとって、どんな場所だったのだろうと思った。
 告白をしたのだろうか?
 愛をささやいたのだろうか?
 どんな愛の思い出があったのだろうか。
「……」
『わかっています。物思いにふけるのは、後ですよね」
 仲間の助力を経て、ようやく恭也は愚神の前に立つ。不気味な愚神であった。若い男の皮をかぶり、女を使役していた愚神。
「お前が愛した女は、愚劣な外道に良い様に操られる事を是とするのか? 己のせいで愛してくれる男が堕ちるのを良しとするのか?」
『思い出して、キミは何かを託されたはずだよ。キミは託された物を放置して彼女に合わせる顔があるの?』
「愚神の誘惑に乗ったのは間違いだ。だが、人としてその選択は当然なのだろう……。だが、愚神は拒絶しろ」
 恭也は、自分の言葉がカオルに届くと信じていた。
 信じていたからこそ、語りかけた。
 まるで恋人を助けるかのように、モモカが恭也と愚神の間に入る。そのモモカを撃ったのは、アリスとAliceであった。
「これであなたも――」
『――もう終わり』
「お家に帰れるよね?」
 アリスたちの言葉を、さえぎるかのように男の悲鳴が響く。
「モモカー!!」
「大丈夫ですか? しっかりしてください」
 朝霞は、未だに愚神が離れないカオルに声をかける。
 男は苦しそうであった。苦しみながら、自分の望みを口にしていた。
『まだ、離れないようね』
「愚神を離すには……戦うしかない……」
 睦の言葉に、蒲牢は笑う。
 その通り、だったからだ。
『やっぱり、憑代の意識があったんですね』
「……」
 構築の魔女は、落児の反応を探る。
 だが、落児のリアクションはやはりなかった。
『そういえば……この女子の英雄はどうなったんじゃろうな』
 イン・シェンは、思い出したように呟く。
 モモカが実力のあるリンカーであったならば、隣には頼りになる英雄がいたはずだ。
「さぁな……。邪英化したわけじゃないのなら、彼女のことを心配して消えてしまったんだろう」
 きっと、自分までモモカに心配はかけたくはないと思ったのだろう。
 だから、英雄はおとなしく引き下がったのだ。
『じゃったら、これで心配事はなくなったわけじゃな。あの世で彼女と再会しておるといいのじゃ』
 恋人ではないが、最高の相棒。
 そういう二人の間柄なら、きっとあの世でも最高の相棒であり続けるだろう。
「さて、諸悪の根源はそこか」
 龍哉は、拳と拳を合わせる。
 この場の一番の悪を許さない、という気持ちを込めて。
「誰が俺らを殺すんだって?」
『滅せられるのはそちらですわ、愚神』
 龍哉の疾風怒濤が発動する。
 その攻撃を浴びたとき、カオルはモモカと過ごした日々の思い出を見た。懐かしくて、幸福で、胸が締め付けられそうになっていると――いつの間にか自分と愚神は二つに離れていたのであった。
「あなただけは、許せません。あなたがいなければ、こんな悲劇は生まれませんでした」
 昂の攻撃が、愚神を撃ち滅ぼす。
 カオルの目から涙が流れた。
 もうこれで、モモカが動くことは永遠にないのである。
「彼女の分もあなたが生きることは、出来ると思います。モモカが救ってくれたあなたの命、ここで終わりにしないでください!」
 征四郎は、力の限り叫んだ。
 あまりに叫びすぎて、体の力が抜けてしまいそうなほどだった。それでも征四郎は、これだけは伝えないといけないと思った。
「お兄さんも……カオルさんの気持ちはわかるよ。今、辛いという気持ちもわかる。でも、モモカさんは、カオルさんのためだから頑張れたと思うから……ごめん、言葉がうまく見つからないよ」
 リュカは言葉を切る。
 カオルは、モモカの手を取った。
 動かない彼女の手を取ったカオルは、子供のように笑って堰が切れたように泣き出したのだった。アリスたちは、その光景を長く眺めることをしなかった。
「早く帰ろう……」
『そうね』
 長く見続けるには、この光景はあまりに悲しい。
『ねえ、カオルの選択は間違っていたの? 愛する人と共に居たいと思うのはおかしな事?」
 伊邪那美は、子供のように尋ねた。
「俺は其処まで誰かを愛した事が無いから説得力は無いが……間違ったと思う。失った時の苦痛はそのまま愛情の深さだろうから、それは受け入れるべきだと思うが」
 恭也も上手く言葉が見つからない。
 人生経験が足りないと言えばそれまでだが、恭也はもどかしさを感じる。伊邪那美の疑問に、はっきりと答えられない自分が不甲斐なく感じる。
『……ボクは、きっと共に居る事を願うよ。愛する人と一緒なら煉獄でも幸せだからね』
 ならば、少し前までのカオルは幸せだったのだろうか。
 恭也は、疑問を飲み込む。
 それは、カオルにしか分からないことだ。
「今回は本当に、後味の悪い事件でした」
 昂は、ため息をつく。
 アリスとAliceも、身を寄せ合って寒いねと呟きあう。
 この場は、あまりに寒かった。
 恋人の死体を抱いて、泣く男がいるのだ。
 秋の夜空は、あまりに冷たい。
「寒いね、もうすっかり冬だ。……せーちゃんもイザナミちゃんも大丈夫? 風邪ひかない様にしないとね」
 そうだ、下山したら喫茶店でココアを飲もう。
 リュカは突然、そんなことを言い出した。
 凛道はいぶかしむが、リュカは困ったように笑った。
「最後に、二人の思い出を作ってあげようよ」
 凛道は息を吐く。
 まるで、自分の魂が体から出て行ったようにもみえた。
 だが、凛道はまだ生きている。
『マスター、あの糸引く星が流れ星ですか?』
 恋人たちは、あの星に何を願うのだろうか。
 誰かが、それを呟いた。
 愛の誓う言葉だよ。
 誰かが、その愚問に答えた。
「幸せな夢物語は当然馬鹿げているけど、今回の事件は寒いよ」
 アリスは、そう呟いた。
 ――秋空は今日も寒い。
 だから、恋人たちは身を寄せ合う。

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  • エージェント
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|29才|男性|攻撃
  • エージェント
    凛道aa0068hero002
    英雄|23才|男性|カオ
  • エージェント
    紫 征四郎aa0076
    人間|8才|女性|攻撃
  • 優しき『毒』
    ガルー・A・Aaa0076hero001
    英雄|31才|男性|バト
  • 卓戯の闘士
    赤城 龍哉aa0090
    人間|23才|男性|攻撃
  • 優しき戦乙女
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 憧れの兄貴
    御神 恭也aa0127
    人間|16才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • 義の拳客
    リィェン・ユーaa0208
    人間|22才|男性|攻撃
  • 義の拳姫
    イン・シェンaa0208hero001
    英雄|26才|女性|ドレ
  • 誓う『世界』はここにある
    辺是 落児aa0281
    機械|21才|男性|命中
  • シンクロ・バレット
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|23才|女性|ジャ
  • エージェント
    鯨間 睦aa0290
    人間|20才|男性|命中
  • エージェント
    蒲牢aa0290hero001
    英雄|26才|?|ジャ
  • コスプレイヤー
    大宮 朝霞aa0476
    人間|20才|女性|防御
  • 聖霊紫帝闘士
    ニクノイーサaa0476hero001
    英雄|26才|男性|バト
  • 軽業師
    九字原 昂aa0919
    人間|20才|男性|回避



  • 鏡合わせの二人
    アリスaa1651
    人間|14才|女性|攻撃
  • 鏡合わせの二人
    Aliceaa1651hero001
    英雄|14才|女性|ソフィ
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