【社説】ネットの怪情報に踊らされる韓国最大野党代表

 韓国の最大野党「共に民主党」の秋美愛(チュ・ミエ)代表が18日、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に向けて「『朴サモ』(朴槿恵を愛する会)に物理的衝突を準備させ、支持層の結集を図っている」「戒厳令まで準備しているという情報も持っている」と主張した。「朴槿恵 戒厳令」が主要ポータルサイトのリアルタイム検索語ランキングのトップになるなど、この発言は急速に広まった。韓国国防部(省に相当)の報道官が「そんな状況ではないだろう」と答弁するという事態まで起こった。

 現在、朴槿恵大統領が命令すれば韓国軍は国民に銃口を向ける、と信じる人はほとんどいないだろう。もしそんなことが起きたら、将兵は大統領に背を向けるだろう。また、国会の半数を占める野党には、戒厳令を無効化する法的権限もある。判事出身で、それを知らないはずはない秋代表が、私的な席でもない党の会議の席でそんな発言を行った。ありえないこと、ネット上で噂されていることを「そうでなければよいが」という形で言い捨てるというのが、韓国の野党のレベルなのか。無責任な学生運動家の習性は、今となっては改めるべきだ。

 これまで秋代表は「崔順実(チェ・スンシル)氏と『心霊対話』をしていた大統領」「大統領が韓国を邪教に奉献」「崔順実氏は悪魔と口付けしているだろう」と、度を越した毒舌をばらまいてきた。今度は「(大統領が)注射が気分よくて意識がもうろうとして、国政を指揮できないのなら、そのまま退陣すべき」と主張した。批判ではなく呪いだ。「国民の党」の朴智元(パク・チウォン)非常対策委員長も、不適格者を崔順実氏問題の特別検事候補に挙げたが、すぐに「ちょっと言ってみたこと」というようにはぐらかした。大統領に対する怒りがあまりに大きいから目立たないだけで、野党の傲慢と無責任も、さほど時を置かず大きな問題として浮き彫りになるだろう。

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