重要施設のぼかし処理をグーグルが拒否、韓国は地図提供認めず

「安全保障上の脅威」

 韓国政府は、5カ月以上続いてきた「グーグルの地図データ搬出問題」に対し、不許可という判断で終止符を打った。国土交通部(省に相当。以下同じ)・国防部・外交部・未来創造科学部など8部処(省庁に相当)からなる韓国政府の「地図国外搬出協議体」は18日、米国のグーグルが申請していた韓国の詳細な地図データの搬出要請に対し、不許可決定を下した。

 国土地理情報院のチェ・ビョンナム院長は18日、協議体の会議終了後のブリーフィングで「グーグルの韓国地図データ搬出要請は、韓国が直面している『南北対立』という条件から、安全保障上の脅威を増大させる懸念がある。安全保障問題の解消という観点から、主要な国家施設の衛星画像を『ブラー(ぼかし)処理』したり低解像度処理したりして欲しい、という補完策を韓国政府からグーグル側に提案したが、グーグル側がこれを受け入れなかったため、許可できないと判断した」と発表した。韓国政府は当初、グーグルが今年6月に申請していた詳細な地図データの搬出を許可するかどうか、8月末に8部処が参加する協議体で決定する予定だったが、グーグル側との追加協議のために審議の期限を60日延長していた。ところがこの期間中、グーグル側は韓国に本社の役員を送って「最新・最高の画像サービスを提供するという社の原則およびポリシー上、韓国政府の提案を受け入れることはできない」という立場に固執する姿を見せた-というのが韓国政府側の説明だ。

 チェ院長は「きょうの協議体の会議では、何よりも国益、とりわけ安全保障に優先度を置いた」と語った。ただし韓国政府は、グーグル側の立場の変化などで再申請があった場合には、詳細な地図データの搬出許可問題を再検討する方針だ。チェ院長は「安全保障問題は、時代によって変わるということがあり得ない」と述べつつも「今回不許可になったからといって、後でグーグルやほかのグローバル企業が地図搬出を申請してきた時、また不許可になるだろうとすぐに断定はし難い」と語った。地図搬出を再申請する上で、回数や時期には特に制限がない。

 グーグル側は、18日の不許可決定発表後「グーグルも安全保障を極めて重要なものと考えているが、今回の決定については遺憾。今後も引き続き、関連法規内で可能な地図サービスを提供できるよう努力したい。韓国でも、グーグルの地図サービスの全機能を提供できることを希望する」とコメントした。

金鳳基(キム・ボンギ)記者
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