(C)2016「聖の青春」製作委員会
29歳の若さで亡くなった棋士・村山聖(さとし)の生涯を描いた映画『聖の青春』が11月19日に全国公開されました。
13回新潮学芸賞を受賞した大崎善生氏による名作ノンフィクション小説を『宇宙兄弟』の森監督がメガホンをとり映画化された作品です。
松山ケンイチの20キロにも及ぶ増量、東出の羽生名人の再現率の高さでも話題になりましたよね。
出典:natalie.mu
私は、吉野家でポスターを貼っているのを見て気になっていたので、公開初日の今日、早速見てきました!
劇場は、将棋を扱っていることもあり年配の方から、恐らく将棋をやっているであろう子供連れの親子まで沢山の人で席が埋まっていていました。
内容としては、短いながら濃い人生を過ごした村山聖棋士をコミカルかつシリアスに描いていて、将棋のことが分からなくても人間ドラマとして充分楽しめる作品です。
将棋に精通していなくても、共通項を見つけて感情移入していたひとも沢山いたかと思います。
ただ、実在した人をモチーフに扱っているというのが疑わしくなるほど「こんな人いるんだ」思わせられる人柄や生き様には、びっくりさせられっぱなしでした。
これから見にいく人には、「死を扱っているけど明るい気持ちでみれる作品だと思うので、是非気軽に劇場に足を運んでください!」と伝えたいです。
※このあとの記事には、映画本編のネタバレが含まれます。また、内容は批評や論評といった類のものではなく、感じたことをそのまま書き出しただけの寄せ集めのようなものです。見に来ていただいた方には、友人と映画を見終わった後にあーだこーだ言いい合う時のような軽い気持ちで読んでいただけると嬉しいです。
変わり者過ぎて終始飽きずに見てられる
(C)2016「聖の青春」製作委員会
天才には、変わり者が多いと良く聞きますが、村山聖という人物はまさにそういった趣きでした。
髪や爪は伸ばしっぱなし、整理整頓が全くできていない部屋、先輩であろうと師匠であろうと関係なく無作法な物言い。
治療を後回しにしての将棋に麻雀、お酒。
そして、極端なまでの食へのこだわりと少女漫画の趣味。
ツッコミはじめたらキリがないほど、出てきますよね。笑)劇中であった上京してすぐの将棋会館で受けた扱いのように、近寄りがたい存在感のある人なのが凄くよく伝わってきました。笑
食に関してですが、牛丼は吉野家で…その他は思い出せないですが、聞いたことのない店名だったので多分出身の広島のお店もあるのかと思います。
食へのこだわりは十分わかりますが「なぜ少女漫画が好きなのか?」意外な趣味の理由には、結構切ないものがありましたよね。
素敵な恋愛に対する憧れ。
正直、「ズボラな性格からして少女漫画のような恋愛は難しいだろ!」と言いたくもなりますが、そこだけはピュアという…笑っちゃいけないんでしょうけど、ちょっと面白いかったです。笑
ある意味いろんな面で突き抜け過ぎている中でも、しっかり人間味のある部分も見せてくれて、その点は凄く良かったと思います。
下手したら、単なる変人で終わっちゃう可能性すらありましたよね。
羽生名人とのサシ飲みで語ったように普通の夢を持った青年だったことが、印象的に描かれていました。
「身体が丈夫であれば一度で良いから女を抱いてみたい」という姿には、さすがに少しぐっときてしまいした。
劇中で、睾丸まで摘出した事を明らかにしていたので、その夢は叶えられなかったということになります。
男であれば、それがどれだけ同情に値することか言わずとも理解できるところだと思います。
しかも、まだ二十代ですからね。
才能がある人なので、丈夫な身体で生きていられれば、男の本懐を遂げる機会も必ずあったはずなのにと思うと、なんとも言えない気持ちでいっぱいになりました。
生き方に共感はできないし、がっつり泣けるかというと…
正直、村山聖のような生き方は、どちらかというと「こうなったらいけない」と教訓にすべき人生だと、私は感じています。
特に治療に専念すべき時にそれを疎かにしたり、周りの人に対する言動は褒められたものではありませんよね。
仮に彼が生きていたら、この映画を見てもかなり辛辣な文句を言っているように思います。笑)あくまで、劇中での彼のイメージからですが…。
そういう面で、私は彼の生き方には共感できないことだらけです。
だからこそ切なくて同情するシーンはあるものの、涙が流れるということはありませんでした。
完全なフィクションであれば、もうちょっと泣かせる工夫もできたかも知れないですが、実話を元にしていることもあって大げさな演出はできなかったんでしょうね。
推測ですが作っている側も、この映画でがっつり泣かせにきてる訳ではないんじゃないかと感じました。
死のシーンも劇的ではなく、対局中のように坦々とその時がくるという印象でした。
実際、観客の方たちも泣いている人はあまりいませんでしたしね。
ただ、良い悪いを抜きに死ぬまで勝負と向きあっていた棋士の生き様を追体験できるという面では、凄く素晴らしい映画だったんじゃないかと思います。
変わった人だったからこそ、映画になるわけですしね。私の人生なんかどう転んでも映画なんかにはなり得ないんで。笑
ちなみに、泣ける映画が見たいなら、『湯を沸かすほどの熱い愛』がオススメです。泣きたい気分だったのにという人は、まだ公開しているので是非劇場に足を運んでみてください!
私たちが知らない将棋の世界
全ての競技に通じる負けたくないという気持ち。
将棋の世界は、日本の伝統文化でありながら興味のない人からは、よく分からない存在だったりします。
恥ずかしながら、私も駒の動かし方が分かる程度です。
この映画では、天才的な二人の棋士を通して、将棋に打ち込んでいる人たちの熱意が嫌ってほど伝わってきました。
将棋をやっている人には当たり前のことかもしれませんが、勝敗が決したとき「負けました」と宣言しなくちゃいけないのは、なかなか残酷なルールだと感じました。
ただでさえ悔しい思いをしているなかで、それを言葉に出さなきゃいけない。礼儀も必要なので平静を装いながらも、感情をかみ殺して絞り出してるのが伝わってきて、いちいち心に突き刺さりました。
将棋が頭脳戦だということは理解しているので、自分が挑戦することはありませんが本気で戦っている人たちの姿をみると、やってみたくなるのは私だけじゃないと思います。
最近だと、同じく日本の伝統文化である「かるた」に打ち込む『ちはやふる』という映画でもかなり、興味を刺激されてしまっていました。笑)なんか恥ずかしいくらいに影響受けちゃうんですよね。
とりあえず、NHKの将棋番組をチェックすることから始めてみたいと思います!
まとめ
この映画を見てもそうですが、俳優さんの役作りには本当尊敬の念しかありませんよね。マツケンの増量にしろ、東出昌大のなりきりっぷりにしても驚かされてばかりです。っていうか、完全にニュースなどでよくみる羽生名人でした。
私は、なんだか完全にご本人出演くらいの気持ちで終始見ることができました。
この映画を見て将棋、そして村山聖という人に興味が湧いたので、原作の小説の方もチェックしてみたいと思います!
調べてみると彼をモチーフにした漫画も出ているみたいです。私は、漫画の方が好きなのでまずはそっちから読んでみる予定です。なんと、12月1日まで第1巻が無料で読めるみたいなので、皆さんも是非読んでみてください!