2014年度に読んだ論文ベスト1 (社会心理学的な知見と神経科学的手法を組み合わせるというのは近年のホットトピックではあるが、特にこの研究はその組み合わせが秀逸かつ結果も面白い!と思えた) DeWall, C. N., Chester, D. S., & White, D. S. (2015). Can acetaminophen reduce the pain of decision-making? Journal of Experimental Social Psychology, 56, 117-120. Abstract: 心理学的、行動経済学的な理論では、人がしばしば非合理的で、ベストではない選択をすることを示してきた。ある決定について表現するときに、痛みに関する言葉を用いることがある(hurt, painful)。神経科学的なエビデンスから、身体的な痛みと意思決定に関わるシステム間に共通する部分があると指摘されている。しかしながらこれまで、どの研究でも薬理学的に身体的痛みを減少させることが、意思決定における痛みを減少させうるかということが扱われていない。本研究では、身体的な痛みを緩和するアセトアミノフェン、もしくは偽薬を投与した後に、認知的不協和(実験1)、もしくは喪失嫌悪(実験2)を生じさせる状況に参加者をおく実験を通して、この溝を埋めることを試みた。いずれの実験でも、アセトアミノフェンが意思決定の痛みを緩和させ、認知的不協和の状況では態度変容をあまり生じさせず、個人の所有物を売却する際の値段設定を低くさせる結果が示された。 |
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