【ロサンゼルス長野宏美】米国のドナルド・トランプ次期大統領の政権移行チームがテロ対策として検討中とされるイスラム系移民の登録制度について、有力支持者が米テレビで支持を表明する際、第二次大戦中の日系人強制収容を「前例」として引き合いに出した。これに対し、ロサンゼルスの全米日系人博物館は18日、強制収容は「恥ずべき歴史だ」と指摘し強く抗議する声明を発表した。
トランプ氏の政治資金団体幹部だったカール・ヒグビー氏は16日、保守系FOXテレビの番組で、イスラム系移民の登録制度を支持。人種や宗教に基づいた特定集団に対する差別的扱いに関して「第二次大戦中の日本人にもそうした」「前例がある」と述べた。
同博物館は強制収容を「我が国の歴史で最も恥ずべきこと」と非難。「集団への恐怖をあおり公民権を否定するため、公人が日系人の悲惨な歴史に頼ることに黙っていない」と抗議した。
大戦中に強制収容された日系人は12万人以上に達し、1988年にはレーガン政権が公式に謝罪した。
人気SF映画「スタートレック」で知られる日系人俳優ジョージ・タケイ氏(79)も18日、ワシントン・ポスト紙に寄稿し「安全のためだとして、人種や宗教による差別を正当化できない」と抗議した。タケイ氏は5歳の時に家族と収容所に入れられた経験がある。