財閥とそれ以外の格差は広がる一方なのに、“勝ち組”になれる人間はどんどん減っている。財閥企業の象徴ともいうべきサムスン電子の入社試験の倍率は数百倍。大卒で従業員300人以上の大企業の正社員になれるのは10人に1人だ。拓殖大学教授で韓国出身の評論家である呉善花氏が韓国の「現実」を指摘する。
「韓国は日本をしのぐ超学歴社会だが、大学を出ても就職は難しく運よく就職できても40代で肩叩きされる。その後の人生で一旗揚げようとしてもたいていは失敗し、失意に陥る。そのため、中高年の自殺が多く、OECDの統計ではトップです。様々なアンケートで『生まれ変わっても韓国人にはなりたくない』と答える人が非常に多く、年間2万人を超える韓国人が他国に移住しています」
「持たざる者」の生活は厳しく、「生活費を稼ぐため、マンションの一室で隠れて売春する若い女性も増えている」(韓国在住ジャーナリストの藤原修平氏)という。
究極のコネ社会に阻まれ、将来への夢を無くした若者の間で、流行しているのが「ヘル朝鮮(チョソン)」という言葉だ。
「韓国の若者が抱く絶望的な思いを『ヘル(地獄)朝鮮』という自虐的な言葉が表わしています。2005年頃から若者の間で恋愛、結婚、出産をあきらめた『3放世代』という言葉が出現し、加えてマイホーム、人間関係をあきらめた『5放世代』、さらに夢、希望まであきらめた『7放世代』という言葉が登場しました。