戦艦大和の引き揚げ話、ありましたよね。あれ、どうなったでしょうか。
今日は、数日前に読んだ、日本軍によって沈没したオランダ海軍の沈没船の話から。
1.
巡洋艦「デ・ロイテル」
1942年にスラバヤ沖海戦で沈没したオランダ海軍の船3隻、巡洋艦「デ・ロイテル」、巡洋艦「ジャワ」、駆逐艦「コルテノール」。これを発見したのは2002年のことで、ノルウェー人のダイバーである。この男が言うには、クレーンを使って爆発物を処理し、残骸の一部を港まで運んだ。しかし、のちに見てみるとそれらはごっそりなくなっていた、と。そして国際調査団が調べたところ、海底からも船の残骸が消えていることがわかった。
国防省はダイバーの証言の真偽も含め、調査をすると言っている。2017年には海戦75年行事が予定されているためだ。
巡洋艦「ジャワ」
スラバヤ沖海戦では日本軍に大敗を喫し、艦隊司令官のカレル・ドールマン少将(*)を含むオランダ人915人、インドネシア人259人が戦死した。
またこの海で、イギリスの重巡洋艦「エクセター」駆逐艦「エンカウンター」駆逐艦「エレクトラ」、アメリカ軍の潜水艦「パーチ」も沈没したが、これらの船からも大規模な略奪があり、イギリス政府は「深刻な懸念」を表明している。沈没艦を荒らすのは墓場荒らしと同じ、戦没者への冒涜であり、違法行為となる。
一連の事件は、金属スクラップ回収業者の仕業とみられている。
*カレル・ドールマン(Karel Doorman 1889 - 1942)は4ヶ国連合艦隊を率いて日本海軍と戦った。ご存じABDA艦隊(米、英、蘭、豪州)。
2.引き揚げたものといえば、真っ先に思い出すのはこの話。
最後の生き残り”Do 17”
2013年、たぶん世界中のメディアで大きく報道されたと思う。英仏海峡から引き揚げられた、ドイツの双発爆撃機”Do 17”である。
この記事を読んだときは思わずにんまりした。というのもこの名前はよく小説に登場するので、私にもすぐわかったからである。ドルニエ社が開発した、もと高速郵便輸送機で、あだ名は「空飛ぶ鉛筆」だった。
1940年8月の「ブリテンの戦い」でイギリス空軍に撃墜されたのだが、2008年に発見されたとき、ほぼ完全な形が残っていたという。
ただ今修復中。いずれ「ブリテンの戦い」の証人として英空軍博物館に展示される。
(写真:英空軍博物館 Recovering the Dornier Do 17 - 1 year on | Blog | RAF Museum)
3.土から掘り出して見つかったもので思い出すのは
このミッキーマウスの小さな置物。
埋まっていたのはアウシュビッツの収容所近く。
Mickey Mouse gevonden bij Auschwitz duikt na meer dan 70 jaar op
これは9月の記事であるが、捨てずに取ってあったから取り上げてみたい。
置物が見つかった正確な場所は、収容所から1キロのヴィスワ川のほとり。おそらくガス室に送られた子供の持ち物と思われる。見つけたのは近隣に住む農民たちで、戦後すぐに多くの物品を掘り出し、保管していた。
そう話すのはアグニェシュカ・モレンダ(Agnieszka Molenda)さん。この人は「アウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所近隣の記憶の場財団(Foundation of Memory Sites near Auschwitz-Birkenau)」を運営している人だ。地元民で、歴史好きの個人収集家らが集まって、2013年に財団を結成したという。収容所や付属施設に関係した収集品は、数千もたまっているのだとか。
70年あまりの眠りから覚めたミッキーマウス、誰の持ち物だったろう、と思うと胸ふさがれる思いだ。専門家は製品についてわかることを述べている。1930年代にドイツで生産されたもの、ディズニーのコピーライトは無し、1929年から32年にかけてドイツ国内やヨーロッパ諸国で販売された。
ミッキーマウスを見つけた農夫は孫娘に与えた。そして今回、その孫娘が財団に寄付したといういきさつである。
アウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所では、23万2000人の子供たちが死亡したとされる。
4.2017年が不安…この二人の笑顔が怖い。
写真:http://efp.org.uk/nationalism-in-2014-a-whos-who-of-who-not-to-vote-for/
左:フランスのマリーヌ・ル・ペン氏。
右:オランダの自由党(PVV )党首、下院議員のヘルト・ウィルダース氏。
「モロッコ人を追い出せ」ヘイトスピーチに5000ユーロの罰金。
http://nos.nl/video/2143557-eis-wilders.html
ウィルダース党首は、外国人差別、特にモロッコ移民をターゲットにしたヘイトスピーチが国民を扇動したとして、5000ユーロ(現在1€は117円)の罰金が科せられた。
今回の公判には国内外から大きな関心が集まっていた。というのも、オランダは来年3月に総選挙があるからだ。そしてフランスや他の国同様に、この極右政党も反移民・反EUを掲げ、支持率を伸ばし続けているのだ。(左から3番目、PVV)
5.自分の自由意思で人生に終止符を打ちたい人たち
ベルギーもオランダも安楽死は合法。子供の安楽死も条件はあるが、合法である。これはそれとは違って、自分の人生を終えたいと望む高齢者を助ける方策である。
すでに二人の大臣が「人生の終焉」法案を国会に提出している。政党としては、自由民主党(VVD)、労働党(PvdA)、D66党が支持を表明している。もちろん死の手助けをするわけだから、乗り越えなければならないハードルは高いが、人生の終焉を自分で選びたいと考える人の団体(NVVE:Nederlandse Vereniging voor een Vrijwillig Levenseinde)には、十数万の会員がいるという。
長い期間にわたってカウンセリングを重ねるので、時間がたつうちに「やっぱりまだ生きていたい」と思い、自分を見つめなおすきっかけになるかもしれない。
ちなみにこの団体の選ぶ安楽死の方法は薬で、「ドリオンのピル」と呼ばれる錠剤だ。この錠剤は、安楽死活動家ドリオン(Huib Drion 1917 – 2004)によって1991年に発案された。
薬が殺人に使われたりしないか心配だし、医師や看護婦などが悪用したらどうするんだろう。
6. Little Free Library 小さな図書館
Little Free Library | Take a Book • Return a Book
さて恐ろしい話から、最後は本のいい話です。
私の前回記事に、カナダにお住いのcranberryさまが
こんなコメントをくださいました。その瞬間、アッと思い出しました。cranberryさまに感謝ですよ。
Little Free Libraryはアメリカ発祥の運動で、小さな箱を屋外に置き、自分の本を無料で貸し出すものです。
自分で開くミニ図書館ですね。10~20冊くらい入る大きさの箱。作ってもいいし、Little Free Libraryの会から買うこともできます。”Little Free Library”の看板は会からもらえます。
ノートを置いて感想を書いてもらうこともできます。
写真:ウィキペディア
日本でも各地で似た活動があるそうです。
みなさんのまわりではどうですか?
今日は終わります。
とっても楽しそうで素敵な企画ですね。
トロントの住宅街で最近よく見かける本をシェアする箱
最初、バードハウス?と思った私ですが(汗)
不要な本を箱に入れて、通りすがりの人が
読みたい本をピックアップするというシステムです。
機会があったら写真を撮ろうと思いつつ
横目で見ながら通り過ぎてます(;´∀`)