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「木造」見通せず窮余策 名古屋城に耐震警告看板

名古屋城天守閣の耐震性の低さを知らせる看板=名古屋市中区で

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 名古屋市は十八日、名古屋城内の三カ所に、天守閣の耐震性の低さを知らせる看板を設置した。抜本的な耐震対策として計画する早期の木造天守閣復元が、市議会の慎重論で実現が見通せないための窮余の策だが、来場者からは「どうすればいいの?」と複雑な受け止めもみられた。

 天守閣は一九五九(昭和三十四)年の再建から半世紀以上経過し、鉄骨鉄筋コンクリートが老朽化。耐震性を示す指標「Is値」が、「震度6強で倒壊、崩壊する危険性が高い」とされる0・3を下回る0・14と診断されている。

 河村たかし市長は「来場者の安全を守る責任がある」と入場禁止に言及。ただ、今後の方向性が見えないままの入場禁止は避けたい思いもあり、応急措置として看板を設置した。

 議会側には「木造復元を進めるために耐震不安であおるのは筋違い」との反発もある。市長はこの日、報道陣に「市は耐震性の低さを二十年前に把握し、十年前に議論している。なにもわしが木造をやりたいからではない」と反論した。

 看板設置で当座をしのぐことに、名古屋工大大学院の麓和善教授は「天守閣の現状を知らせることにつながり、何もしないよりは良いが、抜本的な解決ではない」と指摘。広島大大学院の三浦正幸教授は「地震で甚大な人的被害が出る恐れがあるが、『どうしても見たい』との来場者の声を無視することができず、市としてギリギリの判断だろう」と話した。

 (安田功、岩崎健太朗)

 

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