安倍晋三首相は16日、オーストラリアのターンブル首相と電話で協議し、両国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)の発効に向けて緊密に協力すると一致した。同日、首相官邸で会談したマレーシアのナジブ首相とも連携を確認。TPP参加国の首脳と相次いで協定の重要性を確認し、米国の承認に向け機運を高める狙いがある。
TPPはトランプ米次期大統領が大統領選中に撤退を表明。発効が困難な情勢になっている。
安倍首相はターンブル氏に「TPPは経済的意義のみならず、地域の平和と安定を確保するといった戦略的意義を持つ」と指摘。「日豪を含む各国が国内手続きを進め、発効に向けた決意を改めて世界に示すことが重要だ」と語った。
ターンブル氏も「米国は地域の平和と繁栄を下支えする上で重要な役割を担う」と応じ、米国を含めてTPPを発効させる意義を強調した。
TPP参加国は17~20日にペルーで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせ、首脳会合を予定する。安倍首相は早期発効を各国に働きかける方針だ。
安倍首相はAPEC出席に先立ち、17日にニューヨークでトランプ氏と会談する。16日に首相官邸で公明党の山口那津男代表と会談した際「トランプ氏と個人的な信頼関係をつくる。何でも話せる信頼感をつくることが一番大事なポイントだ」と強調した。TPPに関しては「日本としての主体的な意思を示すことが重要だ」と述べ、トランプ氏との会談で議論する考えを示した。TPPが日米両国にとって重要だとの認識を伝える考えだ。